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結・個人ルート 結末編
ラジエルルート 3 後編
しおりを挟むロードの俺への態度が、ある日急に変わった。
ロードが部屋を出て行ってからお互いあえて距離を置いていたはずなのに、自分から笑顔で挨拶をしにきたり昼間も用があると毎回教室を出て別の場所へ行ってたはずなのに、仲良く積極的に輪の中へ入ってきている。
まるで、何もなかったかのように。
ロードは笑っているけれど、その顔が少し前と違うものだということはすぐ分かった。
アレは、ロードが本心をごまかしている時の顔だ。
具合が悪いのをごまかす時なんかも、同じような顔でよく笑っていた。
ちょっとだるいだけだからと、無理して学校へ行き帰ってきた時にはかなりの高熱にまで上がっていて、あの時は本気で心配した。
『大丈夫だって。身体は熱いけど、妙に頭はスッキリしてるから』
とか、変な言い訳をしながら中々休もうとしなかった。
『だって俺の萌が、萌がそこにあるんだっ!』
萌のことをよく分からないと言ったら。
『ばかやろう!学校にお前がこの間欲しいって全力で叫んでた、伝説の騎士の槍かもしれない品が来るって知ってもお前は学校を休むのかっ!!』
『!?』
ちょっと前に、2人で街を訪れた時に見つけたラジエルにとっては奇跡のような出会い。
自分の趣味に対してロードはとても理解があり、貴重な休みなのに誘うと毎回何時間でも付き合ってくれた。
自分はその間街中を眺めてるだけで十分楽しいからと、文句の1つも言わない。
むしろ、積極的に興味を持って気になることがあると色々聞いては共有してくれるのが嬉しかった。
『し、死んでも行く!はってでも行く!!』
『そうだろうっ!俺の、俺のBLへの萌は、それぐらい大事なものなん・・・・ゴホッ!ゲホッ!ゴッホォォッ!!』
『ろ、ロード!BLって何なんだっ!?おい、しっかりしろ!ロードォォーーーッ!!』
結局、その後熱がさらに上がって意識不明に陥り、医務室まで運ばれて翌日からロードは2日間学校を休んだ。
『ら、ラジエル・・・・熱い』
『!?』
ふと、ラジエルはロードが学校を休んでいる際の夜中に目を覚ますと、ロードの身体を静かに起こしながら顔や背中などの汗を拭き、着替えさせる。
兄弟の多いラジエルは、弟妹達が熱を出すと親の代わりに面倒を見ることもよくあった。
全身ぐったりと力が抜けたロードは、ラジエルにされるがまま汗だくの体から解放されていく。
『・・・・ラジ、エル?』
『大丈夫だ。お前はそのまま楽にしておけよ』
『ん・・・・わるい、な』
『!!??』
熱にうなされて、正常な判断力が低下したロードが自分の胸元に擦り寄る猫のように頰を当ててきた時は、長いキスの後の彼を思わせラジエルの顔が赤く染まる。
普段ラジエルから友人以上のスキンシップをすると『ばかやろう!!』と真っ赤な顔で嫌がる彼も好きだが、普段は決して見せない熱のこもった瞳で見上げられるのがラジエルは一番好きだった。
それが見たくて、ついつい彼の嫌がるしつこいキスをしてしまうのだが。
『ばか・・・・やろうッ!熱が、うつる!んっ』
水を飲ますついでとロードに言い聞かせ、欲望に勝てずに熱い唇へ吸い付く。
熱くなったロードの舌に自身のモノを絡ませると最初こそ強く抵抗していたものの、すぐに疲れたのか抵抗をやめてラジエルに体ごと寄りかかって身を預け、ラジエルの好きなあの目でこちらを見上げた。
『・・・・・ッ!』
その眼差しに心臓が大きく跳ねる。
『お前が元気になるなら、俺に全部うつせ』
『え?・・・・ふっ、んんっ』
ロードと同じようにラジエルのルームメイトとなったハニエルに対して、同じような想いは少しも抱かない。
ハニエルは、ラジエルにとって太陽のような存在だった。
決して汚してはならない、聖域のような人。
同じくらい大切な存在なのに、その笑顔を守りたいと思う温かい気持ちと、もっと自分の与えた熱で乱しそんな彼が全部欲しいと願うあさましい気持ちと。
コンコンと、ラジエルは目の前の扉をノックする。
だが、現在その部屋の持ち主であるロードの声は返ってこない。
「ロード、少しでいい。お前と話がしたいんだ」
ずっと2人きりでは会えずにいたロードと話す機会がほしくて、悩んだ末にラジエルは夜遅くにロードの自室の前に立っていた。
「・・・・ロード?」
だが、何回ノックしても声どころか物音1つその部屋からは立たず、彼の気配が全くしないことに何か胸騒ぎを覚えたラジエルは、中にいる?ロードに声をかけて謝ってから部屋の扉を魔法で無理やりこじ開ける。
「!!??」
ようやく開いたロードの部屋に、持ち主の姿はどこにもなく彼がこの部屋に帰ってきた痕跡も見当たらなかった。
「・・・・・・ッ!!」
ただの思い過ごしであって欲しいと思ったが、それでもより強くなっていく胸騒ぎに焦ったラジエルはある場所へ向かって部屋を飛び出す。
「おらっ!!いい加減起きろッ!!」
「!!??」
バシャッ!!と頭から大量の水がかけられ、失っていたロードの意識が一気に覚醒する。
「・・・・いててッ」
先ほど殴られてできた顔の傷が、水に晒されてしみる。
頭部から滴る水をぬぐいたくても、その腕は身体ごと柱に縛られていて動けなかった。
「さぁ、そろそろ吐いたらどうだっ!?お前は理事長とどういう関係なんだっ!!」
ロードの目の前には、先ほどベンチの側で庭師を名乗ってきた怪しげな男とあと2人ほど見知らぬ男がそこにいた。
「・・・・それは、俺の方が知りたいよ」
「まだシラをきる気かっ!!」
「!!??」
腹を蹴られて激しく咳込む。
部屋は暗く、男達が座る木製の小さなテーブルと椅子以外は何もない古い小屋だ。
ハニエル君の代わりとして無謀にも咄嗟の判断で捕まったが、あの可愛らしいハニエル君が今の自分のように殴られたり蹴られたり暴行されていたかもしれないのだから、直感で下した自分の選択は正しかった。
いや、コレがハニエル君なら別の脅され方になるのかもしれない。
犯人側もイケメンならそれも大いに有りだし、モブに無理やり攻められるハニエル君を少しだけ見てみたい気もーーーーーーーー。
「悪いけど、本当に理事長のことは何も知らないんです。転入の際も紙面でのやり取りだけで、会うどころか顔を見たこともないです」
『まさか!この学園の理事長さんから確かに途中入学を許可する旨の連絡は紙面でもらったけど、直接会ったこともないよ!』
少し前、途中転入が割と珍しいハニエル君にもしかして理事長辺りと知り合いなのかとラジエル達と聞いたことがあったが、本当に何も知らない感じだった。
「嘘をつけ!あの理事長がただの一生徒に過ぎないお前に、理事長直々に転入の為の連絡をするなど何も関係がないわけがない!!」
「!?」
確かに、それは俺も同じことを思ってる。
そしてぜひとも関係があって欲しいと切実に願っている。
「お前が理事長のお気に入りなら、理事長に直接連絡するなんてことは簡単なことだろう?」
「だから、別にお気に入りでもないし連絡先なんて何にも知らないって言ってんだろっ!」
「・・・・・なら、身体に聞いてみるか?」
「!!??」
お、おい、嘘だろ?
一番奥で黙ったまま酒を静かに飲み続けていた、肩までの緩やかに波打つ黒髪に無精髭を生やした、見るからに怪しげな雰囲気と鋭い目つきをした男がロードに近寄る。
「や、やめろっ!!」
「ガキに興味はないが、あいつのお気に入りなら話は別だ」
「!?」
男の手がロードの頰と腰に触れた途端、ぞわぞわっと全身が一斉に寒気が走り鳥肌がたつ。
「さぁ、どこまで黙ってられるかな?」
「・・・・・ッ!!」
男達に殴られ、傷口から流れていたロードの口元の血をざらりとした舌で舐めとる。
気持ち悪い。
側にいるだけで全身が震えてくる。
「結構いい味だな。もっとあちこち傷つけて、全身舐めてやろうか?」
「!?」
ヒヤリとした冷たさを感じたと思ったら、首元には冷たいナイフが添えられていた。
怖い!!
ナイフが怖くて声も出せず、全身が無意識に小さく震えるロードの姿にニヤリと歯を見せながら笑うと、顎に手をかけ親指を無理やりロードの口元に入れて強引に広げると舌を入れながら噛みつくようなキスをしてくる。
同時に、強いお酒の匂いと辛味の味がした。
「い、やだっ!やめ・・・・ッ!!」
蛇のような鋭い目をした男は、ロードの呼吸すらも奪うかのような激しい動きの舌で口内を好き放題に侵し、首元に当てていたナイフで着ていた制服のシャツを切り刻んで破く。
身体のあちこちで痛みが走ったから、皮膚も直接切られていることだろう。
やめろっ!!
嫌だ!!
気持ち悪い!!
男に触られるたびに吐き気がロードを襲い、呼吸がまともにできず苦しくてなんとか顔を背けようとするが、痛みを感じるほど顎を強引に抑えた手がそれを決して許さない。
「・・・・・・ッ!!」
「いてぇな。舌を噛むなんて、可愛いマネするじゃねぇか。なんだよ、気持ちよくなかったのか?」
唇の端から流れる血を、先ほどまでロードの口の中に突っ込み互いの唾液で汚していた親指で拭うと、その血を唾液ごとべろりと舐めとる。
ロードは嫌でも襲ってくるあまりの嫌悪感から、口の中の血が混じった唾液ごと唾として床に吐き出し男を睨みつけた。
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「んぐっ!?」
「そんなに噛みたきゃ、これでも噛んどけよ。俺はお前の体を噛んでやるから」
「!!??」
口の中に丸められた布が無理やり突っ込まれ、男の口がロードの胸元にその歯を立てる。
やめろっ!!
嫌だ!!
やめろっ!!
今ロードの脳裏に浮かぶのは、1人だけ。
同じように舌を絡ませ身体に触られるのに、彼に触れられるとすぐに熱くなり気づけばロード自身も触れられることを受け入れていた。
今ならわかる。
どれだけ彼が自分に対して、優しく触れてくれていたか。
多少強引な時もあったが、その熱は決して嫌なものではなかった。
『・・・・ロードッ』
本当は、いつも感じていたんだ。
彼の目から、唇から、その手の先から全身から。
いつだってロードへの愛情を熱とともに伝えてくれていた。
「・・・・・んんッ!!」
「ちっ。この俺が直接舐めてやってるのに、無反応だと?まぁ、俺は突っ込める穴があればそれで十分だがな」
「!!??」
男の手がロードの下半身に伸びる。
嫌だ!!
助けて、ラジエルッ!!
「こ、この光は・・・・ッ!?」
「!!??」
その時、目を開けてられないほどの強い光が視界を埋め尽くし、ロードはすぐさま目を伏せる。
「ーーーーーーーーァァァッ!!!」
「!?」
すぐさま鳴り響いた男の叫び声に驚き目を開くと、ロードに触れていた男を含めてその場にいた男達全員が壁に打ち付けられ気を失っていた。
「・・・・・ロードッ!!」
「ふぁ、ファぎエルッ!!」
そして光の向こうからこちらへ駆けてきたのは、会いたくて会いたくてたまらなかった男。
「おい、大丈夫か!?あぁ、こんなにあちこケガして・・・・ロード、俺がわかるか!?」
「ーーーーーーーッ!!」
ラジエルはロードの口の中に入れられていた布を取り、身体を縛っていた縄をナイフで切ると力が抜けて倒れ込んできたロードの身体をしっかりと抱きしめる。
「ファ・・・・シュトラーゼは無事だ!お前達は倒れている不審者をすぐ捕まえて動きを封じろっ!!ラファエルはシュトラーゼの治癒を!!」
「えぇ~~?見た感じ軽傷だから大丈夫じゃない?」
「ミカエル。近くに仲間の気配はないが、怪しげな痕跡もいくつかある。詳しく調べる必要があるかもしれない」
「無事で、本当に良かった。この男達から事情を聞くのは、もちろん僕がやってもいいんだよね?」
「あぁ。ガブリエル、遠慮なく思いきりやってくれて構わない。ウリエル、ここの調査はお前に任せる!」
ロードの視線の先では、生徒会の役員のミカエル先輩達と彼らに捕まり魔法がかかった特殊な縄で身体をきつく縛られ、足元には鉄球がついた足枷をはめられた男達が見えた。
あぁ、これでもう大丈夫だ。
「ロード、痛いとこないか?髪もこんなに濡れて、気休みかもしれないけどこれ上から着て・・・・ッ!?」
ラジエルは抱きしめていた腕を緩めると、自分が着ていた上着をロードの肩にかけた。
その時、久しぶりに見たラジエルの至近距離での顔をじっと眺めていたロードの胸に、様々な気持ちが一気にこみ上げる。
本当は、ずっと触れたかった。
「ロード?どうかし・・・・ッ」
気づくと、ロードの両手がラジエルの頰を包み込みその唇にそっと口づけを落とす。
男にされたような乱暴なものではなく、お互いに触れているだけの優しいキス。
ラジエルもそのキスを拒まず、温もりを黙って受け止める。
ただそれだけなのに、ロードの胸の中は温かいものでいっぱいになりその両目からは涙が静かに溢れた。
その後、そのまま気を失ったロードを横抱きに抱えながら立ち上がり、しっかりその身体を支えながらラジエルは自分達の家へと向かって歩き出す。
次にロードの目が覚めた時、視界には見覚えのある天井が映った。
「・・・・・ここは」
「気がついたか?」
「!?」
その視界が、一瞬にしてラジエルで埋まる。
同時に先ほどの記憶も一気に戻ってきて、ロードの顔が真っ赤に染まった。
どう接していいか分からず、毛布を勢いよく頭から被ってラジエルから姿を隠す。
「ら、ラジエルっ!あ、あの、俺っ!!」
「ケガは、大丈夫か?」
「へ?」
「お前が気を失っている間に、ラファエル先輩がある程度魔法で治してくれたんだぞ?」
「!?」
そうだ。
制服が切り刻まれて腹のあたりも痛みが走っていたし顔も殴られて傷ができてきたはずだが、あちこち触れても痛みは感じず傷跡もどこにもなかった。
ちなみに、服も制服から部屋着になっている。
「大丈夫、みたいだ。明日会えたらラファエル先輩っていうか、ミカエル先輩達みんなにお礼言っとく。ちなみにさ、俺の服って」
「もちろん、俺が着替えさせた」
「そ、そっか。ありがとな、色々」
毛布越しだというのに、姿が見えない分イケボイスがより耳に響く気がしてロードの心臓が早鐘をうつ。
「ロード」
「な、なんだ?」
ロードの頭の中には気を失う直前にしでかした、自分からラジエルにした行動が今も何度もリアルに蘇ってきて正直いたたまれない。
いや、アレは違うんだ!
なんかこう気持ちが盛り上がって、ほら映画とかでよくあるピンチを乗り越えた後に共闘した男同士で喜びにハグするあの感じというか!!
「お前が無事で、本当に良かった!」
「!!??」
ロードの身体を、毛布越しにラジエルが強く抱きしめる。
「お前がいなくなって、俺お前に何かあったらどうしようって。喧嘩したまま仲直りもできないで、一生会えなくなったらどうしようって、すっげー怖かった」
うん、俺も怖かった。
「ようやく見つけた時、お前の体が傷だらけで。それだけじゃなくて、お前の身体にあの男が触ったのかと思ったら俺・・・・本気で気が狂いそうだった!!」
「!?」
ロードを抱きしめる腕に力がこもる。
ラジエル、もしかして泣いてるのか?
声の中に鼻をすする音が混じっていた。
「ラジエ・・・・ッ!?」
ロードが恐る恐る後ろを振り返ると、すぐ真後ろに初めて見るほど涙でぐしゃぐしゃな顔をしたラジエルの顔があった。
「お前、なんて顔して」
「俺、好きなんだ!お前のことが好きなんだっ!」
「!?」
どんな時だって頼りになってロードと違って何でもできて、いつだって爽やかな笑顔をしていたラジエルが必死に叫んでいた。
「何言って、お前にはハニエル君が」
「あの人は・・・・俺にとって確かに大切な人だ。たぶん、俺の前世が愛した人。でも、今俺が愛してるのは、キスやそれ以上も自分からしたいって感じるのは、もっと深いところまで触れたいと思うのはお前なんだよロードッ!」
「!?」
俺よりよっぽどイケメンで男女問わずにモテる男が、どこまでもまっすぐで真剣な眼差しをロードに向けてくる。
「・・・・・ばか、やろう」
「ロード?」
ロードは目を伏せ、小さく震えていた。
嫌がられたんだろうか?
「俺は、お前が本気で嫌だったら・・・・ッ!?」
ロードの両手がラジエルの首に回され、ラジエルの唇に熱い温もりが強く重なる。
勢いよく身体ごと振り向いた為、すっかり油断していたラジエルがそのままベットに倒れこみ、ロードが押し倒したような形になった。
「ろ、ロード?」
「・・・・・ばかやろう!本当に嫌だったら、お前のことをとっくに殴ってるよ」
ラジエルが見上げた先には真っ赤な顔で恥ずかしさを堪えながらも、熱い眼差しでラジエルを見下ろしてくるロードがいた。
ラジエルが、好きな顔だ。
「いいのか?」
「い、いちいち聞くな!ばか・・・・ッ!?」
ロードの言葉を最後まで待たず、ラジエルの指がゆっくりロードの頰に触れる。
温かい。
あの男に触れられた時は襲いかかってくる恐怖にどうしようもない寒気が走ったというのに、この手に触れられるとドキドキもするがやっぱりとても安心した。
ロードは目を瞑ると、ラジエルの手の平に頰を擦りよせながらその熱を味わう。
「!?」
「わっ!ら、ラジエルッ!?」
今度はラジエルがロードを勢いよく押し倒し、その唇に噛みついた。
「んん・・・・ッ!?」
角度を変えながら、何度も熱い舌を絡め口の中をじっくりと舐めあげる。
その間にラジエルがロードの脇腹から手を服の中に入れ、その皮膚に直接触れるとロードの身体が震えた。
「好きだ、ロード」
「耳元で・・・・はぁっ、しゃべる・・・なぁ!」
ラジエルがロードの耳元で囁くたびに身体がビクビク敏感に反応するのが可愛くて、ついついわざとやってしまう。
「なぁ、あいつはお前のどこに触ったんだ?」
「・・・・・んんっ!」
聞きながら、ロードの身体のあちこちにキスを落としていく。
傷口はすでに治癒されてるとはいえ、少しでもその痕跡を残したくはなかった。
「ここも、触った?」
「!?」
ラジエルが触れた場所は、ロードの下半身でそこはすでに熱を持って硬くなっている。
「触れたんだな・・・・くそっ!!」
「ら、ラジエルッ!」
怒ったラジエルが先ほど自分がロードに着せたズボンと下着を脱がすと、ロードの熱が解放するまで指と舌とでその部分を丁寧に触れては何度も愛した。
「はぁ、はぁっ・・・・・ァァッ!!」
その後、息も絶え絶えなロードの腰に跨りながらラジエルが上着を脱ぎ捨て、その細いながらも鍛えられ引き締まった肉体が目の前に現れる。
やっぱり、こいつ。
ムカつくほどかっこいい。
「ロード、愛してる」
「!?」
そのまま熱過ぎるキスがロードの口を塞ぎ、2人の身体はより深くお互いの熱を求めて触れ合い溺れて行ったーーーーーーーー。
「ばかやろう!!お前のせいで、また今日も遅刻ギリギリじゃねぇかっ!!」
「悪かったって!でも、寝ぼけて先に夜用のキスしてきたのはロードの方だろう?」
「だ、だからって、あそこまでやらなくたっていいだろっ!!」
部屋は変わってしまったが、毎朝のようにロードの部屋へ来て起こしにくるのがラジエルの日課の1つだ。
あの後、ミカエル先輩達が捕まえた男達の1人が逃げ出し今も警備隊とともに追跡中とのことだった。
そして、あの事件の際にロードを助けてくれた光はラジエルでもミカエル先輩達の魔法でもなかったとのことで、一体誰のおかげだったのかも未だに分かっていない。
ハニエル君が前世で元天使だったらしいしハニエル君パワーなのかと密かに思っているが、本人は事件の時も現場にすらいなかったらしく不思議現象として今も調査中である。
「なぁ、ロード。今朝の続きは、今夜たっぷりな?」
「・・・・・ッ!?」
わざと耳元で熱を持って囁けば、ロードの顔どころか耳まで一気に赤くなり黙り込む。
まずいな。
これ、夜まで待てないかも知れない。
「と、とにかく急ぐぞっ!!」
「あ、待てよ!ロー・・・・・ッ!?」
朝日を浴びながらラジエルの横を駆け抜けるロードが、一瞬眩い光の中で輝く白馬の姿と重なる。
「ラジエルッ!置いてくぞ!!」
「・・・・あ、あぁ!今行く!!」
気づいた時にはもういつも通り明るい笑顔のロードであり、ラジエルはすぐさまスピードを上げてロードの横に並んで駆けていく。
ロードの鞄には、『エルフのお守り』かもしれない銀細工が光っていた。
運命だと思った。
この出会いこそが、運命なのだと。
運命はきっと、様々な選択肢とともにいくつも用意されている。
その中で、これが俺の選んだ『運命』だ。
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