転校から始まる支援強化魔術師の成り上がり

椿紅颯

文字の大きさ
21 / 129
第三章

第20話『混戦突入』

しおりを挟む
 現状は、至って順調。
 前衛の2人は、ダメージを負うことなく戦闘している。しっかりと敵の攻撃を見て、的確に攻撃を当てて見事な立ち回りだ。
 それに、後衛からの魔法スキルが飛んでくるタイミングでポジションを移動したりと、連携力の高さが見ててわかる。
 彩夏さやかの表情を見てみると、先ほどまで口元が強張ってガチガチに緊張していたのが、今は硬い表情はなくなっている。
 幸恵さちえは――清々しい笑顔。この状況を愉しんでいるかのような、やる気が満ち溢れた表情のままだった。

「ねえ……志信しのぶくん。みんな凄いね。私の回復が全然必要ないまま戦ってる」
「だね。前衛の2人は元々予想はできていたけど、康太こうたは……あれは凄いね」
「だよね、初見のはずなのにずっと回避と防御を見事にこなしてる」

 美咲みさきの言う通りだ。
 初見の相手、ましてや明らかな強敵。にもかかわらず、相手の攻撃をしっかりと対処している。
 ソルジャーラットの攻撃は、お世辞にも速い攻撃が繰り出されているわけではない。あくまでも右手の直剣、左手の盾を自由自在に操って戦っているだけだ。
 でも、康太こうたの集中力は凄いもの。それに……その顔には、歯を食いしばった笑顔を浮かべている。
 僕はそれを見て感じるものがあった。このパーティの前衛は、生粋の戦闘狂とまでいかなくても、確実に戦闘を愉しんでいる。
 異常……とまで言わなくても、そんな姿をみているとこちらの気持ちも昂ってきてしまう。

「あーあ、このままだったら私は活躍の場面はなさそうかなーっ」
「かもね、だとすると僕もなさそうだけど」

 そんな小さな嬉しい悩みを零した美咲みさきの顔には、小さくも笑顔が戻っていて緊張から解放されたようにみえた。
 康太こうたが防戦、守結まゆ桐吾とうごがタイミングを見計らってソルジャーラットの背後や側面への攻撃。
 彩夏さやか幸恵さちえの魔法攻撃も正確に発動させて、確実にモンスターの体力を削っている。
 美咲と僕は時折回復をしてバフを付与、特に指示を出さないといけないような状況にもなっていない。

 この順調といえる状況に心の余裕も生まれてきたところ――

「っ! 志信しのぶ、まずいよ敵の援軍!」

 桐吾からの警告が全員の耳に届いた。
 その声の方向に視線を向けると、そこには四体のソードラットやランスラットの混合した小団体がこちらに迫ってきていた。

「なっ!」

 自分ながら情けない声が出てしまった。でも、そんなことを言っている場合じゃない。
 非常に不味い状況だ。現状況の編成では対処が追いつかない。即急に打開策を考える必要がある。
 モンスターは、計五体。康太がソルジャーラットを抑えているから、実質四体。
 こちらは計7人。康太はソルジャーラットを抑えているから、実質6人。
 人数的に対処は可能。でも、前衛がヘイト管理できるのは一体。だとすると、残りは二体。
 援護を考えると、美咲と彩夏の盾に頼ることはできない。
 じゃあ、ここでアレを実践するしかない――。

「幸恵、範囲魔法で足止めして!」
「え、う、うんっ!」
「守結、桐吾は一体ずつヘイト稼いで!」
「わかったよー!」
「わかった!」

 幸恵は、【ファイアーネット】と【サンダーパイク】を走り迫るモンスターの前に展開。
 二つの魔法スキルが発動されたことにより、モンスターたちはそれらを踏んでは足元をジタバタとさせて、その場で無駄な時間を過ごし十分な時間稼ぎを果たしている。

 守結と桐吾も指示通りに、モンスターのヘイトを稼いでいる。

「武装交換――よし、準備できた。前に出るよ!」

 僕は、声を張り上げて地面を思い切り蹴って体を押し出し、前方――モンスターの小団体へ目線を合わせ一直線に足を進めた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

田舎おじさんのダンジョン民宿へようこそ!〜元社畜の俺は、民宿と配信で全国初のダンジョン観光地化を目指します!〜

咲月ねむと
ファンタジー
東京での社畜生活に心身ともに疲れ果てた主人公・田中雄介(38歳)が、故郷の北海道、留咲萌町に帰郷。両親が遺したダンジョン付きの古民家を改装し、「ダンジョン民宿」として開業。偶然訪れた人気配信者との出会いをきっかけに、最初の客を迎え、民宿経営の第一歩を踏み出す。 笑えて、心温かくなるダンジョン物語。 ※この小説はフィクションです。 実在の人物、団体などとは関係ありません。 日本を舞台に繰り広げますが、架空の地名、建造物が物語には登場します。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

マンションのオーナーは十六歳の不思議な青年 〜マンションの特別室は何故か女性で埋まってしまう〜

美鈴
ファンタジー
ホットランキング上位ありがとうございます😊  ストーカーの被害に遭うアイドル歌羽根天音。彼女は警察に真っ先に相談する事にしたのだが…結果を言えば解決には至っていない。途方にくれる天音。久しぶりに会った親友の美樹子に「──なんかあった?」と、聞かれてその件を伝える事に…。すると彼女から「なんでもっと早く言ってくれなかったの!?」と、そんな言葉とともに彼女は誰かに電話を掛け始め… ※カクヨム様にも投稿しています ※イラストはAIイラストを使用しています

素材ガチャで【合成マスター】スキルを獲得したので、世界最強の探索者を目指します。

名無し
ファンタジー
学園『ホライズン』でいじめられっ子の生徒、G級探索者の白石優也。いつものように不良たちに虐げられていたが、勇気を出してやり返すことに成功する。その勢いで、近隣に出没したモンスター討伐に立候補した優也。その選択が彼の運命を大きく変えていくことになるのであった。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

金色(こんじき)の龍は、黄昏に鎮魂曲(レクイエム)をうたう

藤原 秋
ファンタジー
高校生活最後の夏休み、友人達と地元で有名な心霊スポットに出掛けた氷上彪(ひかみひょう)は、思いがけぬ事故に遭い山中に独り取り残されてしまう。 人生初の気絶から目覚めた彼を待ち受けていたのは、とても現実とは思えない、悪い夢のような出来事の連続で……!? ほとほと運の悪い男子高校生と、ひょんなことから彼に固執する(見た目は可愛らしい)蒼い物の怪、謎の白装束姿の少女、古くから地域で語り継がれる伝承とが絡み合う、現代?和風ファンタジー。 ※2018年1月9日にタイトルを「キモダメシに行って迷い人になったオレと、蒼き物の怪と、白装束の少女」から改題しました。

自由でいたい無気力男のダンジョン生活

無職無能の自由人
ファンタジー
無気力なおっさんが適当に過ごして楽をする話です。 すごく暇な時にどうぞ。

処理中です...