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第25話:平凡
しおりを挟む直接会う事なんかないと思っていたあの人が、俺の目の前に居た。
走って来てくれたのがすぐわかる位、あの人の息は上がっていて、それが嬉しくて俺は思わずお礼を言っていた。そしたら、あの人はビックリしたような顔で少し照れたような表情になると、一言だけ言葉を返してくれた。
どういたしまして。
その言葉が、手紙通りの彼で俺は手紙を握りしめたまま、また笑ってしまった。
あぁ、何だろう、この気持ちは。幸せ、と言うには熱すぎる。
嬉しい、と言うには物足りない。あぁ、なんて名前を付けたらいい?
こんなの初めてで全然わからないんだ。手紙……で書いたらわかるだろうか。
いや、やめとこう。きっと口で言えばすぐ終わるような事な気もするし。
とりあえず今は………あなたと言葉を交わせるだけで
十分だ。
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