幼馴染な魔剣ちゃんと契約した聖剣ちゃんたちと行く追放ライフ~聖剣と契約できたのに、魔剣と関りが発覚して追放されたが、冒険者人生を謳歌する~

椿紅颯

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第四章

第25話『それ、本当に食べて大丈夫?』

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「俺の目はおかしくなったんじゃないか疑わしい」
「わたしもよ」

 あまりにも不可思議な光景すぎて、理解が追い付いていない。

 数日前にも起きた現象ではあるが、モンスターがいとも簡単に解体され、あっという間に食材へと変わってしまった。
 俺とフローラは、火の準備やら座れる丸太を用意していただけなのに。

「今回は前回の反省を生かし、モンスターの討伐証拠になるものは残しておいたよ」

 そう言って差し出されたのは、鱗と爪。
 小型や中型と勘違いされない大きなものを選んでいるあたり、几帳面かつ抜かりのないやり方が子供の頃を思い出させる。

「セリナは、子供の頃もそうだったよな」
「何かあった?」
「ほら、村一番のやんちゃな子供へ丁寧な罠を仕掛けてたじゃん。しかも2重構造で」
「あれは、あいつがアレンへちょっかいをかけてきていたのが悪いのよ。ほら、物理的に制裁を加えちゃうと今頃は亡き人だったでしょ?」
「今思えば理由もわかるから納得はできる。だが、アレはアレで酷いものだったぞ」
「まだまだ序の口よ」

 小さな落とし穴――階段を下りるぐらい片足が下がる程度だったのに、穴の下に紐が引いてあって踏めば上から濡れた落ち葉が降ってくるという罠だった。
 大きな怪我には繋がらないものだったが、地味に嫌な思いをするし、子供なら偶然だったと勘違いもする。
 巧妙すぎる罠を設置できたのも、常人離れしていた身体能力を有していたからなんだな。
 今思い返せば、気の上に濡れた落ち葉を沢山集めておくなんて普通の子供じゃ時間がかかりすぎるし、どれだけ執念深いんだって話だ。

 そして、そうこうしているとメノウが獲ってきたと言うべきか狩ってきたと言うべきか――猪も見事に解体されていた。

「メノウはセリナから解体技術を教わってみたらどうだ?」
「私も賛成。勢いが余っていると食材だけ無駄に増えていってしまうもの」
「主様のご命令とあれば、解体技術を習得してみせます」
「じゃあ次の機会に、な」
「は、はい!」

 すでに解体が終わっていることから、次の獲物を探しに行こうと振り返りそうなメノウを制止する。

 肉を焼きながらいろいろな疑問を呟く。

「セリナは赤い炎を出せるのに、どうして俺は黒い炎しか出せないんだ?」
「ちなみに言うと、結果と過程が逆なのよ」
「と言うと?」
「今のアレンは、全ての属性を扱うことができる状態になるの。ただ、小分けにすることができないから威力も凄まじいものになってしまっているの」
「なるほどわからん」
「黒い魔力や魔法というのは、全属性が集約しているもの。ということは、それぞれ扱うこともできるということよ」
「ほう」

 たぶん俺は頭で考えるより実際にやってみた方が理解できる。
 だが、思い付きだけでやってみるには地形を変えたり木々を燃やしてしまうから――ん?

「じゃあさ、黒い炎を消すために黒い水を想像したら、燃えているものを消したりできる?」
「ええ、まあ。そんなことができるのは、相当な熟練者……じゃないと……」
「どうかしたか?」
「あまりにも逆転な発想すぎるけど、もしかしたらできるかも」
「ほほう?」
「普通を知らないけど、感覚的には難易度が高い話になる。でも、既に普通じゃないアレンにならできるかも」

 もう3人からは、普通の人間として扱われていないと自覚した。
 しかし緊急時に試すよりは、対処してくれるセリナが居るときにやった方がいいか。

「じゃあ――あの火を消してみて」

 セリナは、いとも簡単に落ちている木の枝を燃やしてしまう。
 あの赤い炎が基本的なもので、あれができるようになりたいわけだが……。

 今はあれが消える水を創造する想像をする。

 とりあえず手のひらに集中してみると、黒い水のようなものが形を成していく。
 パッと見ただけでは水なのか怪しい存在ではあるものの、色からは想像できないけどふわふわと漂っているから合っているはず。

「消えてくれ!」

 飛ばさずに跳んでいく感じを想像してみると、思い通りに目標の燃えている木の枝へ黒い水が向かっていく。
 結果は、パシャっと音が聞こえたかぐらいの感触しかないけど、見事に鎮火することができた。

「おぉ、案外いけるものなんだな」
「でも用心して。黒いままだと他の属性も混ざっているから、こうして食べ物を焼こうとすると雷もあるからすぐに焦げたり、飲むことは諦めた方がいいわ」
「肝に銘じておきます」

 まるで先生に指導されている感覚になってしまい、つい背筋をピンッと張ってしまう。

「逆に考えれば、私が細かいことはできるからアレンは威力を高めたり、想像力を働かせる練習をした方がいいかもね。魔力だけじゃなく、聖力の練習も必要そうだし」
「主様、聖力ならお任せください!」
「メノウ――本当に大丈夫か?」
「はい! こう、ほわーっとバーッてふわ~っと」
「あはは……わたしも教えられるし、たぶん大丈夫よ」

 たぶん、セリナも的確に言語化できていないあたり、魔力も聖力も感覚的な面が多いのだと思う。
 だからメノウが手を大きく広げて丸を描いたり、体を動かして表現しようとしていることは間違っていないのだろう。
 なんだったら、全員がわかりやすく説明してくれているだけなのに、俺が理解できていないだけの可能性だってある。

 なかなか難しいなぁ……。
 遅かれ早かれ聖力の練習をするんだったら、もっと前にやっておけばよかった。

「両方の肉が焼けたから、次を待つ間に食べちゃいましょう」
「フローラが用意してくれた薬草と木の実のおかげで、風味も増されてありがたい」
「わたしにできることはこれぐらいだから」
「宿で食べた料理に味が似てる!」
「……そうなってくると、わたしもモンスター肉を食べられるようになった方が効率は良さそうよね」
「やめとけ。腹を下すぞ」

 今の俺は美味しく食べられるけど、普通の人間が食べたらどうなるかわからない。
 過去、食べられるか試した人間は居るだろうが、言い伝えられていないのだから、結果は……まあそういうことなんだと思う。

「ええそうね。でも模索はしていきたいかな。食料調達が楽になるだろうし」
「主様……わたくしも食べられるようになった方がいいですか……?」
「とりあえず今のところは大丈夫だから安心しろ」
「はい……っ!」

 持っている肉に隠れるように体を縮こませ、口をへにゃへにゃに歪ませて不安な気持ちを露にしているメノウ。
 まるで犬のような素振りはかわいらしいが、無理をする必要はない。

「とりあえず魔法の練習は、こういった食べているときも練習できるし、並行作業を意識してみるといいわよ」
「それは確かにそうだな。戦闘中だと相手は待ってくれないし」
「そうそう」
「ふと思ったんだけどさ、聖法や聖力をどうにかしたらどっちも食べられるようにならないのかな」
「なるほど、その発想はなかった。私とアレンで試せるから、やってみるのはありかも」
「わ、わかったわ――やってみる」
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