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第十七話 歌のレッスン?①
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バックガーデンに移動するや否や、ルフォートは私たちを一列に並べ、教師然とした様子でコホンと空咳をしてみせた。ルフォートは理知的な顔立ちだし、レッスンの先生という役柄はぴったりとはまっている。
(まあ、今からやるの高笑いの練習なんだけどね)
変なことに付き合わせてごめんなさい。
マジすいません……。
私は申し訳ない気持ちでいっぱいになりながら、ルフォート先生の言葉に耳を傾ける。
「それでは、さっそくレッスンを始めようか。まずはキュロット、食堂での続きをやってみよう。今から出す音に合わせて発声してみて。
それじゃいくよ。ド~♪」
「ぼぇ~♪」
キュロットの怪鳥の雄叫びじみた発声を耳にして、全身がぞわわっと総毛立った。隣を見やれば、ブラドとヒーシスも鳥肌を立てて固まっている。
ルフォートが蒼白になった顔で言う。
「よしOK! 一旦やめよう!」
「え? もういいんですの? もっと大きな声も出せましてよ?」
物足りない様子のキュロットに対して、ルフォートは決然と言った。
「いくら美しいお嬢さんが相手でも、レッスンを任された以上は妥協なくやるから。オレの言うことには従ってもらうよ。
声の出し方も変な癖がつくと喉を痛めてしまうから、許可なく勝手に歌うのもナシだ。いいかい、仔猫ちゃん?」
「まあ。スパルタですわね。でも、これもシエザの要望に応えるため。全て承知しましたわ」
「うん。よろしい」
ルフォートは満足げに頷いたあと、私の方をチラリと見てウインクしてみせた。その意図に気付いた私は、オオッと小さく感嘆の声を上げる。
(うまく言質とったわね。高笑いができるようになればいいだけだし、下手に歌の自主練とか始められたら被害が拡大するところだったけど、これなら安心ね)
私が胸を撫で下ろしている間に、ルフォートは話を続ける。
「今の発声で問題点はいくつか見えてきたかな。まずは声を張り上げ過ぎだね。もっと伸びやかに声を出すんだ。そうすれば音程も取りやすくなるよ。
それと、最も重要な点が一つ。キュロットは魔力の制御を覚えないと」
唐突に出てきた魔力の話に、ブラドが思わずといった風に口を挟む。
「魔力の制御? それって発声練習とどう関係するんだ?」
その質問は予想の範疇だったらしい。ルフォートは一つ頷いて続けた。
「それが大アリなんだ。皆はキュロットの怪音……じゃなかった。発声を聞いて、何か圧迫感を覚えなかったかい? 鼓膜が破れそうといったものとは別に、恐怖心を掻き立てられるような感覚だ」
ちょいちょい失礼なことを言ってるな。間違ってはないけど。
そう思いつつ、私は頷く。
「そうね。背筋がゾクゾクってなったりするけど」
「そう。それだよ。オレも歌に関してはうるさいから、その正体について考えてみたんだ。どうやらキュロットは大きな声を出す際、無意識のうちに声に魔力を乗せているようだ」
私は確認するようにキュロットを見やった。
しかしキュロットはピンとこない様子で小首を傾げている。
(まあ、今からやるの高笑いの練習なんだけどね)
変なことに付き合わせてごめんなさい。
マジすいません……。
私は申し訳ない気持ちでいっぱいになりながら、ルフォート先生の言葉に耳を傾ける。
「それでは、さっそくレッスンを始めようか。まずはキュロット、食堂での続きをやってみよう。今から出す音に合わせて発声してみて。
それじゃいくよ。ド~♪」
「ぼぇ~♪」
キュロットの怪鳥の雄叫びじみた発声を耳にして、全身がぞわわっと総毛立った。隣を見やれば、ブラドとヒーシスも鳥肌を立てて固まっている。
ルフォートが蒼白になった顔で言う。
「よしOK! 一旦やめよう!」
「え? もういいんですの? もっと大きな声も出せましてよ?」
物足りない様子のキュロットに対して、ルフォートは決然と言った。
「いくら美しいお嬢さんが相手でも、レッスンを任された以上は妥協なくやるから。オレの言うことには従ってもらうよ。
声の出し方も変な癖がつくと喉を痛めてしまうから、許可なく勝手に歌うのもナシだ。いいかい、仔猫ちゃん?」
「まあ。スパルタですわね。でも、これもシエザの要望に応えるため。全て承知しましたわ」
「うん。よろしい」
ルフォートは満足げに頷いたあと、私の方をチラリと見てウインクしてみせた。その意図に気付いた私は、オオッと小さく感嘆の声を上げる。
(うまく言質とったわね。高笑いができるようになればいいだけだし、下手に歌の自主練とか始められたら被害が拡大するところだったけど、これなら安心ね)
私が胸を撫で下ろしている間に、ルフォートは話を続ける。
「今の発声で問題点はいくつか見えてきたかな。まずは声を張り上げ過ぎだね。もっと伸びやかに声を出すんだ。そうすれば音程も取りやすくなるよ。
それと、最も重要な点が一つ。キュロットは魔力の制御を覚えないと」
唐突に出てきた魔力の話に、ブラドが思わずといった風に口を挟む。
「魔力の制御? それって発声練習とどう関係するんだ?」
その質問は予想の範疇だったらしい。ルフォートは一つ頷いて続けた。
「それが大アリなんだ。皆はキュロットの怪音……じゃなかった。発声を聞いて、何か圧迫感を覚えなかったかい? 鼓膜が破れそうといったものとは別に、恐怖心を掻き立てられるような感覚だ」
ちょいちょい失礼なことを言ってるな。間違ってはないけど。
そう思いつつ、私は頷く。
「そうね。背筋がゾクゾクってなったりするけど」
「そう。それだよ。オレも歌に関してはうるさいから、その正体について考えてみたんだ。どうやらキュロットは大きな声を出す際、無意識のうちに声に魔力を乗せているようだ」
私は確認するようにキュロットを見やった。
しかしキュロットはピンとこない様子で小首を傾げている。
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