幼馴染な魔剣ちゃんと契約した聖剣ちゃんたちと行く追放ライフ~聖剣と契約できたのに、魔剣と関りが発覚して追放されたが、冒険者人生を謳歌する~

椿紅颯

文字の大きさ
35 / 35
第五章

第35話『うん、それでも俺は悪くない』

しおりを挟む
「――お待たせいたしました」

 先ほどの受付嬢が再び訪れ、座っていた俺たちは目線を上げる。

「そのままで結構です」
「それで、お話とは?」
「ええ。被害状況についてです」
「被害ですか?」

 街中は暴徒と化した人は居なかったと聞いたけど、移動や避難の際にケガ人が出てしまったのだろうか。

「望遠鏡で覗いていただけなので正確な被害は把握できていないのですが、アレンさんが放った攻撃の先についての報告です」
「え」
「本来であれば、街の被害を未然に防いでくれた功績に目をつむるところであり、責任追及するものではありません」
「お咎めなしなら助かります」
「それは当然です。間違いなくアレンさんがいらっしゃらなければ、今頃街は壊滅状態となり多大なる被害を被りだけではなく多数の犠牲者が出ていましたので」

 まあ、さすがに反省しなくちゃいけないことはわかっている。
 自分の力を把握していなかった結果なのだから。

「ですが、これから先も冒険者として活動していくのでしたら力の制御は行ってもらいたいです」
「はい……」
「任命されて日が浅いようですので、今回の件は致し方がないと思います。ですが、モンスターと一緒に人も攻撃が当たったのならひとたまりもありませんので」

 本当にその通りすぎて、首を縦に振ることしかできない。

「できたら制限以前に戦わないでもらえると助かるのが本音ではあります。ですが、お金を稼ぐためには仕方ない面が多いのも理解できています」
「自分でも自分の力を把握しきれていないので、少しずつ慣らしていきます」
「それでお願いします。で、ですが。確認を行ったところ、攻撃を行った延長線上の木々が全て斬り倒されていました」
「えぇ……」
「捨て置くのはもったいないので、資材にする予定を立てるので安心してください」
「何から何までありがとうございます」

 ふぅ、ここから怒られると思ったけど一安心だ。

「そして、報告の中にはこれから先のことについても含まれています」
「はい」
「私たちギルドは、アレンさん含むパーティメンバーは貴重な戦力であることを認識し、求められる条件に従い存在を隠蔽することを誓います。捜査が入るのなら協力し、必要とあれば任務を優先して提示します」
「おぉ」
「これは、身分を隠す必要にある状況で名乗り出ていただいただけでなく、絶望を約束された状況を覆し街を救ってくれたことに対する恩返しです」
「俺は俺にできる最善を尽くしただけです」
「事情はあるのでしょうが、さすが聖騎士様に成ることができるお方ですね」
「ありがとうございます」

 一礼してくれた受付嬢へ、俺も礼を返す。

「この条件でよければですが、これから先も街に滞在していただきたく思います」
「それに関しては、ご希望通りにするつもりです。ですが、俺の存在というか、聖騎士であることが広まるようなことがあればすぐに街を出て行きます」
「かしこまりました。細心の注意を払わせていただきます」
「よろしくお願いします」

 ここまで話を終え、受付嬢は「こほんっ」と呼吸を整えた?

「さて、ここからは報告にあった内容について問わせていただきます」
「はい?」
「街で活動している冒険者や通行人から報告があったのですが。森の中に、『巨大な穴が開いている』という話が複数来ております」
「……」

 ……おっと。
 とっても身に覚えのある話が始まったな。

「本来であれば、冒険者とギルド職員による調査班を編成し現場に向かうような案件です。ですが、私には心当たりがある人が居ましたので」
「……はい、たぶん俺がやりました」
「ですよね」
「ちなみに白状すると、森の中へ進んでいくと別のやつがあったりします」
「なるほど」
「実は、そのときに大型個体と単身で戦闘していたフローラを助けました」

 フローラへ目線を向けると、証言してくれるように『こくり』と頷いてくれた。

「通行の邪魔になったり、他の冒険者が困惑する原因を作ってしまったことは申し訳ないです」
「今回の一件で言いたいのは、反省していただくというより力を発揮した結果を把握してもらいたいと思いまして」
「はい、そうですね」

 まあそうだよな。
 俺は悪いことをしたつもりは一切なくても、結果として地形を変えてしまったのなら迷惑を掛けていることに変わりない。

 でもさぁ……俺も自分の力に驚いているし、悪くはないよね……?
 悪い悪くないの話をしていないことはわかるんだけどさ。

「じゃあ最後に」
「え、まだ何かある感じですか」
「これは幸いにもギルド職員が、偶然の偶然見てしまった光景の話です」
「怖い導入ですね」
「数日前、空へ飛んでいく白い光と黒い光を見たと」
「あー……」

 ものすごーく心当たりのある話ですね、それ。

「はい、それも俺です」
「やはりそうでしたか。正体と言いますか存在と言いますか、誰にも気付かれたくないのでしたら力の制御にはくれぐれもご注意を」
「ですよね……あのとき初めて力を使ったものでして。力の使い過ぎだったことは、反省、いや猛省しています」

 咄嗟にフローラを巻き込まず戦う方法を考えた結果とはいえ、今回の大型個体の群れへ使った攻撃で威力を把握した。
 もしもあの攻撃が人に当たっていたら、と考えると自分が聖騎士に成ったことを後悔する日になってしまうだろう。

「それでしたら、私からも」

 急に手を上げて切り出したのはセリナ。

「あの森には、目立たないとはいえ黒く燃えた後があったりもします」
「それは、どのような経緯があってですか?」
「魔法の練習、ということでアレンが木を燃やしました」
「え」
「なるほど……それは今後とも、あまりないようにお願いします」
「それ、俺が悪いの? たしかにやったのは俺だけど、促したのはセリナだろ?」
「でも制御できないものを扱う、ということはそれほど危険なことなのですよ」
「ええ、ああはい。そうですよね、以後気をつけます」

 なんだ、この空間は。
 まるで俺が説教される場になっているじゃないか。
 原因は俺だとしても――それでも俺は悪くない、と主張したい。

「私からは以上です」
「わかりました。では、これにて解散といたしましょう」

 やるせない気持ちを抱えたまま立ち上がる。

「これからも、どうぞよろしくお願いいたします」
「こちらこそ、いろいろとお願いします」

 俺たちは礼を交わし、外へ出た。
 そして解放された気分になった俺は、つい両手を上に伸ばして大きく深呼吸をする。

「――なんだか疲れた」
「主様、お背中を揉みましょうか!」
「こういうときは甘いものを食べに行くのがいいと思うの」
「そうね。今日はいろいろと気疲れしたでしょうから、後はゆっくり過ごしましょう」
「はぁ……なんだかなぁ」

 聖剣エクスカリバーであるメノウと契約を果たし、夢の聖騎士に成ることができたのはつい数日前。
 そこから魔剣デュランダルである幼馴染のセリナと再会したと思えば、役職を剥奪された上に王都を追放させられてしまった。
 今では冒険者として、人々が行き交う街の中を平然と歩いている。
 誰に振り返られるわけでも、憧れのまなざしを向けられることもなく。

 これはこれで悪くはないし、数年ぶりに再会したフローラの新事実は驚いたけど、だからといって何かが変わるわけでもなかった。
 そして、こうやってみんなと笑っている今の生活は本当にいいものだ。
 まだまだ冒険者としての生活も始まったばかり。

 明日からも、いつも通りにみんなと頑張っていこう。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

S級スキル『剣聖』を授かった俺はスキルを奪われてから人生が一変しました

白崎なまず
ファンタジー
この世界の人間の多くは生まれてきたときにスキルを持っている。スキルの力は強大で、強力なスキルを持つ者が貧弱なスキルしか持たない者を支配する。 そんな世界に生まれた主人公アレスは大昔の英雄が所持していたとされるSランク『剣聖』を持っていたことが明らかになり一気に成り上がっていく。 王族になり、裕福な暮らしをし、将来は王女との結婚も約束され盤石な人生を歩むアレス。 しかし物事がうまくいっている時こそ人生の落とし穴には気付けないものだ。 突如現れた謎の老人に剣聖のスキルを奪われてしまったアレス。 スキルのおかげで手に入れた立場は当然スキルがなければ維持することが出来ない。 王族から下民へと落ちたアレスはこの世に絶望し、生きる気力を失いかけてしまう。 そんなアレスに手を差し伸べたのはとある教会のシスターだった。 Sランクスキルを失い、この世はスキルが全てじゃないと知ったアレス。 スキルがない自分でも前向きに生きていこうと冒険者の道へ進むことになったアレスだったのだが―― なんと、そんなアレスの元に剣聖のスキルが舞い戻ってきたのだ。 スキルを奪われたと王族から追放されたアレスが剣聖のスキルが戻ったことを隠しながら冒険者になるために学園に通う。 スキルの優劣がものを言う世界でのアレスと仲間たちの学園ファンタジー物語。 この作品は小説家になろうに投稿されている作品の重複投稿になります

《レベル∞》の万物創造スキルで追放された俺、辺境を開拓してたら気づけば神々の箱庭になっていた

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティーの雑用係だったカイは、魔王討伐後「無能」の烙印を押され追放される。全てを失い、死を覚悟して流れ着いた「忘れられた辺境」。そこで彼のハズレスキルは真の姿《万物創造》へと覚醒した。 無から有を生み、世界の理すら書き換える神の如き力。カイはまず、生きるために快適な家を、豊かな畑を、そして清らかな川を創造する。荒れ果てた土地は、みるみるうちに楽園へと姿を変えていった。 やがて、彼の元には行き場を失った獣人の少女やエルフの賢者、ドワーフの鍛冶師など、心優しき仲間たちが集い始める。これは、追放された一人の青年が、大切な仲間たちと共に理想郷を築き、やがてその地が「神々の箱庭」と呼ばれるまでの物語。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。

夜兎ましろ
ファンタジー
 高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。  ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。  バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

処理中です...