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二人の女神
③
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「今回で確か、十一回目のループになるわね。往生際悪く、よく粘ったものだわ」
「ちょっと、なに勝手に完結してんのよ。リリアンテは負けませんー。これで十一連勝になりますー。やーい負け犬ー」
「こんのっ……まぁいいわ。どこまで足掻けるか見せてご覧なさいな」
エライザは余裕の笑みを見せ、野良犬でも追いやるように、シッシッと手を振って退室を促した。
私がどんな結末を迎えるか見定めるため、女神と継母の一人二役をこなしているエライザだが、最近は意地悪な継母ぶりが板についている感じだ。たぶん当人も楽しんでいることだろう。
部屋を退室して廊下へと出ると、ロレットが両の拳を握りしめて言う。
「リリアンテ……いえ、リリアンテお嬢様! 今回もあの性悪女神をぎゃふんと言わせてやりましょう! ハッピーエンドにたどり着くんです!!」
「はあ。もちろん私の人生に関わってくるので最善は尽くしますが」
「そうこなくっちゃ! もちろん勝算はあるんですよね!?」
ロレットの期待に満ちた眼差しを受け、私は顎に手をやりウーンと唸る。
私の唯一のアドバンテージは、ゲーム知識があることだ。おかげで、場面がどのようなシナリオに基づいて進むのか、そして登場人物たちが次にどんな行動に出るか、多少は読める。
舞踏会ではヒヤリとした場面にあったものの、自分ができる精一杯の行動は取ったつもりだ。
アディフが私のことを気にかけてくれているなら、この先起きそうなイベントは予想がつく。
そしてその際に最大の障害となるのは、これまでのループでも度々私の邪魔をしてきた小悪魔、義妹のルミアである。
私は舞踏会での出来事を詳細に思い返すと、一つ頷いた。
「ロレット。あなたに一つ頼みたいことがあるの」
「もちろんですお嬢様、何なりと!
……ああでも、女神の奇跡にすがるようなお願いは駄目ですよ? ルール違反になっちゃうので」
「わかってますよ。もう十一回目ですから」
「それでは……さあお嬢様、何なりと仰ってください! このロレット、お嬢様のためならたとえ火の中水の中!」
ロレットは胸に手を当て、大げさに天を仰いでみせる。
女神ロレットも女神エライザ同様、ゲームの登場人物に成り切ってノリノリだ。
楽しそうで何よりです、ほんと。
「では、手紙を一通届けてくれるかしら」
「手紙? きゃあ、もしかして恋文ですかお嬢様!?」
はしゃぐロレットに対し、私は立てた人差し指を口元にやって言う。
「それは後でのお楽しみ」
「ちょっと、なに勝手に完結してんのよ。リリアンテは負けませんー。これで十一連勝になりますー。やーい負け犬ー」
「こんのっ……まぁいいわ。どこまで足掻けるか見せてご覧なさいな」
エライザは余裕の笑みを見せ、野良犬でも追いやるように、シッシッと手を振って退室を促した。
私がどんな結末を迎えるか見定めるため、女神と継母の一人二役をこなしているエライザだが、最近は意地悪な継母ぶりが板についている感じだ。たぶん当人も楽しんでいることだろう。
部屋を退室して廊下へと出ると、ロレットが両の拳を握りしめて言う。
「リリアンテ……いえ、リリアンテお嬢様! 今回もあの性悪女神をぎゃふんと言わせてやりましょう! ハッピーエンドにたどり着くんです!!」
「はあ。もちろん私の人生に関わってくるので最善は尽くしますが」
「そうこなくっちゃ! もちろん勝算はあるんですよね!?」
ロレットの期待に満ちた眼差しを受け、私は顎に手をやりウーンと唸る。
私の唯一のアドバンテージは、ゲーム知識があることだ。おかげで、場面がどのようなシナリオに基づいて進むのか、そして登場人物たちが次にどんな行動に出るか、多少は読める。
舞踏会ではヒヤリとした場面にあったものの、自分ができる精一杯の行動は取ったつもりだ。
アディフが私のことを気にかけてくれているなら、この先起きそうなイベントは予想がつく。
そしてその際に最大の障害となるのは、これまでのループでも度々私の邪魔をしてきた小悪魔、義妹のルミアである。
私は舞踏会での出来事を詳細に思い返すと、一つ頷いた。
「ロレット。あなたに一つ頼みたいことがあるの」
「もちろんですお嬢様、何なりと!
……ああでも、女神の奇跡にすがるようなお願いは駄目ですよ? ルール違反になっちゃうので」
「わかってますよ。もう十一回目ですから」
「それでは……さあお嬢様、何なりと仰ってください! このロレット、お嬢様のためならたとえ火の中水の中!」
ロレットは胸に手を当て、大げさに天を仰いでみせる。
女神ロレットも女神エライザ同様、ゲームの登場人物に成り切ってノリノリだ。
楽しそうで何よりです、ほんと。
「では、手紙を一通届けてくれるかしら」
「手紙? きゃあ、もしかして恋文ですかお嬢様!?」
はしゃぐロレットに対し、私は立てた人差し指を口元にやって言う。
「それは後でのお楽しみ」
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