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出会い

釣浮草 Fuchsia

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「君も花言葉に興味を持っているの?」
いきなり声を掛けられた私は驚きで飛び上がってしまった。慌てて声の聞こえた方向を向くと、一人の青年がいた。サラサラな髪を風になびかせ、私の突飛な行動に笑いを堪えようとしている。多分、いや確実に飛び上がった所を見られた。私の頬は急激に熱を含み、赤く染まった。青年は我慢出来ず、そのままクスクスと笑い続けた。青年がようやく顔を上げたのは、3分後だ。

思いっきり顔を睨んでやろうかと準備したが彼の顔を見た瞬間にそんな考えなど失せてしまった。青年がイマドキの雰囲気イケメンとは格が違う美しさを備えていたのも一理ある。只、彼の目を見ればすぐにわかるだろう。独特の冷たさを持ち合わせた彼の目は透き通っていた。
まるで氷のように

「君?ってことはあなたも花言葉知ってるの?」
気を取り直して、私は彼に話しかけた。彼は頷くと、微笑みを見せた。
「そ。変わってるでしょ?」
私は首を振った。彼の趣味が変わってるとは思わない。寧ろ女ウケしそうだ。

「それにしても君は放課後よく喫茶店に行ってるけど、今日はどうしたんだい?」
彼が不思議そうに聞く。
「馬鹿みたいな話なんだけど...」
私は今の生活について、全て吐き出した。彼なら分かるだろうと思って。案の定、彼は私のバカみたいな話を大真面目な顔して聞いていた。話が終わると彼は少し考え、そして吹き出した。私が落胆した表情を見せると彼は涙目になりながら否定した。
「違うって。僕は君の話を馬鹿にした覚えはないよ。」
やはり涙目だ。私のジト目に観念したのか、彼は携帯を突き出した。
いやなんで携帯を?と思ったら画面を見たら理由がわかった。
それは送信済みのメールだ。
「今夜遊ばない?」みたいな誘いのメールもあったが中には「巨人が進撃してきたので学校休みます。」なんてふざけたメールもあった。

「...どういうこと?」
私は彼に問いかけた。
彼は溜め息をついた。
「いつも同じことしか起きないから無理矢理変えようとしてみたんだ」
結果はことごとく敗れたそうだ。おかしい。確かに現実的に有り得ないような言い訳が通じるはずは無い。只、ここまで断られるとは...
彼は女ウケ抜群だ。私がお守りをしている2人も彼にゾッコンだという噂も聞いた。今2人が孤立していることから多分暗黙のルールを破ったのだろう。そういう学校だ。フツーに考えれば原因は彼だろう。

只、何故そんな人気のある彼が片っ端から断られるのか...
やはり、ループなのか。

私は彼と連絡先を交換し、帰路に着いた。
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