【R18/完結】転生したらモブ執事だったので、悪役令息を立派なライバルに育成します!

ナイトウ

文字の大きさ
41 / 65
第3章 学園編

14 翌日

しおりを挟む
次の朝、ユーリスの部屋の扉の前で1回深呼吸する。
そろそろ彼を起こす時間だからだ。

昨日は感情に任せて逃げてしまったけど、いつまでもそうしてはいられない。
とりあえず、ユーリスと会わないと。

それで、昨日のことを言われるようなら謝って、何も言われなかったらサボったことだけ謝って告白はなかった事にする。
そして元通り、ユーリスは俺の主人で俺はユーリスの執事でいられるはずだ。

うん。大丈夫。行くぞ。

深呼吸して扉を4回ノックする。
いつもなら起きてるはずないのでそのまま入ってユーリスを叩き起こすところからだ。

しばらく待っても返事は無くてドアノブに手をかける。
その直後、予期せず扉が開いたのでビックリして少し体が跳ねた。
開いた隙間からきちんと制服を着たユーリスが現れる。
その顔には昨日と同じように表情がない。
それを少し不安に思って初めて、いつもユーリスのいろいろな表情を見ていた事に今更気付いた。

「おはようございます、ユーリス様。ご支度はお済みのようですね。」

俺はちゃんと笑えてるだろうか。

「ああ。」

「では、朝食の準備をいたします。」

「ルコは給仕しなくていい。学園の人にやってもらって。」

「……承知いたしました。」

「ん……。」

「あ、あの……、よろしければ今日は私もお食事ご一緒しても?前から何度かお誘い頂き、断っておりましたが今日は……」

「いいわけないだろ。僕は許さないから。昨日ルコが言ったこと。」

無表情だった顔が一気に険しくなった。
その表情と言葉に、また胸が抉られるように痛くなる。

そこまで嫌だったか?俺が従者としての分を超えたのが?

「お怒りはごもっともです。ですが、私にも心があります。今までどおりお仕えいたしますので、どうか想うだけは許していただけないでしょうか。」

「じゃあ、服脱いで足開いてみせてよ。」

言われた言葉に目を見開いて見つめれば、冷たい石のような瞳がこちらを見ている。
けどそんな様子もやっぱり好きで、ちょっと末期かもしれない。
挑発だと分かっても言われたとおり脱ぐため、ネクタイの結び目に指を掛けて引っ張る。

コンコンコン

少し緩めた所でドアノックが鳴った。

「ご朝食をお持ちしました。」

フットマンの声が外から聞こえて来る。
続けるべきか迷ってユーリスに視線を移した所で、体が暖かいものに包まれた。ユーリスが俺を優しく抱き寄せている。

「ごめん、もういいから。先行って。」

声が少し震えていて、それにハッとした。
俺、ユーリスを困らせてるんだ。

体はすぐ離れていき、直後に給仕係かワゴンを押して部屋に入って来た。
俺はひったくるように自室の荷物を掴むと研究棟に向かった。

重い足取りで教室に入ると、時間が早いせいで生徒はまばらだったけど自分の席があるブロックには既にジキスが座っている。

「ガーデンシア様、おはようございます。」

案の定反応は無い。

「少しよろしいでしょうか。昨日のことで。」

声を掛けると、ジキスはこちらをチラッと見て立ち上がった。
それを承諾の合図と理解して2人で教室を出る。

人の出入りがない所と考えて不要物を保管している倉庫部屋に来てもらった。
扉を閉めた後、すぐにジキスに向かって深く頭を下げる。

「昨日は身を弁えず無礼な態度を取ってしまい大変申し訳ございませんでした。」

返事は特に無い。

「それで、私がお願いできる立場でない事は十分承知なのですが、昨日ご覧になった事はどうか黙っていて頂けませんでしょうか。」

「……言えるわけないだろ。クリスタス家の醜聞を広めるようなことはしない。」

やっと吐き捨てるような返事が返ってきた。

「ありがとうございます。」

面白半分に触れ回るタイプではないと思ってはいたけど少し安心する。

「けど、貴様が2年生の要求を安請け合いできる理由は分かった。どうせ主人に告げ口して何とかしてもらうつもりだったんだろ。」

目を細めて、蔑むようにこちらを見てくるジキス。

「そんな事はございません。」

「信じると思うか?昨日私にしたように利益のためなら誰でも誘惑するんだろ。ユーリスフレッド様がそんなものに引っかかったとは嘆かわしいが、貴様が今ここにいる十分な理由にはなる。」

言われた言葉に少し目を見張ると、ジキスは拒絶するように視線を逸らした。
そう思われても仕方がない言動をした自覚はある。

「……私はガーデンシア様と友人になりたかったのです。しかし、私のやり方は間違っていました。申し訳ありません。」

もう一度頭を下げて謝罪する。

「間に合ってる。」

ジキスはそう言って倉庫を去っていった。
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

悪役令息の七日間

リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。 気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】

令嬢に転生したと思ったけどちょっと違った

しそみょうが
BL
前世男子大学生だったが今世では公爵令嬢に転生したアシュリー8歳は、王城の廊下で4歳年下の第2王子イーライに一目惚れされて婚約者になる。なんやかんやで両想いだった2人だが、イーライの留学中にアシュリーに成長期が訪れ立派な青年に成長してしまう。アシュリーが転生したのは女性ではなくカントボーイだったのだ。泣く泣く婚約者を辞するアシュリーは名前を変えて王城の近衛騎士となる。婚約者にフラれて隣国でグレたと噂の殿下が5年ぶりに帰国してーー? という、婚約者大好き年下王子☓元令嬢のカントボーイ騎士のお話です。前半3話目までは子ども時代で、成長した後半にR18がちょこっとあります♡  短編コメディです

悪役令息上等です。悪の華は可憐に咲き誇る

竜鳴躍
BL
異性間でも子どもが産まれにくくなった世界。 子どもは魔法の力を借りて同性間でも産めるようになったため、性別に関係なく結婚するようになった世界。 ファーマ王国のアレン=ファーメット公爵令息は、白銀に近い髪に真っ赤な瞳、真っ白な肌を持つ。 神秘的で美しい姿に王子に見初められた彼は公爵家の長男でありながら唯一の王子の婚約者に選ばれてしまった。どこに行くにも欠かせない大きな日傘。日に焼けると爛れてしまいかねない皮膚。 公爵家は両親とも黒髪黒目であるが、彼一人が色が違う。 それは彼が全てアルビノだったからなのに、成長した教養のない王子は、アレンを魔女扱いした上、聖女らしき男爵令嬢に現を抜かして婚約破棄の上スラム街に追放してしまう。 だが、王子は知らない。 アレンにも王位継承権があることを。 従者を一人連れてスラムに行ったアレンは、イケメンでスパダリな従者に溺愛されながらスラムを改革していって……!? *誤字報告ありがとうございます! *カエサル=プレート 修正しました。

侯爵様の愛人ですが、その息子にも愛されてます

muku
BL
魔術師フィアリスは、地底の迷宮から湧き続ける魔物を倒す使命を担っているリトスロード侯爵家に雇われている。 仕事は魔物の駆除と、侯爵家三男エヴァンの家庭教師。 成人したエヴァンから突然恋心を告げられたフィアリスは、大いに戸惑うことになる。 何故ならフィアリスは、エヴァンの父とただならぬ関係にあったのだった。 汚れた自分には愛される価値がないと思いこむ美しい魔術師の青年と、そんな師を一心に愛し続ける弟子の物語。

シナリオ回避失敗して投獄された悪役令息は隊長様に抱かれました

無味無臭(不定期更新)
BL
悪役令嬢の道連れで従兄弟だった僕まで投獄されることになった。 前世持ちだが結局役に立たなかった。 そもそもシナリオに抗うなど無理なことだったのだ。 そんなことを思いながら収監された牢屋で眠りについた。 目を覚ますと僕は見知らぬ人に抱かれていた。 …あれ? 僕に風俗墜ちシナリオありましたっけ?

妹を救うためにヒロインを口説いたら、王子に求愛されました。

藤原遊
BL
乙女ゲームの悪役令息に転生したアラン。 妹リリィが「悪役令嬢として断罪される」未来を変えるため、 彼は決意する――ヒロインを先に口説けば、妹は破滅しない、と。 だがその“奇行”を見ていた王太子シリウスが、 なぜかアラン本人に興味を持ち始める。 「君は、なぜそこまで必死なんだ?」 「妹のためです!」 ……噛み合わないはずの会話が、少しずつ心を動かしていく。 妹は完璧令嬢、でも内心は隠れ腐女子。 ヒロインは巻き込まれて腐女子覚醒。 そして王子と悪役令息は、誰も知らない“仮面の恋”へ――。 断罪回避から始まる勘違い転生BL×宮廷ラブストーリー。 誰も不幸にならない、偽りと真実のハッピーエンド。

【完結】悪役に転生したので、皇太子を推して生き延びる

ざっしゅ
BL
気づけば、男の婚約者がいる悪役として転生してしまったソウタ。 この小説は、主人公である皇太子ルースが、悪役たちの陰謀によって記憶を失い、最終的に復讐を遂げるという残酷な物語だった。ソウタは、自分の命を守るため、原作の悪役としての行動を改め、記憶を失ったルースを友人として大切にする。 ソウタの献身的な行動は周囲に「ルースへの深い愛」だと噂され、ルース自身もその噂に満更でもない様子を見せ始める。

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

処理中です...