【R18】兄と2人で公爵様に嫁いでみました【完結】

県田 星

文字の大きさ
250 / 250

エピローグ

しおりを挟む
「ご回復、おめでとうございます」

大勢集まった賓客の中から、テレシアの父親であるルゴルド・リフォリア子爵が進み出て祝福の言葉を送る。

「うむ、感謝する」
「本当にありがとうございます」

カルトメリは満面の笑みで受け取り、並んで立つアラーナも笑顔になる。

ワーレンバーグ公爵家に戻ってからひと月ほど。
カルトメリ自身の努力と夫人であるアラーナの尽力もあり、身体能力は五分程度から九分程度に回復した。
今日のパーティーは、それをお披露目する場となっている。

「アラーナのおかげだ」

リフォリア子爵のみならず、会う人ごとにカルトメリはそう口にする。
ただし“おかげ”が、“夜の”や“ベッドの上で”のような意味と知る人は、ごくごく一部に限られた。

「ところで、テレシア嬢のことだが…」
「ええ、存じております」
「ほほぅ、すると異存はないと?」

ルゴルドは快くうなずいた。

「ここ数年でタルバン伯爵様の人柄はよく理解できておりますし、クリスパ領の立て直しも順調と聞いておりますので…」
「うむ、もうしばらくは辛抱が必要だろうが、先々は有望だ。もう貧乏伯爵家とは呼ばれないはずだ」
「ただ…」

何か思うところがあるらしく、リフォリア子爵が視線を伏せる。

「ただ?」
「テレシアが何かとクリスパ領に行きたがるので、どうにも困っておりまして…」
「ほう」
「いえ、タルバン伯爵様を信頼していないわけではないのですが、結婚前の男女があまり近すぎるのは、どうにも…。閣下はいかが思われますか?」

カルトメリは苦笑する。

「わっはっは、遅いよ!もうズッポシやること、やってるって!」

娘の貞操を心配する父親に、事実を明かすほど非情なカルトメリではない。
まして、テレシアの方が積極的などとは…。

素知らぬ顔でリフォリア子爵の肩に手を置く。

「2人には早めに式を挙げるよう促しておこう」
「よろしくお願いいたします」

一礼してリフォリア子爵が離れると、アラーナが「すみません。兄がとんでもないことを」と謝った。

「いや、タルバンをしきりに突っついたのは私だ。とは言え、そんな状況は予想できなかったがなあ」



公爵邸に戻ったカルトメリは「どうしてそうなった?」と、タルバンらに尋ねて回る。
タルバン本人は元より、テレシアは口ごもったものの、アラーナやパルマはあっさり答えた。

「雷がひどい夜がありまして…」
「ああ、テレシアは雷が苦手だったな」

アラーナに女装したタルバンが、そうと気づかないテレシアにベッドに引き込まれた。
そして話をしているうちに我慢できずにのしかかった、と。

そうした推移を聞いたカルトメリは大笑いした。


「まあ、兄として弟が幸せになってくれるのなら、それ以上のことはない」
「ありがとうございます」
「しかし、だ…」

カルトメリが何か思い込む様子で空を見上げると、アラーナが心配げな視線を向ける。

「どうしました?」
「兄妹そろって嫁に迎えたのは、世界広しと言えども私くらいのものだろうな」

カルトメリとアラーナがそろって笑顔になった。

 -完-

-------------------------------------------------------------------------------------
最後までお読みいただきまして、ありがとうございます。
途中からかなり端折ってしまい、申し訳ありませんでした。m(_ _)m
少しでも楽しんで頂けたら幸いです。

次回作は、明治中頃の日本を舞台として女男の2人の主人公を数話ずつ交互に書いていきます。
本作と同じく恋愛カテゴリ、R18設定です。

題名は「おのぼりさんが帝都の貴族屋敷で奉公することになりました」です。

本日の夜にある程度まとめて投稿します。
その後は本作同様に毎日投稿を行い、ひと月ほどで終わる見込みです。
……おそらく、多分、きっと。.....φ(@_@;)

もしよろしければ、どうぞご覧ください。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜

桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。 上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。 「私も……私も交配したい」 太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。

処理中です...