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第189話 2つの朗報
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「閣下が目を覚まされたそうです!」
駆け込んできた騎士がもたらした朗報により、ワーレンバーグ公爵家、さらには王都や王宮も喜びに包まれた。
「良かったわね」
別邸の居間ではアラーナ(タルバン)とテレシアが明るい顔を見せていた。
ホッとするアラーナ(タルバン)の傍にテレシアが座り腕を絡ませる。
「ねえ、私の勘って当たるでしょう」
「そうだな」
「そう、だから、これからもぜーんぶ当たるのよ」
テレシアの「ぜーんぶ」が結婚であり子供であるのを悟り、アラーナ(タルバン)が顔を赤くする。
そこで…
グゥー
ほぼ同時に2人のお腹が鳴った。
一大事が起きて以来、アラーナ(タルバン)も極力明るく振舞ってきたテレシアも食事が進まなかったためだ。
「とりあえず何か食べようか」
「そうね。で、その後に腹ごなしの運動をしましょう」
「ベッドで?」
「もちろん!」
テレシアはアラーナ(タルバン)の腕を引っ張っていった。
翌日、使者となったデュランが一足先にワーレンバーグ公爵家へ戻って来た。
執事であるフレード・センシスと細かに打ち合わせをする。
「全快までは日にちがかかるとの見立てでしたが、それなりに動けるよう回復しましたので、馬車でお戻りになります」
「そうなると着くのは1週間ほどか」
「はい、医師からの手紙もこちらに」
フレードが診断書と手紙に目を通す。
「記憶なども問題ないと…」
「と言うよりも、むしろ十分に動けない分、一層頭の回転が鋭くなられたような気がします」
「ほう…」
ワーレンバーグ公爵家ではカルトメリを迎える体制を全員全力で整え始めた。
報告を終えたデュランが別邸に足を向ける。
居間に入ったデュランは、アラーナ(タルバン)を見て思わず言葉をこぼす。
「タ、タルバン様、お疲れ…ですか?」
アラーナ(タルバン)とテレシアは笑顔で出迎えたものの、2人の様相は大きく異なった。
アラーナ(タルバン)の顔色はさえない上に疲労の色も濃いように見える。
「いろいろと…運動を、な」
デュランがチラリとテレシアを見る。
こちらは肌の色つやも良く。笑顔は輝くばかり。
「あら、デュラン、どうかしたの?」
デュランは“運動”の意味を察したものの、それ以上は何も言わない。
話題を変える意味で、もうひとつの朗報を伝える。
「公爵閣下とは別に良いお話がありまして…」
アラーナ(タルバン)とテレシアが「何?」と聞き返す。
「アラーナ様の声が戻りました」
「えっ!」
「本当!」
ひとしきり3人で喜んだ後、今後の見通しについて話し合う。
「ご苦労様でした。デュランもゆっくり休みなさいな」
「そうだな、兄さんが戻るまで日はあるし、明日明後日を休みとしようか」
デュランがうやうやしく頭を下げる。
「ありがとうございます。それでは失礼いたします」
デュランが部屋を出て扉を閉めると…
チュパッ、ジュパン、チュポン…
すぐに扉の向こうから何度も唇を重ねる音が聞こえた。
デュランは足音を立てないように部屋から離れる。
「俺もご無沙汰だったなあ」
ワーレンバーグ公爵家が大きく関わる戦争中だったことで、デュランも娼館通いを控えていた。
「よっし!」
数カ月ぶりに「甘い口づけ」へ向かうと決めた。
駆け込んできた騎士がもたらした朗報により、ワーレンバーグ公爵家、さらには王都や王宮も喜びに包まれた。
「良かったわね」
別邸の居間ではアラーナ(タルバン)とテレシアが明るい顔を見せていた。
ホッとするアラーナ(タルバン)の傍にテレシアが座り腕を絡ませる。
「ねえ、私の勘って当たるでしょう」
「そうだな」
「そう、だから、これからもぜーんぶ当たるのよ」
テレシアの「ぜーんぶ」が結婚であり子供であるのを悟り、アラーナ(タルバン)が顔を赤くする。
そこで…
グゥー
ほぼ同時に2人のお腹が鳴った。
一大事が起きて以来、アラーナ(タルバン)も極力明るく振舞ってきたテレシアも食事が進まなかったためだ。
「とりあえず何か食べようか」
「そうね。で、その後に腹ごなしの運動をしましょう」
「ベッドで?」
「もちろん!」
テレシアはアラーナ(タルバン)の腕を引っ張っていった。
翌日、使者となったデュランが一足先にワーレンバーグ公爵家へ戻って来た。
執事であるフレード・センシスと細かに打ち合わせをする。
「全快までは日にちがかかるとの見立てでしたが、それなりに動けるよう回復しましたので、馬車でお戻りになります」
「そうなると着くのは1週間ほどか」
「はい、医師からの手紙もこちらに」
フレードが診断書と手紙に目を通す。
「記憶なども問題ないと…」
「と言うよりも、むしろ十分に動けない分、一層頭の回転が鋭くなられたような気がします」
「ほう…」
ワーレンバーグ公爵家ではカルトメリを迎える体制を全員全力で整え始めた。
報告を終えたデュランが別邸に足を向ける。
居間に入ったデュランは、アラーナ(タルバン)を見て思わず言葉をこぼす。
「タ、タルバン様、お疲れ…ですか?」
アラーナ(タルバン)とテレシアは笑顔で出迎えたものの、2人の様相は大きく異なった。
アラーナ(タルバン)の顔色はさえない上に疲労の色も濃いように見える。
「いろいろと…運動を、な」
デュランがチラリとテレシアを見る。
こちらは肌の色つやも良く。笑顔は輝くばかり。
「あら、デュラン、どうかしたの?」
デュランは“運動”の意味を察したものの、それ以上は何も言わない。
話題を変える意味で、もうひとつの朗報を伝える。
「公爵閣下とは別に良いお話がありまして…」
アラーナ(タルバン)とテレシアが「何?」と聞き返す。
「アラーナ様の声が戻りました」
「えっ!」
「本当!」
ひとしきり3人で喜んだ後、今後の見通しについて話し合う。
「ご苦労様でした。デュランもゆっくり休みなさいな」
「そうだな、兄さんが戻るまで日はあるし、明日明後日を休みとしようか」
デュランがうやうやしく頭を下げる。
「ありがとうございます。それでは失礼いたします」
デュランが部屋を出て扉を閉めると…
チュパッ、ジュパン、チュポン…
すぐに扉の向こうから何度も唇を重ねる音が聞こえた。
デュランは足音を立てないように部屋から離れる。
「俺もご無沙汰だったなあ」
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