29 / 35
第29話 校外学習で水族館へ③
しおりを挟む現在、私は海獣コーナーでアザラシを見ている。
どうやら餌の時間のようで、飼育員さんがお魚を与えているところだ。
何頭かいるアザラシの中でも、私のお気に入りの子はゴマフアザラシのゴマちゃんである。
ちょっと太り気味のまるっとしたフォルムがとてもキュートな子だ。
(ゴマちゃん、可愛いなぁ)
前方にはゴマちゃん、横には竜胆さん、と可愛いに囲まれた幸せ空間である。ここが天国か…?
いや待て、ここは水族館だ(冷静な私)
あまりの幸せに耐えかねて脳が壊れかけていた、危ない危ない。
私の思考能力が戻ったところで、竜胆さんが握った手を軽く引っ張ってきた。
だから竜胆さんみたいなクール系女子がこうやって可愛い仕草をするとギャップで死にそうになるから気をつけて欲しいって(心の中で)いつも言ってるのに…!
まぁそれはともかく、何かあったのだろうか。
「竜胆さん、どうしたの?」
「有咲と奈緒、お腹空いたから何か買いに行くって」
竜胆さんが繋いだ手とは反対の手を使って示している方を見ると、どうやら二人は売店に並んでいるみたいだ。
奈緒ちゃん、さっき大量のアイス食べてたよね…?
「それで小森さんはお腹空いてる?」
そう聞かれてから意識を向けてみて初めて気づいたが、どうやら私の身体は栄養を欲しているみたいだ。
「空いてるみたいです」
「じゃあ私たちも行きましょう?」
「うん!」
という事で売店で軽いご飯を買うことになった。
有咲ちゃん達の後ろに並びながらメニューを見る。
焼きそばにフランクフルト、アメリカンドッグなど色々あって悩む…。
「何にしようかな~」
「後でレストランに行くから軽めが良いわよね」
そう、この後は水族館に併設されているレストランで食事をする予定なのだ。
「じゃあ私お好み焼き頼むから半分こする?」
「そうね…それでお願いしようかしら」
「了解、じゃあ先に席座ってていいよ!」
「分かったわ。よろしくね」
「はーい!」
その後注文してから数分経って、熱々のお好み焼きを受け取った私は竜胆さんの待つ席へと向かう。
ちなみに焼きそばとお好み焼きとアメリカンドッグと肉まんを注文した有咲ちゃんと奈緒ちゃんは先に席に着いている。
「お待たせ~」
「あ、かなちん! 先に頂いてるよ~」
「ん~、どれも美味しい!」
奈緒ちゃんは食欲の化身みたいに、ハイペースでたくさん食べている。
こんなに食べても太らないとか羨ましいを通り越して少し怖いまである。
胃の中にブラックホールあるの?って感じ。
有咲ちゃんは、そんな大食い女王の奈緒ちゃんから各種類を少しずつ分けて貰っているみたいだ。賢い。
「小森さん、ありがとう」
「いえいえ!」
そう言いながら竜胆さんの隣の席に座って、テーブルにお好み焼きの入ったパックを置く。
「熱いうちに食べよ!」
パックの蓋を開けて、割り箸を割る。
割った割り箸を使ってお好み焼きをひと口分に切り取ると、そこからさらに多くの湯気が出てきた。
ふーふーして冷まし、竜胆さんへと差し出す。
「はい、あーん」
「いいの?」
私がこくりと頷くと、竜胆さんはあーんに応じてくれた。
「…あーん」
あーん、もうすっごく可愛い!
もう凄くすっごく凄まじく可愛い!
「美味しい?」
「えぇ、美味しいわ。ありがとう」
「えへへ、もうひと口食べる?」
尋ねながらも、お好み焼きを小さく切り分ける。
「いえ、次は小森さんの番でしょ? 箸を貸して?」
「ん~、じゃあお願いします」
竜胆さんに従って箸を渡す。
「はい、あーん」
「あーんっ」
もぐもぐ…。
「美味しい?」
「今まで食べたお好み焼きの中で過去一美味しい」
「ふふ、そう。良かったわ」
その後も食べさせ合いっこしながら小腹を満たした。
副次効果で幸せにも満たされて、最高の気分である。
0
あなたにおすすめの小説
身体だけの関係です‐原田巴について‐
みのりすい
恋愛
原田巴は高校一年生。(ボクっ子)
彼女には昔から尊敬している10歳年上の従姉がいた。
ある日巴は酒に酔ったお姉ちゃんに身体を奪われる。
その日から、仲の良かった二人の秒針は狂っていく。
毎日19時ごろ更新予定
「身体だけの関係です 三崎早月について」と同一世界観です。また、1~2話はそちらにも投稿しています。今回分けることにしましたため重複しています。ご迷惑をおかけします。
良ければそちらもお読みください。
身体だけの関係です‐三崎早月について‐
https://www.alphapolis.co.jp/novel/711270795/500699060
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
小さくなって寝ている先輩にキスをしようとしたら、バレて逆にキスをされてしまった話
穂鈴 えい
恋愛
ある日の放課後、部室に入ったわたしは、普段しっかりとした先輩が無防備な姿で眠っているのに気がついた。ひっそりと片思いを抱いている先輩にキスがしたくて縮小薬を飲んで100分の1サイズで近づくのだが、途中で気づかれてしまったわたしは、逆に先輩に弄ばれてしまい……。
春に狂(くる)う
転生新語
恋愛
先輩と後輩、というだけの関係。後輩の少女の体を、私はホテルで時間を掛けて味わう。
小説家になろう、カクヨムに投稿しています。
小説家になろう→https://ncode.syosetu.com/n5251id/
カクヨム→https://kakuyomu.jp/works/16817330654752443761
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
異世界転生して最強召還師になったけど現世に帰ってきた女子高生ですが何か?
苑崎頁
恋愛
女子高生、真島乃亜15歳は通学途中にトラックに轢かれ、魔界に転生した。
魔界に転生した乃亜は魔王たちと契約し、最強の悪魔召喚師になった。
そして堕天使ノアの名も授かった。
しかし、どうにか現世に帰ってきた乃亜を待っていたのは、怠惰な学校生活だった。
現世でも魔王たちがいると思い、魔王を探す旅に出る乃亜。
しかし、先に出会ったのは…?
某小説サイトでは90万PV以上してる作品です。
内容が変な所があるかもですがご了承ください。
女子高生がいろんな人と出会ってしまうお話です…。
コメント、応援。本当にありがとうございます!
とても励みになります!
拙い文章ですが、これからもよろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる