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三章 自分を知ること
10.こんな時間もいいのかな
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ジョナサンが扉を開けると、きゃあって叫び声。何事?カミーユはその声にビクッとして固まった。
「ライリー黙れ」
「父様はどうでもいいや。兄様、カミーユ様!早く!」
「ああ、うん」
さあさあとソファに座らされた。テーブルには先程のワインと、他も。簡単なツマミとフルーツがある。メイドはこんな突発は慣れているようで、普通に給仕している。まあ、慣れるか。
「兄様は甘いお酒が好きって聞いたから、ジャーン!これ全部甘いんだよ!」
ワゴンにたくさんのボトルがある。当然見たことないレベルのものばかりだ。
「すごいね。こんなに種類あるんだ」
この国の甘いワインと他国のもの。コレは甘くないけど、東の国のお酒だよって。僕は一本手に取ってみた。
「ラベル読めないね」
「うん。コレはさすがに僕も読めない」
お米からのお酒だそう。果物以外からも作れるのか。
「コレはビール。フルーツや香辛料の香りが付いている麦を発酵……だと思う。あとなんか草。苦いんだけど美味しい」
少しずつ飲んでみよう!って試飲会みたいになった。僕らはどれも飲んだことはないから、色と香り味と楽しんでいた。
「ねぇねぇどれがよかった?」
「そうだなあ、貴腐ワインはどれも美味しいよ。この金色のラベルのは甘すぎかな。食事にはキツい」
「ほうほう。コレは最も北国のものだね。その分甘い。食前に飲むのがいいかもね」
「うん」
他は?カミーユ様は?とずっと喋ってる。止まらない……
「キャル分かっただろ。延々に喋ってるぞ」
「ええ、ここまでとは思いませんでした」
カミーユの隣に座ってライリーは楽しそうだな……というか、カミーユが楽しそう。
「カミーユに友だちは?」
「いますが、年に数度会えば良い方ではないですかね」
「同じ属性の友だちいるのか」
「はあ……聞いた事ないです」
ふたりできゃあ!うわあとか本気で楽しそう。こんなに騒いでるカミーユはあまり……いや初めて見た。
「お前はふたりの邪魔だからこっちに来い」
「はい」
よく分からないけど盛り上がっているから、僕は父上の隣に座った。
「年が離れてるのによく話題が合うな」
「あ~なんだろうな。奥様会もここまで騒がないが、似たようなもんだ」
このお酒はあの食べ物と合いそうだよ?とか、ライリーの趣味の話しと、ひとところにとどまらず、流れるように議題が変わってく。
「僕をもてなす会のはずたけど、まあいいか」
「忘れたろ。ライリーはいつもこんなだよ」
父上とふたりで飲みながらライリーたちを眺めた。楽しそうに抱き合ったり、手を繋いでそうだよねえ!とか。
「酒飲むとお前はフィデルとよく似た匂いがする」
「そうですかね」
「うん」
体温が上がるから、番を誘う匂いは出てしまう。仕方ないものだよ。
「お前は匂いは似なかったなあ。俺は柑橘系の甘さだから」
「そうですね。僕は花のような感じですかね」
この匂いは属性関係なく、先祖の誰かに似るんだ。一族の匂いだから、近いんだけど少しずつ違うのが普通。このご時世、血の繋がりが全くない家から伴侶を娶るなどない。
遡れば貴族はどこかでみんな身内。近いか遠いだけだ。
きゃあきゃあと楽しむふたりを見てると、僕まで楽しいような気分にしてくれる。カミーユが爆笑して涙流してるのなんて始めてし、弟は止まらない……すごい。
「ライリーはいつもこれ?」
「ああ。ここまでではないがこんなだな」
「カミーユと気があったんですかね」
「そうだろうな。ここまで楽しそうなのは俺も初めて見る。夫や家族ではここまでならない」
「ふーん」
父上は慣れているのかいつもの光景だという感じ。なら僕んち来ない?明日でもさってカミーユは誘われてる。
「キャル。行ってもいい?」
「どうぞ」
ああ?ってライリーが頬を膨らませた。
「兄様も来るんだよ!」
「ええ?」
僕が父上を見るとまあいいだろう、俺も行くさって。
「いいのですか」
「ああ、どうせあいさつにも行くし」
「やったー!カミーユいいって!」
「うん。なら……」
ライリーは、すぐに僕らはどうでもいいと言わんばかりにカミーユと話し出した。
「妻が元気だと華やぐんだよ家がな。花が咲いたように賑やかで明るくなる」
「ええ」
屋敷でもそれは言われた。キャル様が来てから華やいで楽しいとメイドも側近もね。カミーユは寂しかったんだろうなあ。
笑いすぎて咳き込んでるよ。それほど楽しいならここに来た意味があったね。
僕らふたりは完全に蚊帳の外。
「あちらの家族はなんだ。うちに比べれば堅苦しいと思う」
「いや……コレ許してるあなたが問題なだけでしょうよ」
「そうか」
先触れもあったもんじゃなく来るし、気がついたら帰ってるし。ライリーが好き勝手やっているのを父上は咎めない。ちょっと嫌な顔するくらいだから、そりゃこうなるさ。
「お前の屋敷にも魔法陣設置するからな」
「え?」
「え?じゃない。家族なんだから行き来はしたいだろ」
「はあ。うちに来てくださるんですか?」
「は?」
行くでしょって。本当は一緒に住みたいくらいなのを我慢してるのに、行くに決まってるって。……ふふっ嬉しいかも。
「ありがとう存じます」
「感謝される事ではない。当たり前なんだよ」
「はい。なら僕も来ます」
「ああ、待っている」
ふたりともさすがに疲れたのか、勢いがなくなってきた。目がうつろで抱き合ってるし。
「カミーユ、僕あなたが好きだ。兄様抜きでも遊ぼ?」
「うん。いる間は遊ぼうね」
「うふふっ大好き兄様。あ~ねむ」
カミーユにもたれているうちにズルズルと滑り落ち、抱きとめていると側仕えが抱き上げた。
「そろそろお開きな。連れてけ」
「はい」
ライリーの側仕えは一礼すると部屋を出ていった。カミーユはそれを見送ると僕に向き直って、
「ごめんねキャル。あんまりにも楽しくて」
「いいよ。僕らも戻ろう」
「うん」
父上も俺も戻ると立ち上がった。
「楽しかった。また明日な」
「はい。おやすみなさいませ」
父上は手をひらひらさせて側近たちと出て行った。
「ボクラも行こう」
「うん」
ふらふら千鳥足のカミーユを支えながら部屋に戻った。
「お風呂は?」
「入る」
「少し休んでからにしようよ。フラフラだろ?魔法にする?」
「やだ!」
「はいはい。なら歩いて」
「うん…うっ……歩いたら酔いが回る……ヒック」
困ったもんだね。まあ、移動がある訳じゃなしいいか。僕が支えてる間にメイドが服を脱がせた。
「ほら」
「う…ん」
「浴槽入ると良くないから、身体だけ洗ってね」
「うん……」
メイドは心配そうになって、僕に目配せを送ってきた。
「キャル様、あの……」
「僕が支えてるからちゃちゃっと洗って」
「はい」
メイドは早く手を動かして洗ってくれた。無理して入らなくてもいいのになあ。
「ねえお尻も」
「え?」
「したいの!……くふぅ……」
「だそうだ」
指入れてしたフリしとけと小声で。メイドはうんって頷いた。したくて風呂か、でもねぇ。
「あ…う…んぅ…」
「ちょっとでいいから」
「はい」
体を流して脱衣所のメイドにカミーユを渡した。
「寝かせておいて」
「はい」
くふぅ…うぅ……酔っぱらって声が漏れていた。もうダメそうね。
「さて、僕はゆっくり入ろ」
湯船に浸かりふう。
ライリーか……頻繁に会えそうな人が近くにいるのは、カミーユも嬉しいか。あれほど仲良く出来るんだからね。カミーユにとってはいい出会いだったんだろうなあ。
「さてと、流してくれ」
「はい。こちらへどうぞ」
洗って貰いながらガイナスは嬉しそうな顔をした。
「あんなカミーユ様初めて見ました。キャル様との結婚は、カミーユ様にとって幸せなものなんだって。よかったと感じます」
「そう思う?」
にっこり笑って僕にありがとうって。
「いつも寂しそうだったんです。笑うのはご兄弟が来た時だけでしたから。それが弾けるように笑われて、あんなに酔っ払って」
「そうか」
「そうです」
ならば僕にも多少の価値はあったんだね。誰かにとって価値がある。ふふっちょっと嬉しい。お風呂を上がって部屋に戻ると、メイドが風呂上がりの水を用意していた。
「お酒が抜けるって、こちらのメイドが持ってきました。どうぞ」
「ふーん」
ゴクリ。うん普通に果物の味がしてうま……あ?グラスを眺めてしまった。
「変な苦さがあるような……微妙なお味」
「こちらでは深酒の時に飲むそうですよ。薬草が少し混じっているそうです」
「ふーん。まあいい」
ゴクゴク飲みきった。ぷはあ。冷たいだけで美味しく感じるよ。苦いけど。
「カミーユにも飲ませた?」
「はい。あの様子では苦しいかと思いまして」
「ありがとう」
「いいえ。幸せそうなカミーユ様に、我らはキャル様に感謝しています」
「そうか」
目を閉じると眠い……くらっとめまいに似た感じがして……ぐう。
「……さま……キャル様」
「んあ……なに?」
肩を軽く揺すられて?なんだよ。
「寝室に参りましょう。ここで寝られますと風邪引きますよ」
「あ~……ふう」
仕方ないと立ち上がり寝室へ。扉を開けると薄明かりに照らされたカミーユだけど、何だろなこの寝相は。ほぼ大の字で、暑いのかパジャマも捲りあげて、ズボンに片手つっこんでるし。
「色気も何もないな」
足元に布団を蹴り出してるから引っ張って、隣に寝転んだ。少し寝息も大きいな、飲みすぎたよ全くもう。手の位置を戻してよし寝るか。
僕はサイドテーブルの魔石に触れ、灯りを消す。部屋は暗くなり、月明かりのみになった。
「ふう。なんか現実感ないな……」
心がこの変化について行ってるようで、そうでないようで……今までのことがゆらゆら目の裏に思い出された。まあ、なるようになるさと思うことも大事なんじゃないと今は思う。
目を閉じると、酔いもあって思考は混濁していった。
「ライリー黙れ」
「父様はどうでもいいや。兄様、カミーユ様!早く!」
「ああ、うん」
さあさあとソファに座らされた。テーブルには先程のワインと、他も。簡単なツマミとフルーツがある。メイドはこんな突発は慣れているようで、普通に給仕している。まあ、慣れるか。
「兄様は甘いお酒が好きって聞いたから、ジャーン!これ全部甘いんだよ!」
ワゴンにたくさんのボトルがある。当然見たことないレベルのものばかりだ。
「すごいね。こんなに種類あるんだ」
この国の甘いワインと他国のもの。コレは甘くないけど、東の国のお酒だよって。僕は一本手に取ってみた。
「ラベル読めないね」
「うん。コレはさすがに僕も読めない」
お米からのお酒だそう。果物以外からも作れるのか。
「コレはビール。フルーツや香辛料の香りが付いている麦を発酵……だと思う。あとなんか草。苦いんだけど美味しい」
少しずつ飲んでみよう!って試飲会みたいになった。僕らはどれも飲んだことはないから、色と香り味と楽しんでいた。
「ねぇねぇどれがよかった?」
「そうだなあ、貴腐ワインはどれも美味しいよ。この金色のラベルのは甘すぎかな。食事にはキツい」
「ほうほう。コレは最も北国のものだね。その分甘い。食前に飲むのがいいかもね」
「うん」
他は?カミーユ様は?とずっと喋ってる。止まらない……
「キャル分かっただろ。延々に喋ってるぞ」
「ええ、ここまでとは思いませんでした」
カミーユの隣に座ってライリーは楽しそうだな……というか、カミーユが楽しそう。
「カミーユに友だちは?」
「いますが、年に数度会えば良い方ではないですかね」
「同じ属性の友だちいるのか」
「はあ……聞いた事ないです」
ふたりできゃあ!うわあとか本気で楽しそう。こんなに騒いでるカミーユはあまり……いや初めて見た。
「お前はふたりの邪魔だからこっちに来い」
「はい」
よく分からないけど盛り上がっているから、僕は父上の隣に座った。
「年が離れてるのによく話題が合うな」
「あ~なんだろうな。奥様会もここまで騒がないが、似たようなもんだ」
このお酒はあの食べ物と合いそうだよ?とか、ライリーの趣味の話しと、ひとところにとどまらず、流れるように議題が変わってく。
「僕をもてなす会のはずたけど、まあいいか」
「忘れたろ。ライリーはいつもこんなだよ」
父上とふたりで飲みながらライリーたちを眺めた。楽しそうに抱き合ったり、手を繋いでそうだよねえ!とか。
「酒飲むとお前はフィデルとよく似た匂いがする」
「そうですかね」
「うん」
体温が上がるから、番を誘う匂いは出てしまう。仕方ないものだよ。
「お前は匂いは似なかったなあ。俺は柑橘系の甘さだから」
「そうですね。僕は花のような感じですかね」
この匂いは属性関係なく、先祖の誰かに似るんだ。一族の匂いだから、近いんだけど少しずつ違うのが普通。このご時世、血の繋がりが全くない家から伴侶を娶るなどない。
遡れば貴族はどこかでみんな身内。近いか遠いだけだ。
きゃあきゃあと楽しむふたりを見てると、僕まで楽しいような気分にしてくれる。カミーユが爆笑して涙流してるのなんて始めてし、弟は止まらない……すごい。
「ライリーはいつもこれ?」
「ああ。ここまでではないがこんなだな」
「カミーユと気があったんですかね」
「そうだろうな。ここまで楽しそうなのは俺も初めて見る。夫や家族ではここまでならない」
「ふーん」
父上は慣れているのかいつもの光景だという感じ。なら僕んち来ない?明日でもさってカミーユは誘われてる。
「キャル。行ってもいい?」
「どうぞ」
ああ?ってライリーが頬を膨らませた。
「兄様も来るんだよ!」
「ええ?」
僕が父上を見るとまあいいだろう、俺も行くさって。
「いいのですか」
「ああ、どうせあいさつにも行くし」
「やったー!カミーユいいって!」
「うん。なら……」
ライリーは、すぐに僕らはどうでもいいと言わんばかりにカミーユと話し出した。
「妻が元気だと華やぐんだよ家がな。花が咲いたように賑やかで明るくなる」
「ええ」
屋敷でもそれは言われた。キャル様が来てから華やいで楽しいとメイドも側近もね。カミーユは寂しかったんだろうなあ。
笑いすぎて咳き込んでるよ。それほど楽しいならここに来た意味があったね。
僕らふたりは完全に蚊帳の外。
「あちらの家族はなんだ。うちに比べれば堅苦しいと思う」
「いや……コレ許してるあなたが問題なだけでしょうよ」
「そうか」
先触れもあったもんじゃなく来るし、気がついたら帰ってるし。ライリーが好き勝手やっているのを父上は咎めない。ちょっと嫌な顔するくらいだから、そりゃこうなるさ。
「お前の屋敷にも魔法陣設置するからな」
「え?」
「え?じゃない。家族なんだから行き来はしたいだろ」
「はあ。うちに来てくださるんですか?」
「は?」
行くでしょって。本当は一緒に住みたいくらいなのを我慢してるのに、行くに決まってるって。……ふふっ嬉しいかも。
「ありがとう存じます」
「感謝される事ではない。当たり前なんだよ」
「はい。なら僕も来ます」
「ああ、待っている」
ふたりともさすがに疲れたのか、勢いがなくなってきた。目がうつろで抱き合ってるし。
「カミーユ、僕あなたが好きだ。兄様抜きでも遊ぼ?」
「うん。いる間は遊ぼうね」
「うふふっ大好き兄様。あ~ねむ」
カミーユにもたれているうちにズルズルと滑り落ち、抱きとめていると側仕えが抱き上げた。
「そろそろお開きな。連れてけ」
「はい」
ライリーの側仕えは一礼すると部屋を出ていった。カミーユはそれを見送ると僕に向き直って、
「ごめんねキャル。あんまりにも楽しくて」
「いいよ。僕らも戻ろう」
「うん」
父上も俺も戻ると立ち上がった。
「楽しかった。また明日な」
「はい。おやすみなさいませ」
父上は手をひらひらさせて側近たちと出て行った。
「ボクラも行こう」
「うん」
ふらふら千鳥足のカミーユを支えながら部屋に戻った。
「お風呂は?」
「入る」
「少し休んでからにしようよ。フラフラだろ?魔法にする?」
「やだ!」
「はいはい。なら歩いて」
「うん…うっ……歩いたら酔いが回る……ヒック」
困ったもんだね。まあ、移動がある訳じゃなしいいか。僕が支えてる間にメイドが服を脱がせた。
「ほら」
「う…ん」
「浴槽入ると良くないから、身体だけ洗ってね」
「うん……」
メイドは心配そうになって、僕に目配せを送ってきた。
「キャル様、あの……」
「僕が支えてるからちゃちゃっと洗って」
「はい」
メイドは早く手を動かして洗ってくれた。無理して入らなくてもいいのになあ。
「ねえお尻も」
「え?」
「したいの!……くふぅ……」
「だそうだ」
指入れてしたフリしとけと小声で。メイドはうんって頷いた。したくて風呂か、でもねぇ。
「あ…う…んぅ…」
「ちょっとでいいから」
「はい」
体を流して脱衣所のメイドにカミーユを渡した。
「寝かせておいて」
「はい」
くふぅ…うぅ……酔っぱらって声が漏れていた。もうダメそうね。
「さて、僕はゆっくり入ろ」
湯船に浸かりふう。
ライリーか……頻繁に会えそうな人が近くにいるのは、カミーユも嬉しいか。あれほど仲良く出来るんだからね。カミーユにとってはいい出会いだったんだろうなあ。
「さてと、流してくれ」
「はい。こちらへどうぞ」
洗って貰いながらガイナスは嬉しそうな顔をした。
「あんなカミーユ様初めて見ました。キャル様との結婚は、カミーユ様にとって幸せなものなんだって。よかったと感じます」
「そう思う?」
にっこり笑って僕にありがとうって。
「いつも寂しそうだったんです。笑うのはご兄弟が来た時だけでしたから。それが弾けるように笑われて、あんなに酔っ払って」
「そうか」
「そうです」
ならば僕にも多少の価値はあったんだね。誰かにとって価値がある。ふふっちょっと嬉しい。お風呂を上がって部屋に戻ると、メイドが風呂上がりの水を用意していた。
「お酒が抜けるって、こちらのメイドが持ってきました。どうぞ」
「ふーん」
ゴクリ。うん普通に果物の味がしてうま……あ?グラスを眺めてしまった。
「変な苦さがあるような……微妙なお味」
「こちらでは深酒の時に飲むそうですよ。薬草が少し混じっているそうです」
「ふーん。まあいい」
ゴクゴク飲みきった。ぷはあ。冷たいだけで美味しく感じるよ。苦いけど。
「カミーユにも飲ませた?」
「はい。あの様子では苦しいかと思いまして」
「ありがとう」
「いいえ。幸せそうなカミーユ様に、我らはキャル様に感謝しています」
「そうか」
目を閉じると眠い……くらっとめまいに似た感じがして……ぐう。
「……さま……キャル様」
「んあ……なに?」
肩を軽く揺すられて?なんだよ。
「寝室に参りましょう。ここで寝られますと風邪引きますよ」
「あ~……ふう」
仕方ないと立ち上がり寝室へ。扉を開けると薄明かりに照らされたカミーユだけど、何だろなこの寝相は。ほぼ大の字で、暑いのかパジャマも捲りあげて、ズボンに片手つっこんでるし。
「色気も何もないな」
足元に布団を蹴り出してるから引っ張って、隣に寝転んだ。少し寝息も大きいな、飲みすぎたよ全くもう。手の位置を戻してよし寝るか。
僕はサイドテーブルの魔石に触れ、灯りを消す。部屋は暗くなり、月明かりのみになった。
「ふう。なんか現実感ないな……」
心がこの変化について行ってるようで、そうでないようで……今までのことがゆらゆら目の裏に思い出された。まあ、なるようになるさと思うことも大事なんじゃないと今は思う。
目を閉じると、酔いもあって思考は混濁していった。
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