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candied apples 3ー3

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「おー、意外!めっちゃ綺麗に片付いてるんすね」
開口一番のコバの評価はこれだった。
「あたりめぇえダロ!食いもん屋だぞ」
自分の家だって、衛生管理にはムチャクチャ厳しい調剤も受け付ける薬局のくせに、コバは珍しい物でも見るみたいにバックヤードをウキウキと探検し始めた。
「わースゲェ!部屋イッコが冷蔵庫になってる!何?窓の奥に見える扉がキッチン側の扉?デケー」
「入るなよ!」
「分かってますよぉ」
普段から落ち着きの無いヤツだとは思っていたが、まるで新しい家に連れて来られた柴犬みたいにアチコチ探っていく
「あ、ここトイレだ、何かデカくね?しかもキレイ。毎日掃除してるんだ?へー。あー!休憩室発見!ベッドショッボ!」
流石に呆れだした高岡がコバを連れ戻しに来た。
「オイ!子ダヌキ、いい加減にしろ!」
「すっげー!シャワー室まである!ここ普通に住めるじゃん、何でセンパイ住んでなかったの!?」
「ほら、いい加減にしねぇと、無理やり引き摺ってくぞ!」
「まって、じゃぁ休憩室だけ見たら戻るし。わー。一見粗末に見えるけど、一つ一つの物は質が良いんだね。ベッド寝っ転がってみて良い?」
悪びれもせず聞いて来るコバに俺は即答で断った。
「ダメ」
「・・・何だよ。言い方キツイ。良いよー。あ、ベッドの反対側ウォーキングクローゼットじゃん。スゲェ。全部エプロンだ。ねー、エロ本とか隠してねーんすか?」
「有るワケネェだろ!お前エプロンはキッチン入る時に着けるモンなんだからあんま触るな、というか出ろ」
琢美のワンピースをそのクローゼットの中に隠してる俺は、少し焦ってそう言った。



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