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しおりを挟む正座を崩し血流が回復しだすとジンジンくる衝撃が辛い。じんわり目に涙が滲んでくる。
前世だったらこれくらいどうって事なかったけど、今の体は全然正座に耐性がないのを失念していた。だってこの世界、椅子文化なんだもん……。
「すまなかったね。では、私が手を貸そう。」
「いや、今ほんと無理だからっ……んあぁっ!」
止める間もなく王子が脇から腕を入れて引き起こしてきたので、ジンっ!と動かした足に衝撃が走り思わず悲鳴をあげて支えてくる体にしがみつく。
こ、こいつワザとか!?
涙目でキッとつい睨みつけたらビックリした顔をしていた。
そうかワザとじゃないのか。
ひょっとして王子は足が痺れたことないのかも。
草の上に寝転んだこともなかったみたいだし。
王子は相変わらず俺の顔を凝視している。
しまった、睨みつけちゃったから。
「あの、失礼しました。その、足が痺れると触ったり動かすのも辛いのでそっとして……っふあぁっ!!」
説明してる最中に突如王子が俺のふくらはぎを撫でた。
いいい今のは絶対ワザとだろぉ!!
Sか?お前実は隠れSなのか!?
王子は相変わらず悶える俺をじっと見てくる。
あ絶対隠れSだこれ。
「ひ、酷いです王子……」
つい非難の言葉が口をついた。
その言葉にはっとした様子の王子。
まさか無自覚か。恐ろしすぎる。
「すまない。そんなに辛いと思わなくて。責任を持って連れて行くよ。」
少し早口に言うとまだ投げ出したままの俺の脚に腕を差し込み、グッと横抱きで俺の体を持ち上げた。
痺れは治ってきたけど足を触られてまた少し衝撃が襲う。
「っあ!……おっ、王子!結構です!もう歩けますので降ろしてください。」
「無理しなくていい。辛そうだから。」
爽やかな笑顔で満足げに微笑む王子。
何でだ。心臓がドキドキしてくる。
ひ、姫抱っことかお前は王子様か!
……王子様だった……。
結局再三訴えたけど降ろしてもらえず、宮殿の入り口で待っていた王子の従者が唖然と見てくるのがめちゃくちゃ恥ずかしかった。
その後何故かあの場所で俺の膝枕でうたた寝する事は王子の日課になった。
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