幼馴染の勇者にパーティを追放された最強魔法使いはダンジョンに全力で引き籠りたい!

戦部二康

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第一章

第七話・夜ご飯の支度

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なので僕が解かない限りどうしようもない。それを知らずに小狼人コボルドたちは
何とか獲物を落とそうとピョンピョンしててちょっと可愛いなと思ってしまう。

図鑑とかで生態を調べるとえげつない生き物だって分かるから
抱きしめたくは無いけど。

「ねぇ、あれ一匹捕まえられる?」

 手で口を塞がれているから喋れないので取り合えず頷くと小狼人コボルド
指さしたので早速拘束してみる。

「……一匹で良いんだけど」

 相変わらず口を塞がれてるので眉間にシワを寄せて抗議して見る。
ナタリアは首を傾げたけど自分が何をしてるのか気付いて慌てて手をどけてくれた。

「ご、ごめんごめんつい」
「いや良いけど別に。それより他のは放つ?」

「ううん、大丈夫」

 ナタリアは茂みを出て一匹の小狼人コボルドに近付くと膝を折って目線を合わせた。

「あのさ、命が惜しかったら出せる物出して?」

 勝手な話だけどさっきの感動が台無しである。洞窟に引き籠るつもりが
何故か強盗になってた。
何を言ってるか分からないかもしれないけど僕が一番分かってない。

ナタリアの指示で一匹ずつ拘束を解いていく。どうやらナタリアは魔術ではなく
元々持っている技能で彼らと交渉し物を得ているようだ。

僕は魔法を使って会話を聞こうか迷ったけど精神的な影響を考えて止めておいた。

「今日は大量だわ~」

 スキップしながら小狼人コボルドからせしめた物をせしめた布でくるみ
洞窟まで戻るナタリア。僕は光の鎖の魔法ライティングチェーンで縛ったままの
唸る森の猪タイガボアをそのまま引き摺って後に続く。

洞窟があった場所をぐるりと回り込んで裏側にある湖へと向かい
唸る森の猪タイガボアを下ろし光の鎖の魔法ライティングチェーンを解くと、
ナタリアは手際良く唸る森の猪タイガボアを解体し始めた。

「いやぁこれで暫くは魔術をガンガン使えるわー」
「ナタリアは血を毎日補給しなくても生命維持に問題無いの?」

「無いわよ? 別に。勿論摂取してればそれだけ魔術をガンガン使えるし。アンタたちと同じように肉食べてれば良いのヨ。ただ量が多いのが難点よね。後野菜も食べるわよ味にアクセントが出るから。栄養としては要らないけど。でもにんにくは要らないから。覚えといてね」

 そう言いつつ何処から出したのか瓶を取り出して唸る森の猪タイガボアから出た血を
魔術で集めてマントの中へと隠した。あのマント何処と繋がってるのか聞きたいような
聞きたくないような。

解体した肉と骨をナタリアがマントに仕舞うのを待ってから僕らは洞窟へと戻り
ナタリアと最初に会った場所で調理を始めるべく準備を始める。

彼女は使わない肉を幾つかを氷漬けにして貯蔵し、山の上で干し肉にする為の物は
出して置き日中干しに行くと言う。

その手際の良さからしてナタリアはここでの引き籠り生活が長いんだろうなと感じた。
更には僕が入って来た入口から下では無く上に行く隠し扉がありそこを通って
上に行くと朝日が昇る方角が削られ陽が差し込むようになっており、
丁度陽が当たるところに畑が作られた場所に案内され驚く。

家畜は何故この中で飼育しないのかと言うと、魔力を常時使って居たので察しの良い魔物は
寄り付かなかったもののゴブリンが寄って来てしまいその食べ散らかしなどの
悪臭で家畜を飼育する気が失せたという。

「だけど確かに二人で暮らすには一々外に出るのも面倒ねぇ」
「てか何で入口閉じなかったんだ?」

「……べ、別にいいじゃない!」

 ナタリアの言い方そして腕を組んでそっぽを向いた感じからして面倒だからとか
触媒の消耗を最小限に抑えるとかだけではなく、寂しかったのかなとも思った。

明らかに僕がやったのは敵対行為でどちらかの命が尽きるまで
戦い続けるような状態になっても可笑しくはない。

特にヴァンパイアはプライドの高い魔族だしナタリアじゃなければ一旦引いてから
援軍を率いて僕を殺しに来るだろう。

特に悪意も感じないし何故こんなところに居るのかは気になるところではあるけど
無理にそれを聞こうとも思わないし、話したいってなったら聞くだけは出来る。

……いやいや待てよ。僕は誰とも関わりたくないからこそ洞窟で引き籠りたかった筈だ。
なのにいつの間にかそうじゃなくなってる。

今からでも遅くは無いからここを出て別の場所で引き籠るべきなんじゃないだろうか。
厄介な問題に巻き込まれる可能性がかなり高いと直感が告げている。

「あの、ナタリア……」
「悪いけどヤスト、こことあそこに台みたいなの出してよ」

「そんな真似出来る訳ないだろ? 僕は何でも屋じゃないんだ」
「魔法使いなのに!?」

「魔法使いは何でも屋じゃありませんー出来るものと出来ないものがありますー」

 魔法使いだとしても家を召喚したり家具を召喚したり出来る筈が無い。
何も無い所から触媒無しで現象を起こせるが人が作るような複雑な構造の
物も無理だしドワーフの作品も無理。

そんなものが出来てしまえばそれを量産して商売出来るし経済が破壊される。
ひょっとすると世界が拒否してるのかもしれないなぁ。

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