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第3話
譲渡された力
しおりを挟む「アイリスさん。僕はアイリスさんと同じ力を譲渡され、どう変わったのでしょうか?何か魔法などが使えるのでしょうか?」
ハルトが神アイリスに質問をした。
「我にもそれは分からぬ。アイリス神家にもたまざまな魔力の個性を持ったものがおったからのー。」
「だが、一つだけ確かなことは、アイリス神家の魔力量はこの世界では飛び抜けていると言える。貴様にも譲渡されておるのだから魔力量共に飛び抜けておると思うぞ。」
「ハルトよ!!【ステータスオープン】と唱えてみよ。」
そう言われてハルトは唱えた。
「ステータスオープン」
すると目の前に、文字の書かれたプレートが現れた。
「す、すげぇーー」
感動しながらも、プレートの内容を一つ一つ確認していった。
名前【月山ハルト】
Lv【 1 】
体力【500/500】
防御力【500/500】
魔力量【500/500】
属性【火】
魔法攻撃
【ファイヤー】・・消費魔力100
【ファイヤボール】・・消費魔力100
アルティメットスキル
【????】消費魔力・・♾
スキル発動効果不明。
スキル発動後は魂が破壊され死亡する。
ハルトのステータスプレートを見て唖然とする神アイリス。
神アイリスとは違いハルトはステータスプレートに表示された数字を見て喜んでいた。
「アイリスさん!すごい、すごいですよ。」
「体力・防御力・魔力量が【500】もあります。アイリスさんの力を譲渡された僕は最強なんじゃないですか?」
「普通の人の何倍くらい強いんですか?」
目がキラキラしながらハルトは興奮を抑え切れず神アイリスに語りかける。
アイリスはハルトのステータスプレートについて話し出した。
「とても言いにくいのじゃが、やはりユナ殿が使った【全譲渡】は不完全な状態で発動したのかもしれぬ。」
「ユナ殿は力を初めて使ったにも関わらず、究極魔法【全譲渡】を発動した。本来、究極魔法なんてものは鍛錬して魔力操作を熟知した者しかつかえぬからの。」
ハルトは神アイリスが何のことを言っているのかよくわかっていなかった。
神アイリスは重い口を開く。
「ハルトのステータスプレートじゃが・・・」
「たしかに、アイリス神家の属性である火属性はついておる。しかし、体力・防御力・魔力量は至って普通じゃ。普通の魔導士レベルくらいのステータスってところじゃな。」
「とくに強くないんじゃよ。」
それを聞いたハルトはキョトンとしたまま動かない。
期待してた分ショックが大きかったハルトだったが、せっかくユナ・神アイリスさんに2度目の人生を頂けたので、欲張り過ぎだったと反省をした。
「アイリスさん、ありがとう」
ハルトが急にお礼を言い出したので、神アイリスはビックリしている様子だ。
「僕は、ユナとアイリスさんのおかげで異世界だけど2度目の人生を歩む事ができます。感謝しかありません。今でも生きていられる事が一番幸せです。ステータスが強くなくても、魔法は使えるみたいだし、なんとかこの世界で生きていきます。」
神アイリスはハルトの言葉を聞いてホッとした。
しかし、アルティメットスキル【???】はなんだろう?
神アイリスとハルトは、このスキルについて話し合ったが発動後に死ぬスキルなんて神アイリスも聞いたことがなかったし、ありえないスキルだったので、不完全な究極魔法【全譲渡】でバグが発生したのだろうと結論付けることにした。
このスキルは何が起こるか分からない点と危険すぎる点から使用しないことを約束した。
ハルト自身、スキル使用後に死亡するなんて絶対嫌だと思っていた。
その後、神アイリスはステータスプレートの意味をハルトが分かる様に説明し、魔法の使い方や火属性の特性を教えながら訓練していった。
半日ほど神アイリスから指導が続き、ようやく【ファイヤー】と【ファイヤボール】が使える知識を持った。
「では、ハルトよ!目を開け実戦訓練を行ってみるのじゃ。」
ハルトは神アイリスと話している間ずっと目を閉じていたので最初目が開かなかったが、ゆっくりと重たい目を開けた。
「よし!いくぞ!まずは【ファイヤー】。」
右手に魔力の流れを集中し、声を上げた。
「【ファイヤー】!!」
すると。手のひらサイズの火が現れた。
ハルトは感動と興奮を押し殺し、再度右手に魔力の流れを集中し、洞窟に転がっているボーリングの玉くらいの岩に右手を向けた。
「【ファイヤボール】!!」
右手に手のひらサイズの火の玉が現れ、勢いよく飛び出した。
火の玉は岩に命中し、粉々に飛び散った。
すかさず目を閉じ、神アイリスに魔力操作が出来たこと、魔法が使えたことを伝えた。
アイリスはハルトにこう伝えた。
「ハルトよ!これで、我の訓練は終わりじゃ。」
「一つ言わなければいけないことがあるのじゃが、この世界は【魔物】が存在しておる。」
「闇の力を持った【ガルファイン】は消滅したが、その配下達は生きておるのじゃよ。」
ガルファイン消滅後、配下たちは力を失い日の当たらない場所で静かに生きていると思われる。
闇の力を持った配下たちは力を失っているはずじゃから、遭遇したとしても普通の魔導士レベルの奴でも倒せるはずじゃから心配せんでも良いがの。
笑いながら神アイリスはハルトに伝えた。
神アイリスは少し疲れた様な口ぶりで、すぐにハルトに話始めた。
「我もそろそろ限界のようじゃ。」
「我はもともと死んでおる。転生させた我の子に【意思の魔力】込めたゆえ、子孫たちを見守ることができたのじゃが、ユナ殿の究極魔法のおかげで我の魔力も強制的に使われてしまった。」
「魔力も底を尽きかけておる。」
「少しの間、ハルトの前に現れることは出来ないじゃろう。」
「ハルトよ!この異世界で自分の好きなように生き、好きなように暮らすが良い。」
「我はハルトの味方じゃ。アイリス神家の魔力を継ぐ者よ。幸運を祈っておるぞ。」
そして、神アイリスは目の前から消えていった。
ハルトはパッと目を開け、「よし!」と両手で顔を叩き、洞窟を歩き出した。
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