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身体は近づく、心が遠のく
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「そのかんざしはどうした」
「畏れ多くも、奴婢が皇太后娘娘にいただいたものです」
白露は一層縮こまる。
背後から、くすくす笑う宮女たちの声が聞こえて、堯舜は我に帰る。1人だけ跪かせ、糾弾しているように聞こえたかもしれない。
これでは白露の宮女としての立場が悪くなってしまう。
それに母が誰かわかっているのか、自分の正体がバレているのか悩み焦れた堯舜はは堪え性なく聞いた。
「随分と皇太后と懇意のようだが、我が母の名を言えるか」
沈黙が流れる。決心したように白露が答える。
「雲泪様でございます」
宮女たちはおかしな顔をする、この後宮で皇太后が雲泪であると知らない者はいるのだろうかと首をかしげ、皇帝陛下の質問の真意が掴めない。
皇帝陛下の声は優しくひどく悲しげに、白露の頭から降り注ぐ。
「それでは私の名前も言えるのか」
白露は答えようとしたが、陛下に制止される。
「阿羽、人払いをしろ。宮女もだ。牡丹坊に誰も入れるな。朕は白露と話がある」
お付きの役人が宮女たちを連れ、邸の外にでる。
堯舜と白露は2人きりになった。
「顔を上げていいよ」
「皇上ありがとうご…」
「そうゆう挨拶もいいって、いつから」
堯舜は悲しげに続ける。
「いつから、皇帝だと知っていた?」
「陛下と桃を一緒に食べた次の日に皇太后陛下が教えてくださって…」
白露は何を話せばいいか迷った。
「白家の白露として貴妃となり、陛下をお仕えするようにと、私に牡丹坊と翡翠のかんざしをくださいました」
堯舜は訳が分からなかったが、周りを振り回す母の思惑には腹が立った。それに見当たらない子供達のことも気になる。
「白露、子供たちは?」
「しばらくは後宮はあわただしいだろうがと皇太后様がお預かりくださり…」
無性に腹が立った。
「それで母は嫌がるお前を振り回して、俺の後宮へ入れと」
「いいえ、私、陛下を嫌がってはおりません」
そう答える白露に堯舜はもっと腹を立てる。
堯舜は子供たちを思う白露が好きだったからだ。
「つまり、お前は最初2秒で朕をふったにも関わらず、皇帝と知るなり、子供を捨て、女として擦り寄ってきたわけか」
白露が変わってしまったようで、許せなかった。ひどい言葉がスラスラと出てきた、胸が痛くなるような言葉を吐いて、堯舜も心臓を刺されるような気持ちだった。しかし飛飛と花花を捨てた白露をどうしても許せなく感じた。女であるより母であってほしかった。
その言葉を聞いた白露も零下の冬に冷や水をかけられたかのように、心が凍りついていた。
「ここにはいたくないし、子供たちに会いたいに決まってます」
「では、なぜこんな場所にいる。母に煽てられて、貴妃への夢でもみたか。後宮にお前の場所などない」
白露の大きな眼からは涙があふれた。
「では陛下、私が子供たちを連れて後宮を出ることを許してくれますか」
やはり母が無理強いしたのかと、はやとちりでひどい言葉を吐いた自分を堯舜は 恥じた。
「やはり、母に無理強いされたのだな、申し訳ない」
「いいえ、最後に覚悟を決めたのは私です」
「覚悟は必要ない。そなたがいなくても貴妃なら足りる」
白露は翡翠のかんざしをはずした。
「お返しします」
「これは母からもらったのだろう」
「いいえ、3年前に花嫁の輿の中で陛下がくれました」
堯舜は息を呑んだ。
「お返しいたします。子供たちを庶民の子として育てられることこそ本望です。私たちには荷が重すぎますもの」
「畏れ多くも、奴婢が皇太后娘娘にいただいたものです」
白露は一層縮こまる。
背後から、くすくす笑う宮女たちの声が聞こえて、堯舜は我に帰る。1人だけ跪かせ、糾弾しているように聞こえたかもしれない。
これでは白露の宮女としての立場が悪くなってしまう。
それに母が誰かわかっているのか、自分の正体がバレているのか悩み焦れた堯舜はは堪え性なく聞いた。
「随分と皇太后と懇意のようだが、我が母の名を言えるか」
沈黙が流れる。決心したように白露が答える。
「雲泪様でございます」
宮女たちはおかしな顔をする、この後宮で皇太后が雲泪であると知らない者はいるのだろうかと首をかしげ、皇帝陛下の質問の真意が掴めない。
皇帝陛下の声は優しくひどく悲しげに、白露の頭から降り注ぐ。
「それでは私の名前も言えるのか」
白露は答えようとしたが、陛下に制止される。
「阿羽、人払いをしろ。宮女もだ。牡丹坊に誰も入れるな。朕は白露と話がある」
お付きの役人が宮女たちを連れ、邸の外にでる。
堯舜と白露は2人きりになった。
「顔を上げていいよ」
「皇上ありがとうご…」
「そうゆう挨拶もいいって、いつから」
堯舜は悲しげに続ける。
「いつから、皇帝だと知っていた?」
「陛下と桃を一緒に食べた次の日に皇太后陛下が教えてくださって…」
白露は何を話せばいいか迷った。
「白家の白露として貴妃となり、陛下をお仕えするようにと、私に牡丹坊と翡翠のかんざしをくださいました」
堯舜は訳が分からなかったが、周りを振り回す母の思惑には腹が立った。それに見当たらない子供達のことも気になる。
「白露、子供たちは?」
「しばらくは後宮はあわただしいだろうがと皇太后様がお預かりくださり…」
無性に腹が立った。
「それで母は嫌がるお前を振り回して、俺の後宮へ入れと」
「いいえ、私、陛下を嫌がってはおりません」
そう答える白露に堯舜はもっと腹を立てる。
堯舜は子供たちを思う白露が好きだったからだ。
「つまり、お前は最初2秒で朕をふったにも関わらず、皇帝と知るなり、子供を捨て、女として擦り寄ってきたわけか」
白露が変わってしまったようで、許せなかった。ひどい言葉がスラスラと出てきた、胸が痛くなるような言葉を吐いて、堯舜も心臓を刺されるような気持ちだった。しかし飛飛と花花を捨てた白露をどうしても許せなく感じた。女であるより母であってほしかった。
その言葉を聞いた白露も零下の冬に冷や水をかけられたかのように、心が凍りついていた。
「ここにはいたくないし、子供たちに会いたいに決まってます」
「では、なぜこんな場所にいる。母に煽てられて、貴妃への夢でもみたか。後宮にお前の場所などない」
白露の大きな眼からは涙があふれた。
「では陛下、私が子供たちを連れて後宮を出ることを許してくれますか」
やはり母が無理強いしたのかと、はやとちりでひどい言葉を吐いた自分を堯舜は 恥じた。
「やはり、母に無理強いされたのだな、申し訳ない」
「いいえ、最後に覚悟を決めたのは私です」
「覚悟は必要ない。そなたがいなくても貴妃なら足りる」
白露は翡翠のかんざしをはずした。
「お返しします」
「これは母からもらったのだろう」
「いいえ、3年前に花嫁の輿の中で陛下がくれました」
堯舜は息を呑んだ。
「お返しいたします。子供たちを庶民の子として育てられることこそ本望です。私たちには荷が重すぎますもの」
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