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エピローグ
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部活が終わるまで宮瀬くんを待つことにした。夕方には終わるというので、駅近くのカフェに入って待っていると、窓の向こうから僕のことを覗く一群がいた。
宮瀬くんのバスケ部のメンバーだ。ニヤニヤしながら手を振ってくる。あんなふうに公開告白をして、宮瀬くんには悪いことをしたと後になって気づいた。
宮瀬くんが告白を受ける現場に居合わせることはあっても、同性から告白される現場を見たことはないだろう。しかも宮瀬くんはその同性からの告白を受け入れた。これでチームメイトの宮瀬くんを見る目が変わったり、不要な歪ができてしまったらどうすればいいんだろうと思っていた。
でも部員たちは宮瀬くんが僕のことが好きだと知っていたらしい。というのは顧問に部活を休むと宣言して図書当番をやっていた宮瀬くんの書いた日誌が、図書委員に読まれて、それが拡散された。
人に興味のない宮瀬くんがバスケ部の責任を投げ打ってまで図書当番をした。しかも宮本奏のために。これには宮瀬組だけでなく、宮本組も大騒ぎになった。加えて、熱が下がって復活した僕が、日誌で好きな人について触れた。これを読んだ図書委員が今度は急いで、修学旅行のグループを調べ、これは間違いなく両思いだと、一部で盛り上がったのだ。
宮瀬颯人は学校の人気者だし、宮本奏は最近容姿が変わって何かと話題に上がっていた。二人の恋物語は瞬く間に広がり、バスケ部にまで届いた。
部活をサボると与えられるペナルティを甘んじて受け入れて、追加の走り込みをする宮瀬くんの姿を見ていた部員たちは、どうやら噂も、宮瀬くんの気持ちも本当らしいと思い始めたのだという。
部員たちの中には同性同士で気持ち悪いと思った人もいたのかもしれないけれど、誰も声をあげてそれを主張することはなかった、だから心配なんてしなくていいと、休憩時間にメッセージをくれた江川くんが事の詳細と共に教えてくれた。
両思いの二人がここ最近まったくと言っていいほど話さないと聞いていたから、むしろ気持ちが通じ合って嬉しいとばかりにみんな喜んでくれているらしい。
そうして窓の向こうの宮瀬くんの仲間たちに手を振っていると、店の扉が開く音がして宮瀬くんが入ってきた。
「お待たせ」
ここ最近見ることのできなかった宮瀬くんの笑顔に僕の心臓はドキドキさせられる。もうとっくにコーヒーもケーキも食べ終わっていたから、荷物をまとめて席を立つ。
二人の大事な時間だからと去っていったバスケ部の面々と今だと電車が一緒になると言って、宮瀬くんが一本電車を見送ることを提案する。
電車を待っている間にそういえばケーキが家にもあったと思い出して、一個余分に買った一つが誰のものか思い至る。
「顔がまた赤くなった」
宮瀬くんが声を出して笑うので、今度はその声が聴きたくて、僕は目を閉じた。ふふっと空気が漏れる音がしたと思ったら、宮瀬くんの顔が近くに寄ってきた。
「奏、奏の言葉もっと聴かせて」
(完)
———————————————————-
ここまでお読みいただきありがとうございました!本作品の本編はここで完結です。
楽しんでいただけたならとても嬉しいです!
2人の今後の話など、番外編も不定期になるかなと思いますが投稿していきます。
その時はまた奏たちに会いにきてください!
ありがとうございました!!!
宮瀬くんのバスケ部のメンバーだ。ニヤニヤしながら手を振ってくる。あんなふうに公開告白をして、宮瀬くんには悪いことをしたと後になって気づいた。
宮瀬くんが告白を受ける現場に居合わせることはあっても、同性から告白される現場を見たことはないだろう。しかも宮瀬くんはその同性からの告白を受け入れた。これでチームメイトの宮瀬くんを見る目が変わったり、不要な歪ができてしまったらどうすればいいんだろうと思っていた。
でも部員たちは宮瀬くんが僕のことが好きだと知っていたらしい。というのは顧問に部活を休むと宣言して図書当番をやっていた宮瀬くんの書いた日誌が、図書委員に読まれて、それが拡散された。
人に興味のない宮瀬くんがバスケ部の責任を投げ打ってまで図書当番をした。しかも宮本奏のために。これには宮瀬組だけでなく、宮本組も大騒ぎになった。加えて、熱が下がって復活した僕が、日誌で好きな人について触れた。これを読んだ図書委員が今度は急いで、修学旅行のグループを調べ、これは間違いなく両思いだと、一部で盛り上がったのだ。
宮瀬颯人は学校の人気者だし、宮本奏は最近容姿が変わって何かと話題に上がっていた。二人の恋物語は瞬く間に広がり、バスケ部にまで届いた。
部活をサボると与えられるペナルティを甘んじて受け入れて、追加の走り込みをする宮瀬くんの姿を見ていた部員たちは、どうやら噂も、宮瀬くんの気持ちも本当らしいと思い始めたのだという。
部員たちの中には同性同士で気持ち悪いと思った人もいたのかもしれないけれど、誰も声をあげてそれを主張することはなかった、だから心配なんてしなくていいと、休憩時間にメッセージをくれた江川くんが事の詳細と共に教えてくれた。
両思いの二人がここ最近まったくと言っていいほど話さないと聞いていたから、むしろ気持ちが通じ合って嬉しいとばかりにみんな喜んでくれているらしい。
そうして窓の向こうの宮瀬くんの仲間たちに手を振っていると、店の扉が開く音がして宮瀬くんが入ってきた。
「お待たせ」
ここ最近見ることのできなかった宮瀬くんの笑顔に僕の心臓はドキドキさせられる。もうとっくにコーヒーもケーキも食べ終わっていたから、荷物をまとめて席を立つ。
二人の大事な時間だからと去っていったバスケ部の面々と今だと電車が一緒になると言って、宮瀬くんが一本電車を見送ることを提案する。
電車を待っている間にそういえばケーキが家にもあったと思い出して、一個余分に買った一つが誰のものか思い至る。
「顔がまた赤くなった」
宮瀬くんが声を出して笑うので、今度はその声が聴きたくて、僕は目を閉じた。ふふっと空気が漏れる音がしたと思ったら、宮瀬くんの顔が近くに寄ってきた。
「奏、奏の言葉もっと聴かせて」
(完)
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ここまでお読みいただきありがとうございました!本作品の本編はここで完結です。
楽しんでいただけたならとても嬉しいです!
2人の今後の話など、番外編も不定期になるかなと思いますが投稿していきます。
その時はまた奏たちに会いにきてください!
ありがとうございました!!!
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