ガーベラ

一条 瑠樹

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幸せな2人

Gerbera11話 母の懺悔

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Gerbera11話    母の懺悔

                               一条 瑠樹

彼は眼を開けて母親に言った…


「ねぇ母さんなんて事ないよ…僕の脚は動かなくなるの?…それだけじゃなくて腕も足もダメなのかなぁ…それでもいいんだよ…良くないか…母さんも君も哀しむから早く動けるようになってまたキャンバスに戻りたいよ…天使が僕に話しかける夢を見ていたよ…いや、あれは妖精かなぁ?水の妖精ウォンディーヌかなぁ?河で微笑むでいたよ…」



「良い夢を見たんならきっと良くなるわよ…母さんが付いているからね!大丈夫よ…母さんが守ってあげるからね…彼女だってずっと一緒に居てくれたんだから…貴方は幸せな子よ…2人で守ってあげるからね…心配しないでいいわよ…」


母親は彼を励まし続けた…


彼女もまた涙ぐんで彼を見詰めていた…



「母さんありがとう…でも嘘は良くないよ…僕が父さんに殴られる苦しみはまだ昨日の事のように覚えているよ…僕はあの時母さんを守っていたよ…あそこで僕が父さんから逃げ出したら母さんに迷惑が掛かると思って僕はタバコの火を身体に押し付けられる痛さに耐え忍んでいたんだから…母さんにはそれを解って今僕にそんな綺麗事並べてるの…学校で保護されたんだよ僕は…そうなってから迎えに来てくれて…それって当然の事だよね…ねぇ…母さん…親なら当然だよねぇ!責めてるわけじゃないよ母さん…チョット母さんが良い格好な言い方したからいさめただけだよ…母さん父さんは元気なの?」



母親は下を向いて下唇を噛んで涙を堪えて無言で頷いていた…


「風の噂だと父さんはまた事業をして今はそこそこ上手く行ってるみたいよ…再婚したみたいよ…ごめんなさい…貴方を棄てた形になって…私が悪いのよ…貴方が事故して意識ないのに私は何もしてあげられなかったわ…母親失格ね…」


彼女が吠えた…


「今回の事故はあたしが悪いのよ…お母様が何を守るのよ!何を守れるのよ!あたしの不注意を責めたくても責めたくても黙ってたわ…普通の親ならあたしは吊し上げられてるわよ…お母様はあたしにアパートの家賃から生活費まで面倒見てくれてるのよ…だからあたしは一生を貴方とお母様に償うつもりよ…せっかく3人話せるようになったのに…捻くれた事をお母様に言わないで…お願いだから…責めるならあたしを責めて…お願いだから…」



彼はまた眼を閉じた…彼は軽く飾ってある花に眼を向けながら…こんな哀しみの病院の病室の片隅に咲く黄色いガーベラがまるで彼を優しく包むように…



母親は泣き出し…彼女に詫びる…

彼女も泣き出し…母親に詫びる…


彼はまるで水の妖精に導かれたようにスヤスヤ眠る…



母親は懺悔して手を合わせたマリア様の様に蒼白くなった頬を彼の手を握りながら寝ている息子に詫びる気持ちと不安と意識を取り戻した喜びとで入り乱れてそして泣いている彼女と2人で跪坐く…
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