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4-0-3 お兄ちゃんの誕生日プレゼント

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 ブックカバー

 中学の時ちょくちょく覗きに行った兄の教室

 いつも見ていた兄の事を思い浮かべていた。

「いつも孤高に座り本読んでるクールなお兄ちゃん、ああ愛しい、格好いい」

 本好きな兄、ブックカバーなら使ってくれる。
 鞄の中には、いつ見ても小説が入ってる。

 栞に、覗きストーカーの上、勝手に鞄まで見ているという罪の意識は勿論無い。

「ブックカバーならそれほど時間はかからない、でもそれだとちょっと物足りないというか、私の思いが伝わってくれないかも、当然綺麗な箱に入れて可愛い包装紙包んでーリボンもつけるし」

 うーーーんと考えていると、目の前に中学校の制服が

「あ、しまうの忘れてた、でももう着ないしなー」

「お兄ちゃん制服どうするのかなー、欲しいなーーお兄ちゃんの3年間が染み付いた制服」

 そこではっと気付く、いや気付いてしまった、気付かない方が良かったのに。

「そうだ、私の思いが一杯詰まっている制服、この生地を使えば中学の私をお兄ちゃんにもらってもらえる」

「やったあああ、お兄ちゃん待っててね中学生の私も上げるね」と言うわけで、栞あっさり制服を切って使った。

 恐らく兄の為なら中学の時どころか、今の制服でも躊躇わずにハサミを入れるだろう。

「後は手紙を書かないと、どうしよう、私の気持ちを書いちゃうと封筒に入らない」
 封筒どころか、辞書になってしまう……

「よし、感謝の気持ちだけにしよう、私と付き合ってくれてありがとうって」



 誕生日プレゼントの準備は整い後はいつ渡すか……


「ねえ、お母さんお兄ちゃんの誕生日どうする?」

「ああ、それなんだけどね、お母さんちょっと仕事休めないかもしれないのよ、今代わって貰えるか聞いているんだけどねー」

「えーーーーーーーー」

「だから、あんたと、お兄ちゃんと帰ってきたらお父さんと三人で何処かに食べてきて貰える?ケーキとプレゼントは用意しとくから」

「仕方ないなー、あ、でもお兄ちゃん忘れてるみたい、ちょっとビックリさせたいからお母さん黙っててね」

「はーーい、じゃあ内緒で用意しとくわね」

「よろしくーーー」と母と話し部屋に戻り扉締めるなり

「やっったああああああああああああ、やったやったお兄ちゃんと二人きりーー」

「お兄ちゃんと二人きりで誕生日、どうしよう、家で二人きりが良いかなあ、でもいい雰囲気の時にお父さん帰ってきたらやだなー」

「そう言えばこないだ夜景が良いって、夜景、夜景、はあああ、お兄ちゃんと夜景」

「何か無いかなー夜景が見れて、お兄ちゃんと二人きりなれる場所」

「そうだ、観覧車だ、観覧車なら二人きり二人の空間、お兄ちゃんと二人きりえへへへへへ」


 このまま延々と妄想しまくっているのでこの辺で

 こうして半年前から始まった栞の誕生日のプレゼント準備は終わった。










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