ゆるゆる王様生活〜双子の溺愛でおかしくなりそう〜

琴音

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一章 双子の王と王弟 

14.あれから僕は

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 二人と番になってから四ヶ月が過ぎた。国の成り立ちからこの国の王室の事や貴族の事、産業、国にどんな部門があり何をやっているかなど一通りの物を学んだ。中身は自国のリンゲルとさほど変わらないようだった。……真面目に学校に行ってて良かったとこれほど思ったことはなかったね。そしてリンゲルは何でも隠さず民に開示してた事に驚いた。イアサントでは貴族、裕福な民ぐらいしか国内の細かい事は勉強しないらしい。改めてファンダル王の懐の大きさを感じた。

「ルチアーノ様は飲み込みが早くてと座学の教授が褒めてました。もう教えることはなく補足くらいだと。やはり私の見立ては狂いはなかったですね」
「あはは……教え方が上手いんだよ。僕の力じゃない」
「ふふっご謙遜を。マナー、ダンスの先生も最初は……と言ってましたがもう完璧と太鼓判です。まあ、ダンスはまだ教わってないものもありますから、後二ヶ月頑張って下さいませ」
「うん……頑張るよ」

 もの凄く必死だった。王になるからじゃなくて二人の迷惑になりたくなくて。せめて隣に立った時に見劣りしないようになりたかったんだ。

 ある日執務見学だと二人の執務室に行ったことがあったんだ。見惚れるほどの姿で仕事してた。凛々しく的確な指示で皆が動いて……あれを見たら僕は自分が恥ずかしくなったんだ。何で僕がって心のどこかに残っていた甘えに気がついたら。

 子供の頃に親がいなくなって、哀しみの中でも明日はやってくる。やらなければならない事は押し寄せるんだ。それに立ち向かった二人……なんと強いんだろうと改めて思ったし、僕も二人の番なんだもの、隣に立てるくらい強くならなければと心に誓った。

「ふふっいい顔になりました……元から王族の様ですね」
「何をレオンス……目が毒でも入って腐った?」
「腐ってません。お二人の執務室の見学あたりでしょうか?あの頃からあなたは変わりましたね。立ち居振る舞いから雰囲気も変わりました」
「そうかな……僕自身では分からないけどね」
「ええ。オドオドしていたものは無くなり……ふふっ仕えるのに相応しい御仁になりました」

 褒め過ぎだよレオンス。僕は照れくさくなったけどそれだけやったと言う自負もある。今日からは新たな先生に王としての職務諸々の教わる。国を知らねば動けないからね。いわゆる帝王学だ。座学の中にも多少触れてるけど全然足りない。

「ルチアーノ様、そろそろ時間です」
「うん。行くかな」

 立ち上がり二人でカトレア棟から北の王族の執務エリアに移動し、連絡通路すぐのいつもの部屋に到着。中には四十後半くらいのひげを蓄えた素敵なおじ様って感じの方がいた。ニコッと微笑むと、

「まずお掛け下さい」
「はい」

 僕はいつもと同じ目の前の席に着く。

「お初にお目にかかります。私はリシャールと申します。双子が王子の頃に私が同じものを教えました」
「初めましてリシャール先生、よろしくお願いします」

 軽く頭を下げながら挨拶をすると、

「敬語や……」

 僕はすぐに遮った。ずっと勉強や魔術を習って来て思う所が出来たからだ。

「先生。私は今生徒です。あなたに教えを請う立場です。いくら王族といえど敬うのが筋ではありませんか?僕はこの四ヶ月色々教わってそう思いました。ですのでこの場では敬語を使います。他で会ったならばやめますので」

 ふふっと優しげに微笑んで、

「貴方は何という……その姿勢があればきっと良い王になられるでしょう。では手元の教科書を開いて下さい」
「はい!」

 座学の時間に帝王学が入っているから負担はないはずなんだけど……これはキツい。一から十まで何も知らない。省の名前くらいで……団長や大臣の名前、どんな貴族がいるか公爵、子爵、男爵、侯爵……とか血筋とか?一緒くたに貴族と思って生きて来たから目眩がする。大体自分の土地の子爵様しか顔は知らなかったしね。領地の管理の仕方も直轄地と貴族管理ではやり方も何もかも違う……うふふ。死ぬ。

「なんだルチアーノ目が死んでるぞ」
「うん……帝王学が辛い」

 今日はしない日だから三人で川の字に寝てる。二人が僕にキスしたり撫でたりしなから。

「あ~あれな。馴染みがないお前は辛いな」
「あっても面倒くさいよ?ジュスラン」
「だよなぁ……誰それとの繋がりとかもあるしな。代が変わるとお前誰だ?ってヤツも出て来てそいつの事覚え直しだしな」
「そうそう、世代が違うと学園の時に顔合わせてないし何も知らない場合ありだから」
「え?王族の人も学校通うの?」

 ふふっとステファヌがチュッとしながら、

「行くさ。貴族の顔とか繋がりとか見て知るのも勉強だしね。勉強だけだったら行く必要はないけどな。社交は仕事なんだよ。だから練習も兼ねてるんだ」
「あはは……僕してないよ。王様無理なんじゃないかな……」
「そんな事はない。その為に俺たちがいるんだよ。大船に乗ったつもりで構えていればいい。お前が困らないように立ち回るからな」

 ジュスランも微笑んで、

「そうだぞ?勉強はしてくれ。キチンと覚えなくてもいいんだ、やってる内に身につくから。それよりも俺たちの夫、妻だという威厳みたいなものを身に付けて欲しい。もう出来てるけどな」
「うん……頑張る」

 ジュスランは僕に頬ずりしながら、

「本当に急に変わったよな。ほれぼれする時があって俺ぼ~っと見てる時あるくらい」
「俺も……」
「ありがと」

 ステファヌがチュッチュッしながら、

「魔法の制御はどうだ?上手く行ってる?」
「うんそれはね。近衛騎士さんの鍛錬に顔出して怪我したのとか治して練習してる。実践が一番身につくね。今までは自分の手とか足とか?を少し切って練習してたんだ。それでね、先生が他人に使えるとお墨付きをくれたから実践的にと近衛団長にお願いしてやってるんだよ」

 二人してゲッって。

「それ先生の指示か?」
「違うよ僕の自主練。早く出来るようになりたくてね」

 二人はげんなりした顔してため息。

「はあ……やめてくれよそういうのは。身体傷付けるとか……怪我しちゃうのは仕方ないけど自分でするのはやめて」

 二人ともものすごく嫌そうな顔で言うもんだから苦笑いしながら、

「うん、今はしてない。騎士さんの怪我の治療で間に合ってるよ」
「本当か?どれ……」

 ジュスランが僕のパジャマを捲って確認し出した。

「ないよ傷なんか!大丈夫だから!」
「ほんと?」

 パジャマに頭入れて見てるんだか舐めてるんだがもう。

「うん。あなた達のキスマーク以外はね」
「んふふっならいい。乳首かわいい……ちゅう……」
「あん!やめて!ジュスラン!」
「やめろ!ジュスランしたくなるから!」
「ちぇっ……」

 強く吸われると頭を抜いてくれた。寝よっかとステファヌが部屋の灯りを消してサイドテーブルの灯りだけになった。

「ねえルチアーノ。三人でセックス出来ないかな?」
「え……?それ僕だけ責められるんでしょ?」

 二人に責められたらすぐに昇天して……僕おかしくなるんじゃ?

「やめろよジュスラン。ルチアーノの負担がデカいよ。それに間違って噛んで出した時誰の子か分からんだろ?」
「むぅ確かに。二人で出してればそうだな。俺の子かお前の子か……二重紋じゃ分からんし個人の資質で文様は変わるからな。でも鑑定すれば分かるぞ?」

 はあ……とステファヌはため息。

「今鑑定出来るのアンセルムだけだろ?世代に一人居る訳じゃない。アンセルムに何かあったら鑑定する者はいなくなるんだぞ?」
「いる間ならいいじゃん」
「はあ……ちんこの脳みそ頭に戻せよ」
「あ~あ、きっと楽しいと思ったんだけどね。残念だ」

 僕は乱れた現場を想像して……挿入されながらしゃぶって愛撫されて……げふんっ!ちょっと興味が……ねぇ。ついポソっと、

「噛めない様にしてなら……ありなのかな?ふむ……」

 やだぁルチアーノ乗り気!なら今からする?とジュスラン。

「それは無理。うなじ隠せないもん」

 ステファヌもいやらしい顔になり、

「アンセルムに相談してみるか……」
「なあ?したいだろ?交代だとさ溜まる時あって、でも夜伽とはしたくないしで困ってるんだよ、俺のちんこはね」

 ああ……と納得げな表情。

「そうだな。まあ今すぐにはどうにもならんから寝るよ!でもジュスランは盛りすぎだからね!俺も同じだけど我慢してんの!お前も我慢しろ!」
「我慢したくないなあ……ルチアーノも双子だったらよかったのに……」
「僕一人っ子。あはは」

 二人に抱かれて……布団いらないくらいに温かくて幸せで……こうやって寝るのは僕の至福の時だ。綺麗な双子にこんなに愛されて……国を出なくてはならかったあの時の不安と寂しさは死にそうだったのにね。こんな幸せが待っているとは思わなかった。二人にチュッとして僕も目を閉じた。

 そうそう、僕が来てすぐにレオンスがヨハンにお金送ってくれたらしい。借金返して余るくらい送ったそうだ。この間ヨハンから手紙が来て書いてあった。

 僕がいなくなってから一人で頑張っていたそうだが、ヨハンの幼なじみのトラ族のイーサンが手伝うようになって何とかやれてると。

 ごめんね、僕から手紙は出せなかったんだ。今の状況を話せなくて……いつかそちらにも僕の事聞こえてくると思うからその時まで待ってね。そして本当にごめんなさい。今までありがとう……ずっと忘れないよ。
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