魔獣の姫に黒の騎士

すずひも屋 小説:恋川春撒 その他:せつ

文字の大きさ
12 / 124

黒豹の腹の毛は5

しおりを挟む
「いや・・・・匂いが似てると、言う事も似てるのかなって思ってよ。昔、まったく同じ事を言ってくれた魔道士が居たんだ。」
「そうですか。」
ガルゴに少しでも好意を抱いている者ならば、その魔道士の話に食いつく所だろが、サナリアは全く意に介さずガルゴの体の検分に戻った。
体をあちこち観察し、ブツブツと独り言を言っている。拡大から顕微鏡機能までついてるサナリア特製の魔道具ゴーグルからは、倍率調整の為と思われる小さなカチカチという金属音が鳴り続けていた。
「あぁ・・・見た感じはまるっきり黒豹ですけど骨格や細かいパーツはやはり微妙に違うんですね、肩がしっかり有るのは矢張り猿系の骨格遺伝子だろうな、本当にあらゆる戦闘に有利な体躯をしてますね、貴方。しかし、この何とも柔らかな手触りの毛並みは一体何の獣人の遺伝子が作用して生まれているのか・・・・猫科だけではこうは行かないハズ・・・・」
学術的に興味津々になったサナリアは遠慮なしにガルゴを触診し、間近に目を寄せて観察している。
肩を触り、肋骨の数を数え、心臓の位置を確認し、肱や指関節、太ももの骨格や筋肉の付き方等遠慮なしに検分していった。
余程腹の毛の手触りが気に入ったのか片手は大抵すぐ腹に戻るが。
ナカナカ際どい所まで指が下りてきて、ガルゴは一人でドキドキした。
「気に入ったんなら、・・・・顔を埋めても良いんだぜ?」
殆ど勢いと冗談でガルゴが言ったのだが。
「そうですか。」
っとだけ言って、サナリアは本当にガルゴの腹にポスンと顔を埋めた。
そのままグリグリと感触を確かめる様に頭を動かす。
まさか本当にやるとは思って無かったガルゴは、思考停止状態になり内臓以外の機能全てが停止した。
「別にあの子に勝ってるとは言いませんが、本当に見事な毛並みですねぇ・・・」
まるで飼ってる猫の腹に顔を埋める飼い主のごとくスリスリと頬すりをする。
「おおおおおぉぉお、おう!そうだろう!中々の物だろう!」
ガルゴの真っ黒なレオパードの上でサナリアの朱い髪がサラサラと揺れている。
ガルゴを保護した魔道士も、ガルゴの体に頬すりを良くしたものだった。
過去の神聖な記憶と腹をくすぐる感触が、一種背徳的な心情となってガルゴを煽った。
黒豹だから分からないが、ガルゴが普通の人間だったら全身真っ赤に染まっている事だろう。
そんなガルゴの心中なんか露知らず。
「背骨の数はどうなのかな?」
サナリアはそのままの体制から、ガルゴに縋りつく様な体制になり開いた制服の隙間から手を突っ込んでガルゴの両脇から彼の背中に手を回し入れた。
「一、二、三、・・・・」
と上から背骨をなぞって数を数えだす。体格が良すぎてサナリアの手はガルゴの背骨には指先しか届かない。
サナリアにとっては『ちっ、やり辛いな』位だが堪らないのはガルゴだ。
指先だけで、ガルゴの背骨をナゾルサナリアの手が生む感触はほぼ愛撫となってしまっていた。
「・・・・・・っ」
公衆の面前で目覚めてしまいそうになる性欲の象徴を唇をかんで必死に耐える。
先ほど出来た口内の傷はパックリ開いて唇まで染み出て来て来た。
見下ろせば自分の腹に顔面を押し詰めて身じろぎする華奢な学者の小ぶりな頭と背中では熊さんアップリケがモゾモゾと動いている。シュールだ。熊さんアップリケが全てを台無しにしている。しかし。
サナリアの背中の熊以外を無視すれば、それはまるで、まさにガルゴの股間に顔を埋めようとする相手の様にも見え
「くそっ視覚の暴力だ。」
「んー?何か言いましたか?」


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】

古森きり
BL
【書籍化決定しました!】 詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります! たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました! アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。 政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。 男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。 自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。 行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。 冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。 カクヨムに書き溜め。 小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。

黒豹拾いました

おーか
BL
森で暮らし始めたオレは、ボロボロになった子猫を拾った。逞しく育ったその子は、どうやら黒豹の獣人だったようだ。 大人になって独り立ちしていくんだなぁ、と父親のような気持ちで送り出そうとしたのだが… 「大好きだよ。だから、俺の側にずっと居てくれるよね?」 そう迫ってくる。おかしいな…? 育て方間違ったか…。でも、美形に育ったし、可愛い息子だ。拒否も出来ないままに流される。

【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件

表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。 病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。 この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。 しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。 ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。 強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。 これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。 甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。 本編完結しました。 続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください

獣人将軍のヒモ

kouta
BL
巻き込まれて異世界移転した高校生が異世界でお金持ちの獣人に飼われて幸せになるお話 ※ムーンライトノベルにも投稿しています

竜の生贄になった僕だけど、甘やかされて幸せすぎっ!【完結】

ぬこまる
BL
竜の獣人はスパダリの超絶イケメン!主人公は女の子と間違うほどの美少年。この物語は勘違いから始まるBLです。2人の視点が交互に読めてハラハラドキドキ!面白いと思います。ぜひご覧くださいませ。感想お待ちしております。

愛を知らない少年たちの番物語。

あゆみん
BL
親から愛されることなく育った不憫な三兄弟が異世界で番に待ち焦がれた獣たちから愛を注がれ、一途な愛に戸惑いながらも幸せになる物語。 *触れ合いシーンは★マークをつけます。

転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした

リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。  仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!  原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!  だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。 「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」  死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?  原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に! 見どころ ・転生 ・主従  ・推しである原作悪役に溺愛される ・前世の経験と知識を活かす ・政治的な駆け引きとバトル要素(少し) ・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程) ・黒猫もふもふ 番外編では。 ・もふもふ獣人化 ・切ない裏側 ・少年時代 などなど 最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。

異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします

み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。 わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!? これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。 おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。 ※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。 ★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★ ★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★

処理中です...