幼女のようじょ

えあのの

文字の大きさ
37 / 43
第二章 冒険のはじまり

36日目 「お姉さんはやめて!」

しおりを挟む
 
 しばらく色んな話をしていると、ぐぅ~という音が軽快に響き渡る。音の鳴る方を見るとみいが少しだけ恥ずかしそうに後ろで手を組む。

 「お、お腹が空いちゃったのです......」

 「あら、そういえば何も食べてなかったわね、ちょっと待っててくれる?」

 ルキアはポンと手を叩くとそそくさと部屋の外へ出ていってしまった。

 「こんな時間に悪いかなって言おうと思ったけど、流石にお腹すいちゃったね......」

 「そうね! 何が出てくるのかしら」

 「何かあるならいいけど、お手伝いとかした方がいいのかな......?」

 みいはリリにちょっかいをかけて遊んでいる。リリは少し困った顔をしながらそれでいて楽しんでいるように見える。

 「私、ちょっと見てくる!」

 そう言って扉の方に早足で向かい、扉を開くと、ちょうどばったりルキアにぶつかる。

 「あらあら、どうしたのかしら」

 ルキアはたくさんの料理を載せた台車を片手に開きかけた扉を開いた。

 「ええと......早くないですか?? 一体どうやって」

 「実は先週作りすぎちゃってね。保存魔法で残しておいたのよ」

 「本当に色んな魔法が使えるんですね......!」

 「まあ、これでも一応宮廷魔法使いだったからね」

 「そういえばそうでしたね!」

 みよは思い出したように手を叩いた。

 それを聞いていたマリーはふと浮かんできた疑問を投げかける。

 「作りすぎちゃったってことは、来客でもあったのかしら?」

 「違うわね。そもそも来客なんて貴方達くらいよ。もう暫くきていないわ。というかくるに来れないようにしてあるし不在の時にこられても聖獣が......」

 聖獣と聞いてさっきの事を思い出したのかみいは身震いしている。

 「じゃあ何かあったんですか?」

 みよは極めて自然な質問をする。

 「ちょうど先週リリの誕生日だったのよ」

 そういうと、みいと戯れあっていたリリに視線が集まる。

 「そうなのね!とてもおめでたい事だわ!」

 マリーはリリに駆け寄り手を取った。

 「えへへ......ありがとう」

 リリは少し照れくさそうに笑った。

 続くようにみよもみいもそしてもちろんシエルもお祝いの言葉を告げた。

 「そういえば、リリは何歳になったの?」

 「先週で14歳かな」

 「ええ?!」

 リリが歳を答えると露骨に驚いてしまった。

 (もっとずっと幼いと思ってた......てっきりマリーと同じくらいかと)

 リリはきょとんとした顔をしている。

 「あ、ええと、リリって意外とおねーさんなんだなぁって」

 「ええ?! みよも同じくらいじゃないんですか? てっきりそう思っていたんだけど......」

 「私、13歳だよ?」

 「そうなんだ......! なんだか凄くしっかりしてるから」

 リリは左手を口に当て驚いた様子だ。

 (そんなことないんだけどなぁ......でも、マリーに会ってからちゃんとお姉さんしなきゃって思ってたからそういうのもあるのかも)

 「ってことは私ってもしかして、ちゃんとしてないって思われてた.....?」

 漫画だったらガビーンという文字が入りそうな様子でリリが少しあわあわしている。

 「ああ! 違うの! その可愛らしいって意味で特に深い意味は、ほら後身長とか、ね?」

 そうフォローを入れると、

 「そ、そうかな。うーん」

 「そうだよ、リリ"お姉さん"!」

 「そ、そのお姉さんとか付けるのはなんだかむず痒いから、いつものままで......」

 リリはもじもじしている。可愛い。

 「ほ、ほら、早く食べよ? 冷めちゃうから」

 リリは話題を逸らすように視線を食卓へと移す。そんな話をしているうちにルキアが料理を食卓に並べていたようだ。

 「それじゃあみんないいわね? せーのっ」

 「リリ、お誕生日おめでとう!」

 軽快な掛け声と共に二度目のお祝いは人数を増して始まったのであった。
 
 

 
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

娘を返せ〜誘拐された娘を取り返すため、父は異世界に渡る

ほりとくち
ファンタジー
突然現れた魔法陣が、あの日娘を連れ去った。 異世界に誘拐されてしまったらしい娘を取り戻すため、父は自ら異世界へ渡ることを決意する。 一体誰が、何の目的で娘を連れ去ったのか。 娘とともに再び日本へ戻ることはできるのか。 そもそも父は、異世界へ足を運ぶことができるのか。 異世界召喚の秘密を知る謎多き少年。 娘を失ったショックで、精神が幼児化してしまった妻。 そして父にまったく懐かず、娘と母にだけ甘えるペットの黒猫。 3人と1匹の冒険が、今始まる。 ※小説家になろうでも投稿しています ※フォロー・感想・いいね等頂けると歓喜します!  よろしくお願いします!

ステ振り間違えた落第番号勇者と一騎当千箱入りブリュンヒルデの物語

青木 森
ファンタジー
原因不明の転落事故に見舞われた少年は、崖から落下中、時間が止まった世界で見目美しい女神と出会う。 しかし、一見おしとやか風の女神は少年の矢継ぎ早の質問に、 「ゴチャゴチャうっせぇんだよぉ、コゾウがぁ!」 ヤンキー張りの本性をさらけ出し、勇者召喚のノルマ達成の為に「異世界に行け」と強要する。 脅され、騙され、異世界に勇者として送られる気弱な少年。 たった一つ、ヤンキー女神から渡された「特殊スキル」を携えて。  「小説家になろう」様でも掲載。

最強剣士が転生した世界は魔法しかない異世界でした! ~基礎魔法しか使えませんが魔法剣で成り上がります~

渡琉兎
ファンタジー
政権争いに巻き込まれた騎士団長で天才剣士のアルベルト・マリノワーナ。 彼はどこにも属していなかったが、敵に回ると厄介だという理由だけで毒を盛られて殺されてしまった。 剣の道を極める──志半ばで死んでしまったアルベルトを不憫に思った女神は、アルベルトの望む能力をそのままに転生する権利を与えた。 アルベルトが望んだ能力はもちろん、剣術の能力。 転生した先で剣の道を極めることを心に誓ったアルベルトだったが──転生先は魔法が発展した、魔法師だらけの異世界だった! 剣術が廃れた世界で、剣術で最強を目指すアルベルト──改め、アル・ノワールの成り上がり物語。 ※アルファポリス、カクヨム、小説家になろうにて同時掲載しています。

特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。

黄玉八重
ファンタジー
水無月宗八は意識を取り戻した。 そこは誰もいない大きい部屋で、どうやら異世界召喚に遭ったようだ。 しかし姫様が「ようこそ!」って出迎えてくれないわ、不審者扱いされるわ、勇者は1ヶ月前に旅立ってらしいし、じゃあ俺は何で召喚されたの? 優しい水の国アスペラルダの方々に触れながら、 冒険者家業で地力を付けながら、 訪れた異世界に潜む問題に自分で飛び込んでいく。 勇者ではありません。 召喚されたのかも迷い込んだのかもわかりません。 でも、優しい異世界への恩返しになれば・・・。

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

俺、何しに異世界に来たんだっけ?

右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」 主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。 気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。 「あなたに、お願いがあります。どうか…」 そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。 「やべ…失敗した。」 女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

神に同情された転生者物語

チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。 すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情され、異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。 悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。

処理中です...