夢に向かう幸せの青空

一条 瑠樹

文字の大きさ
上 下
6 / 16

南風が吹いている

しおりを挟む
       南風が吹いている

              一条 瑠樹

かじかんだ指も霜焼けの腕も今は何故か忘れ去った過去の記憶…



寒い冬はまた来年の今頃には無くなりまたブーツを履いて雪の降る街が見え隠れして…



椰子の木が僕等を誘いすきま風さえも暖かく…



教会の鐘の音も長いコートも古ぼけた時計台もアーケード街さえも生暖かく風が涼しい…



あの駅前のコンビニの彼女も汗を掻く…
あの会社のあの狸面の憎たらしい事務員さえも暑苦しく見えて…
勘違いも甚しいくらい敵味方がよくわかる…



拳や刃物を武器にするのは馬鹿でもできる…
果てしなく歴史が語る…賢人はペンを武器にして感情や哲学や思想を持って群衆を束ねる…



僕等人間は都合が悪くなるといつも知らないなどとシラを切る…携わってないと相手の気持ちも知らぬまま…



南風が吹いて来たら真冬は過ぎ去り知らぬ間に自然は関係無いものまでもを虜にしてくれる…



相手の気持ちも解らないで一日中楽な仕事をしている者もいる…



言われもしないのに汚れた仕事を自ら乞うて出る正直な女性さえ街の会社に一握りいる…風よ吹け…彼女に向かって南風…




幸運の風が吹いてくるだろう…
しおりを挟む

処理中です...