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第三章
第20話『混戦突入』
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現状は、至って順調。
前衛の2人は、ダメージを負うことなく戦闘している。しっかりと敵の攻撃を見て、的確に攻撃を当てて見事な立ち回りだ。
それに、後衛からの魔法スキルが飛んでくるタイミングでポジションを移動したりと、連携力の高さが見ててわかる。
彩夏の表情を見てみると、先ほどまで口元が強張ってガチガチに緊張していたのが、今は硬い表情はなくなっている。
幸恵は――清々しい笑顔。この状況を愉しんでいるかのような、やる気が満ち溢れた表情のままだった。
「ねえ……志信くん。みんな凄いね。私の回復が全然必要ないまま戦ってる」
「だね。前衛の2人は元々予想はできていたけど、康太は……あれは凄いね」
「だよね、初見のはずなのにずっと回避と防御を見事にこなしてる」
美咲の言う通りだ。
初見の相手、ましてや明らかな強敵。にもかかわらず、相手の攻撃をしっかりと対処している。
ソルジャーラットの攻撃は、お世辞にも速い攻撃が繰り出されているわけではない。あくまでも右手の直剣、左手の盾を自由自在に操って戦っているだけだ。
でも、康太の集中力は凄いもの。それに……その顔には、歯を食いしばった笑顔を浮かべている。
僕はそれを見て感じるものがあった。このパーティの前衛は、生粋の戦闘狂とまでいかなくても、確実に戦闘を愉しんでいる。
異常……とまで言わなくても、そんな姿をみているとこちらの気持ちも昂ってきてしまう。
「あーあ、このままだったら私は活躍の場面はなさそうかなーっ」
「かもね、だとすると僕もなさそうだけど」
そんな小さな嬉しい悩みを零した美咲の顔には、小さくも笑顔が戻っていて緊張から解放されたようにみえた。
康太が防戦、守結と桐吾がタイミングを見計らってソルジャーラットの背後や側面への攻撃。
彩夏と幸恵の魔法攻撃も正確に発動させて、確実にモンスターの体力を削っている。
美咲と僕は時折回復をしてバフを付与、特に指示を出さないといけないような状況にもなっていない。
この順調といえる状況に心の余裕も生まれてきたところ――
「っ! 志信、まずいよ敵の援軍!」
桐吾からの警告が全員の耳に届いた。
その声の方向に視線を向けると、そこには四体のソードラットやランスラットの混合した小団体がこちらに迫ってきていた。
「なっ!」
自分ながら情けない声が出てしまった。でも、そんなことを言っている場合じゃない。
非常に不味い状況だ。現状況の編成では対処が追いつかない。即急に打開策を考える必要がある。
モンスターは、計五体。康太がソルジャーラットを抑えているから、実質四体。
こちらは計7人。康太はソルジャーラットを抑えているから、実質6人。
人数的に対処は可能。でも、前衛がヘイト管理できるのは一体。だとすると、残りは二体。
援護を考えると、美咲と彩夏の盾に頼ることはできない。
じゃあ、ここでアレを実践するしかない――。
「幸恵、範囲魔法で足止めして!」
「え、う、うんっ!」
「守結、桐吾は一体ずつヘイト稼いで!」
「わかったよー!」
「わかった!」
幸恵は、【ファイアーネット】と【サンダーパイク】を走り迫るモンスターの前に展開。
二つの魔法スキルが発動されたことにより、モンスターたちはそれらを踏んでは足元をジタバタとさせて、その場で無駄な時間を過ごし十分な時間稼ぎを果たしている。
守結と桐吾も指示通りに、モンスターのヘイトを稼いでいる。
「武装交換――よし、準備できた。前に出るよ!」
僕は、声を張り上げて地面を思い切り蹴って体を押し出し、前方――モンスターの小団体へ目線を合わせ一直線に足を進めた。
前衛の2人は、ダメージを負うことなく戦闘している。しっかりと敵の攻撃を見て、的確に攻撃を当てて見事な立ち回りだ。
それに、後衛からの魔法スキルが飛んでくるタイミングでポジションを移動したりと、連携力の高さが見ててわかる。
彩夏の表情を見てみると、先ほどまで口元が強張ってガチガチに緊張していたのが、今は硬い表情はなくなっている。
幸恵は――清々しい笑顔。この状況を愉しんでいるかのような、やる気が満ち溢れた表情のままだった。
「ねえ……志信くん。みんな凄いね。私の回復が全然必要ないまま戦ってる」
「だね。前衛の2人は元々予想はできていたけど、康太は……あれは凄いね」
「だよね、初見のはずなのにずっと回避と防御を見事にこなしてる」
美咲の言う通りだ。
初見の相手、ましてや明らかな強敵。にもかかわらず、相手の攻撃をしっかりと対処している。
ソルジャーラットの攻撃は、お世辞にも速い攻撃が繰り出されているわけではない。あくまでも右手の直剣、左手の盾を自由自在に操って戦っているだけだ。
でも、康太の集中力は凄いもの。それに……その顔には、歯を食いしばった笑顔を浮かべている。
僕はそれを見て感じるものがあった。このパーティの前衛は、生粋の戦闘狂とまでいかなくても、確実に戦闘を愉しんでいる。
異常……とまで言わなくても、そんな姿をみているとこちらの気持ちも昂ってきてしまう。
「あーあ、このままだったら私は活躍の場面はなさそうかなーっ」
「かもね、だとすると僕もなさそうだけど」
そんな小さな嬉しい悩みを零した美咲の顔には、小さくも笑顔が戻っていて緊張から解放されたようにみえた。
康太が防戦、守結と桐吾がタイミングを見計らってソルジャーラットの背後や側面への攻撃。
彩夏と幸恵の魔法攻撃も正確に発動させて、確実にモンスターの体力を削っている。
美咲と僕は時折回復をしてバフを付与、特に指示を出さないといけないような状況にもなっていない。
この順調といえる状況に心の余裕も生まれてきたところ――
「っ! 志信、まずいよ敵の援軍!」
桐吾からの警告が全員の耳に届いた。
その声の方向に視線を向けると、そこには四体のソードラットやランスラットの混合した小団体がこちらに迫ってきていた。
「なっ!」
自分ながら情けない声が出てしまった。でも、そんなことを言っている場合じゃない。
非常に不味い状況だ。現状況の編成では対処が追いつかない。即急に打開策を考える必要がある。
モンスターは、計五体。康太がソルジャーラットを抑えているから、実質四体。
こちらは計7人。康太はソルジャーラットを抑えているから、実質6人。
人数的に対処は可能。でも、前衛がヘイト管理できるのは一体。だとすると、残りは二体。
援護を考えると、美咲と彩夏の盾に頼ることはできない。
じゃあ、ここでアレを実践するしかない――。
「幸恵、範囲魔法で足止めして!」
「え、う、うんっ!」
「守結、桐吾は一体ずつヘイト稼いで!」
「わかったよー!」
「わかった!」
幸恵は、【ファイアーネット】と【サンダーパイク】を走り迫るモンスターの前に展開。
二つの魔法スキルが発動されたことにより、モンスターたちはそれらを踏んでは足元をジタバタとさせて、その場で無駄な時間を過ごし十分な時間稼ぎを果たしている。
守結と桐吾も指示通りに、モンスターのヘイトを稼いでいる。
「武装交換――よし、準備できた。前に出るよ!」
僕は、声を張り上げて地面を思い切り蹴って体を押し出し、前方――モンスターの小団体へ目線を合わせ一直線に足を進めた。
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