44 / 250
第40話 カルトメリの暴走
しおりを挟む
「カルトメリ・ワーレンバーグ公爵です」
位が上であるカルトメリから声をかける。
「アラーナ・クリスパでございます」
そう応じて顔を上げた相手をカルトメリは見つめる。
『化粧と衣装がやや時代遅れ…』
それが相手に対する第一印象。
『そこを直せば、クランダルク王国の宝石と呼んでもおかしくないな』
こちらが第二印象。
それと共に…
『化粧はチェルリが上手かったな』
『あの夜のキャメライトの髪型は素晴らしかったな』
『ドレスのセンスはプルコルトが抜群だった』
これまで交際してきた女達が思い浮かんだものの、カルトメリは強引に頭の中から吹き飛ばした。
アラーナが伸ばした手の甲にカルトメリは軽く口づけをする。
わずかに緊張したらしき感覚が伝わった。
『社交界も未経験とあったし、こうした対面すら初めてか…』
カルトメリが手を離すと、アラーナは手を戻しつつ会釈した。
「本日は公爵閣下自らクリスパ領までお越しいただきありがとうございます」
「こちらこそ、急な申し出をお聞きいただき感謝します」
互いに微笑みを交わすと、アラーナはカルトメリの先に立って屋内へと案内する。
カルトメリに続くのは、執事のコーネリア・センシスと護衛役であるオルギュール・ビルギイトのみ。
同行した公爵家の家人達はクリスパ家の屋外で待つことになる。
ただし騎士達は手分けしてクリスパ家を取り囲むように護衛の任に着いた。
『確かクリスパ伯爵家に仕えるのは4人とあったが…』
屋内に向かうカルトメリはさり気なくクリスパ家の家人を観察する。
『中年の男女と青年1人は調査通り、しかし若い女が2人いるな…』
背が高めの侍女とアラーナ嬢とほぼ同じ背の高さの侍女。
これが公爵家であれば、侍女であっても服装は統一されている。
一方で目の前にいるクリスパ家の侍女はエプロンこそ似たようなものを身に着けている。
しかし中年女を含めて3人の女の服装はバラバラだ。
『私を迎えるために臨時に雇ったのだろうか…』
そう考えつつカルトメリは屋内へと足を進める。
『外と同様に内側もかなりくたびれているな…』
さり気なく室内に目をやる。
建てた当時はそれなりに金銭をかけた建物だっただろう。
それでも百年、いや、それ以上の年月を経て痛みが激しい。
ただし適度に手を入れてあり、掃除は隅々まで行き届いている。
カルトメリはクリスパ家の誠実さが表れているように感じた。
「どうぞ、お入りください」
「うむ」
居間へと案内された後、アラーナに勧められてカルトメリはソファに座る。
コーネリアとオルギュールはカルトメリの背後に並んで立った。
正面に座ったアラーナを、カルトメリは改めて見つめる。
明るい栗色の真っすぐな艶のある髪と、ほぼ同じ色の瞳。
しっかりと自分の方を見据えた眼差しは温かく感じられて引き込まれる。
笑みをたたえつつも、引き締まった唇は化粧により美しく輝いている。
そのから下に視線を移すと、ドレスの上からでも凹凸のある体形が想像できた。
『こんな女性がこれまで社交界に出てこなかったとはなあ』
ここでカルトメリは勝手な運命論を暴走させる。
『これは運命に違いない!私こそがアラーナ嬢を世に出す運命の相手だ!』
そのように暴走しつつも、当初からの違和感を完全に打ち消すことはできなかった。
位が上であるカルトメリから声をかける。
「アラーナ・クリスパでございます」
そう応じて顔を上げた相手をカルトメリは見つめる。
『化粧と衣装がやや時代遅れ…』
それが相手に対する第一印象。
『そこを直せば、クランダルク王国の宝石と呼んでもおかしくないな』
こちらが第二印象。
それと共に…
『化粧はチェルリが上手かったな』
『あの夜のキャメライトの髪型は素晴らしかったな』
『ドレスのセンスはプルコルトが抜群だった』
これまで交際してきた女達が思い浮かんだものの、カルトメリは強引に頭の中から吹き飛ばした。
アラーナが伸ばした手の甲にカルトメリは軽く口づけをする。
わずかに緊張したらしき感覚が伝わった。
『社交界も未経験とあったし、こうした対面すら初めてか…』
カルトメリが手を離すと、アラーナは手を戻しつつ会釈した。
「本日は公爵閣下自らクリスパ領までお越しいただきありがとうございます」
「こちらこそ、急な申し出をお聞きいただき感謝します」
互いに微笑みを交わすと、アラーナはカルトメリの先に立って屋内へと案内する。
カルトメリに続くのは、執事のコーネリア・センシスと護衛役であるオルギュール・ビルギイトのみ。
同行した公爵家の家人達はクリスパ家の屋外で待つことになる。
ただし騎士達は手分けしてクリスパ家を取り囲むように護衛の任に着いた。
『確かクリスパ伯爵家に仕えるのは4人とあったが…』
屋内に向かうカルトメリはさり気なくクリスパ家の家人を観察する。
『中年の男女と青年1人は調査通り、しかし若い女が2人いるな…』
背が高めの侍女とアラーナ嬢とほぼ同じ背の高さの侍女。
これが公爵家であれば、侍女であっても服装は統一されている。
一方で目の前にいるクリスパ家の侍女はエプロンこそ似たようなものを身に着けている。
しかし中年女を含めて3人の女の服装はバラバラだ。
『私を迎えるために臨時に雇ったのだろうか…』
そう考えつつカルトメリは屋内へと足を進める。
『外と同様に内側もかなりくたびれているな…』
さり気なく室内に目をやる。
建てた当時はそれなりに金銭をかけた建物だっただろう。
それでも百年、いや、それ以上の年月を経て痛みが激しい。
ただし適度に手を入れてあり、掃除は隅々まで行き届いている。
カルトメリはクリスパ家の誠実さが表れているように感じた。
「どうぞ、お入りください」
「うむ」
居間へと案内された後、アラーナに勧められてカルトメリはソファに座る。
コーネリアとオルギュールはカルトメリの背後に並んで立った。
正面に座ったアラーナを、カルトメリは改めて見つめる。
明るい栗色の真っすぐな艶のある髪と、ほぼ同じ色の瞳。
しっかりと自分の方を見据えた眼差しは温かく感じられて引き込まれる。
笑みをたたえつつも、引き締まった唇は化粧により美しく輝いている。
そのから下に視線を移すと、ドレスの上からでも凹凸のある体形が想像できた。
『こんな女性がこれまで社交界に出てこなかったとはなあ』
ここでカルトメリは勝手な運命論を暴走させる。
『これは運命に違いない!私こそがアラーナ嬢を世に出す運命の相手だ!』
そのように暴走しつつも、当初からの違和感を完全に打ち消すことはできなかった。
0
あなたにおすすめの小説
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる