コトリの黒目

すずひも屋 小説:恋川春撒 その他:せつ

文字の大きさ
48 / 57
副業

副業2−8

しおりを挟む
ただ、そのハイカラな外観を、一階部分のテナントの電飾看板が凄まじく台無しにしていた。
その喜劇的な景色のせいか、ビルに近づいてゆくにつれて、銀が感じていた妙な不快感も消えていった。
ビルの近くの街路樹の横を通りかかると、ムクドリの賑やかな鳴き声が聞こえて来た。
木を見上げると、ムクドリ達が鈴なりになって留まっていた。
街路樹は、ムクドリ達がいつも寝床にしているのだろう。木の下は鳥の糞で大変な事になっていた。
「ムクドリもあそこまで集まると不気味ですね」
「ははは、農地に居たら害鳥だけど、都心の木に鈴なりになっている分には、存外居るだけで役にたっていたりするんだよ。
 血迷った男に糞を落として正気に戻したりね」
「何ですかそれ」
「不気味な鳴き声で我に返したり」
「小鳥に優しいんですね、好きなんだ?」
だからトランクルームでも銀の事を『小鳥』と言ったのか、と銀は納得した。
「そうでもないよ、好きでもない」
「照れなくても」
「照れてないよ。
 好きなのは上野君だけだよ」
からかったら、からかい返されて、逆に銀が頬を染める事になった。
そうこうしているうちに、二人は件のビルの前に到着した。
「ほら、ここだよ」
入り口を見て銀は驚いた。
ビルには、『buil・SHIRAKAMI』と上部に刻まれた、各階数事にのテナントの名前が記された案内看板が貼り付けてあった。
「ボ、ボンボン!」
「ボンボンいうなて。
 誰にも内緒だよ。
 また松浦みたいな女が出たらたまったもんじゃないよ!」
今、呼び捨てにした・・・。
銀は、驚いて白髪を見た。
「何かあったんですか?」
銀の問いかけに、白髪は少しためらってから言った。
「ストーカーされた。
 家族情報調べ上げて独身なら付き合ってくれって迫られた。
 キモかったぁ・・・」
白髪は心底嫌そうに言った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ユキ・シオン

那月
BL
人間の姿をした、人間ではないもの。 成長過程で動物から人間に変わってしまう”擬人化種”の白猫青年と、16歳年上のオッサンとのお話。 出会ったのは猫カフェ。白猫従業員としての青年と客としてやってきたオッサン。 次に再会したのは青年が人間として通う大学。オッサンは保健室の先生だった。 青年が金のためにヤバいことをしていて、あるトラブルが起こる。 そこへ見計らったかのようにオッサンが飛び込んで救出したのをきっかけに2人の距離は縮まり…… ※表紙絵は自作。本編は進むにつれてどんどん動物園と化します(笑)

一夜限りで終わらない

ジャム
BL
ある会社員が会社の飲み会で酔っ払った帰りに行きずりでホテルに行ってしまった相手は温厚で優しい白熊獣人 でも、その正体は・・・

ブラコンネガティブ弟とポジティブ(?)兄

むすめっすめ
BL
「だーかーらっ!皆お前に魅力があるから周りにいるんだろーがっ!」 兄、四宮陽太はブサイク 「でも!それって本当の僕じゃないし!やっぱみんなこんな僕みたら引いちゃうよねぇ〜 !?」 で弟、四宮日向はイケメン 「やっぱり受け入れてくれるのは兄さんしかいないよぉー!!」 弟は涙目になりながら俺に抱きついてくる。 「いや、泣きたいの俺だから!!」 弟はドのつくブラコンネガティブ野郎だ。 ーーーーーーーーーー 兄弟のコンプレックスの話。 今後どうなるか分からないので一応Rつけてます。 1話そんな生々しく無いですが流血表現ありです(※)

【創作BL】溺愛攻め短編集

めめもっち
BL
基本名無し。多くがクール受け。各章独立した世界観です。単発投稿まとめ。

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

一人の騎士に群がる飢えた(性的)エルフ達

ミクリ21
BL
エルフ達が一人の騎士に群がってえちえちする話。

息子よ……。父を性的な目で見るのはやめなさい

チョロケロ
BL
《息子×父》拾った子供が成長したらおかしくなってしまった。どうしたらいいものか……。 ムーンライトノベルズ様でも投稿しています。 宜しくお願いします。

異世界転移した先は陰間茶屋でした

四季織
BL
気が付いたら、見たこともない部屋にいた。そこは和洋折衷の異世界で、俺を拾ってくれたのは陰間茶屋のオーナーだった。以来、俺は陰間として働いている。全くお客がつかない人気のない陰間だけど。 ※「異世界に来た俺の話」と同じ世界です。 ※謎解き要素はありません。 ※ミステリー小説のネタバレのようなものがありますので、ご注意ください。

処理中です...