34 / 35
第34話 我が家に女神が降臨した【歓迎編】
しおりを挟む六月最初の週、その土曜日のこと。
今日の天気は雨模様。しかし、それに反して私の心は晴れ渡っていた。
午後二時頃、メッセージが届いて携帯が鳴る。
確認すると、メッセージの差出人は竜胆さんだった。
『もう行っても大丈夫かしら?』
そう、本日は竜胆さんが我が家に訪れるのだ…!
昨日の下校時に遊ぶ約束をしておいたのである!
私は逸る気持ちを抑え、正座と深呼吸の合わせ技を使った。一旦落ち着かないとね。
すぅー…はぁー。すぅー…はぁー。
…よし、精神の落ち着きを手に入れたぞ。
冷静になれたので、返信をしよう。
『いつでもどうぞ! 三光年前から準備は出来てるよ!』
あれ、まだ冷静になりきれてなかったみたい…?
…まぁ何はともあれ、竜胆さんが来る前に最終チェックを行ってしまおう。
掃除よし、身嗜みよし、飲み物よし、お菓子よし…うん、完璧だ。
チェックを終え、最後の仕上げに芳香スプレーをぷしゅーっとしたところでインターホンが鳴った。
きっと竜胆さんだ…!
「はーい!」
返事をしながら急いで玄関に向かい、ドアをガチャっと開ける。
すると、そこには我が愛しの女神、竜胆さんがいた。
今日は休日。なので勿論、竜胆さんは制服ではなく私服で身を包んでいる。
竜胆さんの私服は、少しだけフリルの入った五分袖の白シャツに黒のロングスカートというシンプルな組み合わせだった。しかし、それが最適解だと思う程に、竜胆さんの美しさをさらに引き出している。
制服姿よりもずっと大人っぽく感じる。好き…。
「こんにちは、小森さん」
「あ、うん。こんにちは! どうぞ入って入って」
手を家の中に向けながら入室を促す。
「えぇ、お邪魔します」
竜胆さんが我が家に…これはもう結婚したと言っても過言ではないな(過言)
━━━━━━━━━━━━━━━
さて、それではさっそく私の部屋へと案内する。
このマンションは3LDK。うちの家族は母、妹、私の三人家族なので、私の部屋、妹の部屋、そして居間という部屋割りだ。居間は母の部屋と兼用されている。
というか今気づいたけど竜胆さんって3LDKで一人暮らししてるのか…どんなお部屋なのだろうか、気になってきた。
…よし、今度遊ぶ時は竜胆さんのお部屋で遊ぶことを提案してみよう!
そんな事を考えながら竜胆さんを自室へと通す。
「適当に座って~」
そう言うと、竜胆さんはベッドの横の床に腰を下ろした。
ビーズクッションもあるけど…そうだよね、ビーズクッションって人の部屋に来た時、何となく座りにくいよね。一人用だし。
「竜胆さん、何飲む? 紅茶か珈琲か、オレンジジュースか」
一応聞いたが、竜胆さんは恐らく紅茶を選ぶだろう。そう思って事前に少しお高い茶葉を用意しておいた。これぞ、華奈流 お・も・て・な・し !
「じゃあ紅茶でお願い。よろしくね」
やっぱりね。私って天才すぎ?
「うん! じゃあ少し待っててね」
自分の部屋を出て、沸かしておいたお湯をティーポットに入れ、紅茶の茶葉を浸してから蓋を閉めて蒸らす。
そしてマグカップを二つと角砂糖が入った瓶を乗せたお盆を持って自室へと戻った。
「お待たせ、竜胆さん」
「ありがとう」
持ってきたお盆をテーブルに置いて竜胆さんの近くに座る。
さて、では『あれ』を始めるか…!
0
あなたにおすすめの小説
身体だけの関係です‐原田巴について‐
みのりすい
恋愛
原田巴は高校一年生。(ボクっ子)
彼女には昔から尊敬している10歳年上の従姉がいた。
ある日巴は酒に酔ったお姉ちゃんに身体を奪われる。
その日から、仲の良かった二人の秒針は狂っていく。
毎日19時ごろ更新予定
「身体だけの関係です 三崎早月について」と同一世界観です。また、1~2話はそちらにも投稿しています。今回分けることにしましたため重複しています。ご迷惑をおかけします。
良ければそちらもお読みください。
身体だけの関係です‐三崎早月について‐
https://www.alphapolis.co.jp/novel/711270795/500699060
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
小さくなって寝ている先輩にキスをしようとしたら、バレて逆にキスをされてしまった話
穂鈴 えい
恋愛
ある日の放課後、部室に入ったわたしは、普段しっかりとした先輩が無防備な姿で眠っているのに気がついた。ひっそりと片思いを抱いている先輩にキスがしたくて縮小薬を飲んで100分の1サイズで近づくのだが、途中で気づかれてしまったわたしは、逆に先輩に弄ばれてしまい……。
春に狂(くる)う
転生新語
恋愛
先輩と後輩、というだけの関係。後輩の少女の体を、私はホテルで時間を掛けて味わう。
小説家になろう、カクヨムに投稿しています。
小説家になろう→https://ncode.syosetu.com/n5251id/
カクヨム→https://kakuyomu.jp/works/16817330654752443761
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
異世界転生して最強召還師になったけど現世に帰ってきた女子高生ですが何か?
苑崎頁
恋愛
女子高生、真島乃亜15歳は通学途中にトラックに轢かれ、魔界に転生した。
魔界に転生した乃亜は魔王たちと契約し、最強の悪魔召喚師になった。
そして堕天使ノアの名も授かった。
しかし、どうにか現世に帰ってきた乃亜を待っていたのは、怠惰な学校生活だった。
現世でも魔王たちがいると思い、魔王を探す旅に出る乃亜。
しかし、先に出会ったのは…?
某小説サイトでは90万PV以上してる作品です。
内容が変な所があるかもですがご了承ください。
女子高生がいろんな人と出会ってしまうお話です…。
コメント、応援。本当にありがとうございます!
とても励みになります!
拙い文章ですが、これからもよろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる