【R18BL】稀代の龍葬騎士長がコブ付き令息に捧げる必死の求婚

ナイトウ

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18. エピローグ

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ゾックがあの日僕の後見人になって三年が過ぎた。

今日も僕はゾックを龍の所に送り出している。

「マル、行ってらっしゃいのキスして?」

もう一人、すっかり成長したルクトも一緒だ。
ルクトのおねだりに答えてほっぺにキスしてやる。

綺麗な青い髪と瞳はそのままに、たった三年でゾックに並ぶくらいに大きくなった。
だから、かがんでもらって僕の方は目一杯体を伸ばさないとキスできない。
見た目だけなら二十歳くらいに見えるが、中身はまだまだ構われたい盛りの子供だから何だかんだ可愛い。

「ルクト、ママの次はパパもキスしてやろう。」

横から来たゾックを嫌そうに避けて押し返す。

「は?ウザキメェ。パパじゃねぇしマルはママじゃない。俺はあんた殺してマルと二人で龍郷に戻るの。何度言ったら分かる?」

ルクトはゾックにだけ絶賛反抗期だ。

「ルクト、ゾックがウザいのは分かるけど今日もちゃんと仕事してね。この国のためなんだから。」

ルクトが途中でやる気をなくさないように釘を刺す。

「人間の国とかキメェおっさんとかどうでもいいけど、マルのためなら頑張る。だからこいつ置いて一緒に龍郷に帰ろ?」

ルクトが甘えて僕にひっついてくる。

「嫌だよ。僕はゾックとこの国から離れる気はない。ルクトの面倒を誰よりみてたのはゾックだよ。もし酷い事したら嫌いになるからね。」

僕は何度目か分からない叱咤をルクトに入れた。

「マル、愛してる!」

ゾックがいつもどおり僕の言葉に涙目になりながら抱きついてくるのをぺしっと片手ではたき返す。 
別にこう言っとかないとルクトがお前を襲うかもしれないから言ってやってるだけだし。

ルクトはそんな僕たちを面白くなさそうに見て、けどおとなしく巨大龍の姿になるとゾックを乗せて出発した。

何だかんだで任務はきっちりこなす二人だからな。

ルクトが加わってから、武力制圧一辺倒だった龍葬騎士の仕事は様変わりした。

なにせルクトは龍だから、他の龍と意志疎通ができる。
龍が暴れれば怒りを収めるように説得し、人間が龍を怒らせることをし始めたときは龍が怒り出さないうちにゾックを介して人の社会に警告し深刻な対立を回避してしまう。

中には話が通じず人間の生活を脅かす龍もいるので、そういう個体はゾックとルクトで討伐する。

つまり、ゾックが隊長になってから既にあまり無かった本来の龍葬騎士団の仕事は、今や開店休業状態だ。
もっぱら龍の被害を受けた場所の救援や復興支援に従事している。
僕もルクトが団員に加わって公の存在になってから、ゾックの手配でやっと復帰できた。
今では正規の騎士として他の団員と一緒に後方活動をしている。

最初の頃の理想とは違うけど、それでも困る人のために力を尽くす仕事はやりがいがある。

「いい加減とっとと龍郷にいっちゃえば?」

バルコニーから飛び立った2人を見送っていると後ろからだるそうに言われて振り返る。
乱れた寝間着のまま腹を掻きながら、ゾックの弟ディーデが立っていた。
こっちも15歳のルクトに次ぐ反抗期で、僕にばかり発動する。
ゾックとは血が繋がっていないから、容姿は全然似てない。線の細い繊細な子だ。
僕たち3人が一緒に暮らしだして程なく、留学先を抜け出して転がり込んできた。

曰く、僕からゾックを守るためらしい。
義理の兄であるゾックの事が大好きないい子で、2人でいるところを見ているときっとゾックは養家でディーデに救われてたんだろうなと分かる。
ちょっと兄離れできてないけど、それは甘やかしたゾックのせいだしな。

「僕は龍郷に行かないよ。ディーデ、朝ごはん食べるなら用意するけど?」

「あんたが兄さんと別れたら食べてあげるよ。」

「何度も言うけど、別れないからね!」

「ふんっ、じゃあそのツラ見せないで」

ディーデはだるそうにキッチンに向かって行った。
僕が彼くらいの頃は自分で食事の用意も出来なかったけど、しっかりしてる。

「そろそろ僕も出勤しなきゃな。」

僕はこの4人で暮らす賑やかな生活がけっこう気に入っている。
昔の箱入りだった頃に比べれば出来ることも増えた。
ゾックには夜のエッチをもう少し手加減してほしいとずっと思ってるけど。

出かけようと玄関を出たら、目の前に人がいた。

「マル!今日も騎士団のところに行くのか!危ないだろ!」

華やかな装いの僕に似た顔立ち。

「兄上、行くのが僕の仕事だって、毎日言わせないで。」

「まあまあ、サボろう。お菓子があるよ。」

「サボらないもん。」

兄上も、ゾックが僕の後見人になった後から3日と置かずうちに来ては別れろと促してくる。
国政の重要な立場にいるからルクトがこの国に受け入れられるように沢山助けてくれて感謝もしてるけど、ディーデと同じようにちょっと兄弟離れ出来てない。

「マル、龍葬騎士団はゾックとルクトがいるから大丈夫だろう?マルは安心して帰って来なさい。ずっとお父さんとお兄ちゃんと一緒ににいていいんだよ。」

兄上が聞き飽きたことをまた言い聞かせてくる。

「もー!僕はゾックが大好きだから!絶対別れないの!」

今日もゾックがいない所で盛大に叫んだ。
本人の前でこれを言ったことはない。

だって恥ずかしいし、ゾックは僕のことよく分かってるから、もうとっくに知ってると思う。


(おわり)








更新遅れてすみません。
お付き合いありがとうございました!

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感想 4

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みんなの感想(4件)

井幸ミキ
2024.06.21 井幸ミキ

おはようございます

マルくん……それ全部ゾックさんの思うツボ😂

ゾックさんの執着がすごくて(全ての行動がマルくん基準)マルくん逃げてー気付いてーとも思いましたが、マルくんも満更でなさそうなので、素直に見守りたいと思います!生温く……

2024.06.22 ナイトウ

感想ありがとうございます!
ゾックのやばさに笑ってもらえたら…
マルは受けの様式美でかなりチョロいので、
この先まんまと型に嵌められます笑。

お付き合いいただけると嬉しいです🙇‍♀️

解除
井幸ミキ
2024.06.17 井幸ミキ

おはようございます

新作ありがとうございます✨
ツンギレ可愛い、このままゾックさんの執着に気付かないままいつの間にかいっぱい泣かされちゃうのかな、コブとは?と思っておりました。
とうとうコブが……?
楽しみにしています💕

2024.06.18 ナイトウ

こちらこそ感想ありがとうございます!
やっとコブですー。

生意気なのが謝る話が書きたかったので、そこまでやります💪

解除
夜神
2024.06.16 夜神

お返事ありがとうございます!まだ続くとのこととても嬉しく思います。続きも楽しみにしています。返信不要です。

2024.06.17 ナイトウ

とんでもないです!
こちらこそ教えて頂き本当にありがとうございました🙇‍♀️🙇‍♀️🙇‍♀️

解除

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