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45-1 葵の過去

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 部屋に戻り先生に美月を紹介するが、小学生を連れてきた意味がわからない様子、とりあえずリビングで話しましょうとなった。

 先生がお茶をいれにキッチンに行っている間にとりあえずの話しを美月に聞く

「それで婆ちゃんはどうしたんだ?」

 美月を迎えにいった時点で既にいなかった婆ちゃん、そもそも美月と電話で話してから3時間も経っていない……長野からここまですぐに出たとして一体何キロで走って来たんだよ……

「あ~お兄ちゃま、また婆ちゃんなんて怒られるよ~、えっと弥生ちゃまは出版社に行ったよ、今こっちに向かってるぞって編集長に連絡したら、校了したから宴会しましょうって呼ばれて」

「へ~」

「でも弥生ちゃま、そんなのいいから面子3人集めろって、編集長に言ってたよ」

「接待麻雀かよ……」

「ううん、弥生ちゃまプロより強いからね~、泣いてたよ編集長さん」
 多分弥生さんが運転中美月が携帯で代わりに話していたんだろう……

「マジか……ああいう業界の人ってプロ並みがゴロゴロしてるのに……それを泣かすって……」

「鳴きの弥生で有名なんだよ、弥生が鳴くと面子が泣くって」
 先生から出された紅茶を飲みながらケラケラと笑う美月

「なんだその二つ名……怖いよ弥生さん」

「とりあえず、明日朝に連絡するからって、でも明日の学校は休んでも良いけど週明け迄には帰っておいでって」

「そうか……まあ、その方が良いよ、でさあ、一つ凄い疑問があるんだけどさ~~?」

「なあにお兄ちゃま?」


「なんで俺がここに居るってわかったんだ?」
  母さんは仕事中だろうし、妹は連絡したって言ってないし?

「ああ、それはお兄ちゃまのスマ」

「み、美月ちゃん!!」
  俺の隣に座っていた妹が突然美月の名前を呼ぶ……ちなみに俺のソファーに妹と会長が、向かいに先生と美月が、先生は甲斐甲斐しくも、お茶とかを運んだりしてくれてる、会長は食後のアイスに夢中……うーーん会長……段々可愛いくなってきたな……

「え? あ、ああ、か、勘かな~~~?」

「感って……」
 今なんか言おうとして妹に止められたよな? なんだ?

「そ、そんな事よりお兄ちゃま、美月あまり時間が無いんだから詳しい事を教えて」

「あーー、まあそうだな、実は……」

「ちょ、ちょっと待って、え? この子に教えるの?」
  先生がようやく口を開いた、とりあえず俺と美月の会話を分けもわからずに聞いていたが、さすがにと思ったのか慌てて会話に入ってくる。

「え? あ、ああえっと……美月はこう見えて物凄くいろんな事に詳しいんだよ」

「え、でも……それにしても小学生が……」
 まあ、小学生に詳しいからって言われてもだよな~~

「美月は多分俺と比べ物にならない位の情報と知識を持ってるよ、多分栞よりも……」

「ええええ!!」
 うちの学校のトップクラスの妹よりも情報に関しても知識に関しても美月には敵わない、何でもは知らない妹と何でも知ってる美月……

「お兄ちゃま、情報と知識が別物って良くわかるね、凄いよ」

「え? 違うの?」
 先生がそう聞く、まあ俺も最近知った、美月の天才の件で色々調べて出てきたんだけど……まあ何となくでしかわからんが……

「えっとね、情報ってのは単体なんだよ、知識ってのは情報の結合なの、情報を持っててもあまり意味がないの、でも沢山情報を持つといずれ結合するの、それが知識になるの」

「へ、へ~~~~」
 先生が美月の話しに感心している、どっちが先生なのかわからん。

「今、美月は爆発的に知識が増えてるんだよ多分、それを美月自身コントロール出来なかったんだ、それで色々あって……だから俺と栞が美月と一緒に暮らそうって、でも美月は一人でやるって長野に戻ったんだ」

「へーそんな事が……」
 多分今の説明じゃああまりわかってないだろうけど……一応納得した振りをする先生。

「美月ちゃんて見たものを全部記憶出来るの、それも一瞬で……私に出来ない、お兄ちゃんの事以外は」
 妹がさらに美月の凄さを付け加える……っていうか……

「俺の事は出来るんだ…………」

「瞬間記憶……まさかそんな」

「えっとね、101号室が小林、102号室が木村、103が高橋、105が町屋」

「え?」

「入る時ポストに書いてあった名前」

「えええええええ!!」

「305は白井お隣は田邊さん」

「ああ、言われてみればそんな名前だったかも……ええええ!!!」

「まあ、という分けで、多分最強の助っ人なんだよ、美月は」

「そ、そうなんだ……」

「あ、ちなみに美月を乗っけてきた人は○○賞作家の山ノ井弥生だから」
 ちなみに微妙に名字を変えてるだけのペンネーム

「え? えええええええええええええええええええええええええええ!!!」

「そして俺らの婆ちゃんでもある」

「そ、そうなの!!! し、知らなかった……あ!!!」
 そして先生は慌てて窓に駆け寄る

「いない、よね……」

「え? ああ、もう出版社に行ってるって美月が」
 先生はさっきちょうどその話しをしていた時に美月の紅茶をいれに席を立っていた。

「み、美月ちゃん!!!」

 先生が振り返り美月を睨む!

「は、はい?」
  少しビックリしながら美月が返事をした、すると先生が近くの本棚から何冊か本持ってくる。

 そして美月の前に正座すると、ツインテールの頭を下げその本を美月に差し出す……

「お……お願いします!!! お婆様の、さ、サイン貰えませんか? 大ファンなんです!!!」

「えっと……も、勿論よ、お名前も入れてあげてって言っておくよ……」
 美月が珍しく戸惑っている……てか先生……

「ほ、本当に、やった!! 里見へってお願い出来る?! 嬉しい!! 山ノ井先生ってサイン会とかしないから、ずっと憧れていたの、すっごく嬉しい!!」
 先生は嬉しさのあまり美月の手を握りブンブンと上下に振る……

「山ノ井先生……かっこよかった~~もう思ってた以上の人……」
 先生がポワンとしている、そのうち婆ちゃんをおねーさまーって言いそうだな……


「ところで先生……あの……今回の件忘れていないよね」

「え、何が? あ!! いえいえ勿論、美月ちゃんが解決に協力でしょ、なるほど裕君栞さんが頼るだけの逸材ね、葵さんもこれで安心ね」

「ふえ? にいに?」
 アイスのスプーンを咥えながら名前を呼ばれポカンとする会長……

「まあ、で、とりあえず美月も先生の家に泊まる事になるんだけど……」

「勿論大丈夫です!! 山ノ井先生のお孫さん達だったなんて……もう一生いてもいいわよ、一緒に暮らしましょう!!」

「いや、一生は……」

「さあ、とりあえず私寝るところを作って来るわね!!」
  先生は腕捲りをして部屋を飛び出ていった……おいおい

 その姿を見送ると美月は紅茶に一度口を付け、ホッと一息つく……

「さて、茶番は終わりにして、本題に入りましょうか、お兄ちゃま」

「美月……ちょっと怖いぞ」

「これで先生は大丈夫でしょ?、というかあの先生自分の事を棚に上げて小学生がって……危うく突っ込む所だったよお兄ちゃま、美月と対して変わらないじゃない色んな所が」

「まあまあ、て言うか押さえてくれたんだ美月」

「今日泊めて貰うしね~~」

 美月……どこから計算してるんだかわからんが……なんか人心掌握まで物にし始めたような気がする……そしてさらに色々磨きがかかっいる……この一週間でなんあったか? 美月……

「さあ、まずはお兄ちゃまの持ってる情報を全部頂戴、隠し事一切なしね」

 そう言って鋭い視線で美月は俺を見つめた……ここまで来たら一切隠すつもりなんかない……俺は美月に会長、生徒会の事を話し始めた。


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