あの日見た空を忘れない

karin

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不毛な練習を繰り返した成果とでもいうのだろうか。
パッケージを歯でちぎり、片手で事も無げにコンドームを着ける亮治の動きには全く無駄が無い。いや、それどころかあまりにも鮮やかな動きはカッコよく見えるほどだ。

「亮治、さすがに慣れとるね」
「まあ、ここまではなんとか。散々小遣いこれに注ぎ込んできたし。んでも、問題はここからじゃろ?」

グンと反り返ったそれに、たっぷりとローションを垂らす。薄いピンクのゴムに覆われたそれは見慣れた姿とは随分と違っていて、なんとなく現実味が無い。

「なんかネットで見た…大人のオモチャみたい。ツルンとしとって」
「失敬な。たかちゃんのココには、オモチャも入れさせんけんね」

ブゥとわざとらしく唇を尖らせながら、その先端で俺の窄まりをクニクニと刺激する。一度開かれてしまえば、瞬時に閉ざされてしまうというわけではないらしい。
微かに力が加わるだけで、キュッと容易くその中心が押し込まれる。

単に俺の体にまだ上手く力が入らないからなのかもしれないけど。

「すごいね…なんか、俺を欲しがって吸い付いてきとるみたい」

興奮のせいか、亮治の声が震えていた。
自分の性器を右手で支え、唇をペロリと舐めながらその一点を凝視している。

「ヤバい…俺、我慢できるかな……」
「なんの我慢な? 別に出したきゃ好きな時に出しゃええが」
「違う違う。そっちはたぶん我慢できんて、最初っからわかっとるし。そうじゃのうて……」

クプッと小さな音と共に、中へと押し入ってくる部分が増えてくる。あの圧倒的な存在感を思い出し、期待と恐怖で自然と体が震えた。

「たかちゃんの体を、ちゃんと労ってあげにゃいけんのはわかっとるんよ。わかっとるんじゃけど…自分の思うまま、なんか勝手に動きそう。嫌がっても、痛いって泣いても…止めてあげられる気がせん」
「ほうか。ほしたら…別にやめにゃええが」

怠さの勝る脚にそれでも懸命に力を入れ、亮治の引き締まった腰に絡める。
自ら引き寄せるほどの勇気は無く、代わりに小さく尻を揺らして見せた。

「嫌がらん。苦しい、痛いいうんは言うかもしれんけど、やめて欲しいとは思わん。どんだけ俺もお前の事が欲しいと思うとるか…ちぃたぁわかれや」
「でも……」
「俺の言う事は絶対じゃないんか? 俺のやりたい事は叶えてくれるんじゃろ? 今の俺は、お前が欲しい。遠慮なんかせんでええし、それで俺の体が傷つくんなら、まあそれも本望よ」

じっと亮治の目を見つめる。
喉仏が大きく動き、笑うように泣くように、その凛々しい顔が微かに歪んだ。
俺の手を取ると、そのまま萎れた中心を握らせてくる。

「できるだけゆっくり動くように気ぃつける」
「おう」
「もし俺がこれ以上我慢できんと思うたら、遠慮なく動く」
「上等じゃ」
「泣いても止めてあげんし、ひょっとしたら喜ぶかもしれん」
「い、いや、さすがに喜ぶんはやめぇ」
「俺が泣かせとると思うたら、たぶん余計に興奮するもん。さっきからの自分の行動思い出したら間違いない」
「……ああ、間違いなさそうじゃの」
「ほじゃけ、できるだけ変な所に力入れんとってね。どうしても辛かったら、気晴らしに自分でちょっとシコっといて。『やめて』はよう聞かんけど、して欲しい事は聞くように努力するけ、その時はたかちゃんも遠慮なく言うて」

了解の言葉を伝える代わりに、俺は自分のフニャフニャの物をゆっくりと揉みしだく。
躊躇うように入り口付近を押し込むだけだった物が、ようやくジワリと中へ侵入を始めた。

指でも十分に苦しかった。
あの苦しさにも慣れたのだから、ローションの力を借りれば大差ないと思っていた。

そんな数分前の自分をちょっと罵ってやりたい。

3本の指で散々弄られたそこであっても、圧迫感がまるで違うのだ。
思わず息が詰まり、歯を食いしばる。

「た…かちゃん…ちょっときついけ…力緩めて……」

上からまるで雨のようにボタボタと汗が降り注いでくる。辛そうに歪む顔ですら男前だなんてと、そんな余裕も無いはずなのにふと見とれた。

「このままじゃったら入れられんし抜く事もできん…ちぎれそう……」
「そんなん言われても、どうしたらええんか……」

まだ到底入りきってないだろう自らの性器に再びローションを垂らし、ついでのように俺のモノにもたっぷりとそれを纏わせる。
あまりの苦しさに何もできずにいる俺の手ごと性器を握りこみ、小さく揺らすようにそこを扱いてきた。

「ここ、自分で触っといてって言うたのに」

ヌルヌルの感触と亮治の手の動きに、勃ち上がりはしないものの、そこからポッと体に小さな火がつく。それと同時に、歯を食いしばるほどの圧迫感は微かに薄くなった。

「たかちゃん、さっきね…俺が意識してって言うた所、覚えとる?」

中心から亮治の手が離れても、もう俺の手は止まらない。泡立ったローションがニチニチとイヤらしい音を立てていた。
俺から離れた亮治の手は、そこから少し上──臍の下辺りをトントンと叩く。

「ここだけ意識しといて。他の場所は、できるだけ楽にして…さっきとおんなじじゃけ……」

何が我慢できないだ。
どこまでいったって、やっぱり俺に甘くて一生懸命。亮治は亮治だ。
自分が動けなくて苦しい以上に、俺を少しでも楽にしたくて必死になっている。
無理矢理貫こうと思えばきっとできるだろう。それだけの硬さもあるし、たっぷりと使っているローションの助けがあれば、力任せでも捩じ込む事は可能なはずだ。
けれどそれをしない亮治がやっぱり好きだし、そんな亮治だからこそ応えてやりたい。

俺は精一杯頷き、ゆっくりと息を吸った。そのまま静かに空気を吐くと、僅かに強張りが解れてくる気がする。
下腹に意識を集中し、そこにだけ力を入れながら亮治が入ってくる事をイメージしてみた。

そうだ、さっき覚えたじゃないか──亮治を受け入れる為の力の抜き方。

その時がくるのを呼吸を整えながらじっと待つ。少しずつ苦しさが抜け、歯を食いしばったままだった口許がようやく動かせるようになる。
口を小さく開き、ゆっくりと吸った息をハァ…と大きく吐き出す。

吐ききる寸前、俺の中の浅い場所に留まったままだった亮治の熱が一気に奥へと進んできた。



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