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第2話 「この幼女、押しが強い?!」
しおりを挟む「涙拭きなよ」
そう言って小さなハンカチを手渡してきたのは小学生くらいの女の子だった。
「えっと......」
私が戸惑いながらもそのハンカチを受け取ると、その子はひょいっと隣のブランコに座った。
「なんかあったんでしょ? 話聞くよ?」
その子は軽くブランコを揺らしながら私の方を見てただそう話しかけてくる。
私は未だ状況が分からず呆気に取られていた。
「うーん、とりあえず涙拭きなよ。可愛い顔が台無しだよ?」
聞いてみるに、これはたぶんとっても無垢な子なのか相当なコミュ強幼女かそれか変な子だ。
「おーい。聞いてる? 元気? うーん、まあ元気ではないか」
たぶん、変な子なのかも。気づけばその子は私のそばに寄ってきて、袖をぐいぐいと引っ張っていた。
「ねーねー、流石に無視はちょっと悲しい」
彼女はあまりにもしおらしくこちらを見つめてくる。
「あっ、ごめん。びっくりしちゃって。なんか慰められちゃって私情けないね......」
「そういう時もあっていいんじゃない? まあ何があったか知らないんだけど。そういえばお姉ちゃん名前は?」
「花恋、一条花恋......」
咄嗟に私は自分の名前を口に出していた。
「知らない人に簡単に本名教えちゃうのは危ないからやめた方がいいよ?」
と言いながらほくそ笑んで私の肩をつつく。
「まあそういうとこも可愛いんじゃない? 私はれな、よろしくね」
あまりにぐいぐいくるのでクスッと笑ってしまった。
「落ち着いた? それでどうしたのー? 良かったら話してよ」
彼女は無邪気に微笑む。
「お姉さんね、振られちゃったんだ。大好きな人に告白したんだけど、拒絶されちゃった」
「それで?」
「えっと、うん。それだけだよ......私は振られて」
現実を自覚させられるようで再び涙が込み上げてくる。
「あーあー、ごめんごめん! 違うの! だから、花恋はそのままでいいの?」
「だって、振られたんだからしょうがないじゃん。どうしようもないんだよ......」
私がそういうとれなは私の手を握る。
「まずはどうして振られたのか考えてみよ? きっと何か理由があるんだよ。花恋可愛いから多分見た目じゃないと思うの」
「人を好きになれないんだって。だから私も好きになれないってそういうことなんだよ」
私がそういうとれなは腕を組んで考え込む。
「うーん。じゃあ好きになってもらえばいいんじゃない?」
「今人を好きになれないんだって言わなかった?!」
れなはやれやれという顔をして続ける。
「多分それって、好きになれないんじゃなくて、好きになったことがないんだよ」
「それって何が違うの?」
「だーかーらー、花恋が一番最初のその人にとって好きな人になればいいじゃん」
れなはいつに増して真っ直ぐに目を輝かせながらこちらをみつめてくる。
「でもどうやって......?」
私は諭された子犬のように少しふてくされた声で問いかける。れなは10秒ほど考えた後に口を開いた。
「うーん。わかんない! でもそれを考えるのが花恋の仕事でしょ?」
ここまで自信満々に提案してくるのだから何か策があるのだろうとこんな小さな女の子に期待してしまった自分がなんだか可笑しくてまた笑ってしまった。彼女には何かそうさせる力があるのかもしれない。
「何笑ってるの? 私、真面目に言ってるんだけど」
れなはそうおどけた声で少し笑いながら言った。
「あーもう落ち込んでたのがバカらしくなっちゃった。要するに諦めるなってことでしょ?」
れなはうんうんと嬉しそうに首を縦に振る。
「そういえばなんで私に声をかけたの?」
ふと私はそう尋ねた。
「可愛い女の子がいたからだけど?」
れなはすました顔でそう応えた。
どうやらとんでもない幼女に絡まれてしまったみたいだ......
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