[R18]愛が重いスパダリ男に構内で告白されたのでとりあえず付き合ってみた

ナイトウ

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四限が終わった後講義室を一人で出たら、赤崎が待っていた。
俺を見つけて近づいてくる。

「あのっ、赤崎君こんにちは!珍しいね、こっちのキャンパスにいるの。」

その途中で、二人連れの女の子たちが赤崎に話しかけた。少しの緊張と期待の混じった表情をしている。

「すまない、急いでいるんだ。恋人と早くデートがしたいから。」

赤崎は彼女たちを遮るように手のひらを二人に向けて牽制する仕草をした。

「え!赤崎君文系学部に彼女いたの!?」

「いや、彼氏だ。」

赤崎が事も無げに言って俺を指さすと、女の子たちが目を丸くしてこちらを見た。その二人に笑顔で手を振る。

「え!?国木君!?2人ってそうなの!?」

俺は彼女たちを知らないけど、向こうは知っていたみたいだ。

「そうだ。失礼する。」

赤崎が俺の手を握って歩き出す。それに黙ってついて行った。

講義棟を出て、キャンパス内の銀杏が並ぶ道を正門に向かって二人で歩く。
特にふりほどく理由もないので、手をつないだまま歩いた。

「あいりがさっき、女性二人に手を振ったとき、嫉妬のあまりに怒りを感じた。」

歩きながら、赤崎が怒りなんて微塵もないように言った。
けど、これは他の人に愛想良くしないでって言われるパターンだな。

「自分にこんな感情があるとも思っていなかった。新鮮な驚きだ。」

赤崎が今度は驚きなんて微塵もないように言う。けど、それ以上の言葉はなかった。

「えと、しないほうが良かった?」

思わず自分から聞いた。こんな事は初めてかもしれない。しないでと言われても、俺がいつ誰に手を振るかは俺が決めることだし。

「いや?あいりは好きなときに好きな人に手を振ればいいんじゃないか。俺がとやかく言うことではないだろう。」

「あ、そう、だね……」

なんか、赤崎は違うのかも。なんか、今までつきあってきた人と違う。アヤちゃんも違ったけど、別の感じに違うかも。

「国木くん!」

後ろから呼び止められて振り返ればアヤちゃんだった。

「あ、アヤちゃん。」

手を振ろうとして、途中で止めた。

「あらら、メッセージは本当だったんだ。」

「うん。そうだよ。赤崎くんに告白されたから、付き合うことにした。」

「透流と呼んでくれないか。」

俺がアヤちゃんに説明していたら、赤崎に呼び方を指定された。

「いーよー。」

「それで、こちらの女性は友人か?」

透流がそう言って俺の手を少し強く握り直す。

「ううん。彼女。一年くらい前から。」

俺が言えば、透流の眉がぴくりと動いた。

「あ、えっと……赤崎君?あの、国木君はちょっと特殊で……」

トラブルの気配を感じたアヤちゃんが少しフォローに入る。
しかし透流は聞いていないような感じで俺の手を離してアヤちゃんに歩み寄った。
体格の良い男が無言で近づいてきたからか、アヤちゃんが少し怯えた顔で身構える。

「と、透流!待って!」

とっさに腕をつかんだ。

「お願いします。あいりと別れて貰えませんか。」

俺もアヤちゃんも、予想外の発言に目を丸くした。
よく考えたら、そう予想外でもないのか?だって、透流にしてみれば俺に二股を掛けられた状態のわけで。

「うーん、厳しいこと言うけどごめんなさいね。私が赤崎君のお願いを聞かなきゃいけない理由は?」

アヤちゃんが試すように言う。
緩いパーマのかかったボブヘアに垂れ目気味の顔立ちで柔らかそうに見えるけど、アヤちゃんはこんな感じの人だ。

「無い。けど、俺は好きな人は独り占めしたいから、頼まないという選択肢も無い。」

赤崎は堂々と言った。

「確かにそうだね。でも仮に私がそれを聞き入れても、国木君をどうにかしないと根本は解決しないと思う。」

「分かっている。けど、今日知り合ったばかりの俺が言った程度であいりが変わる人間なら、今こんな状況になっていない。」

透流の身も蓋もない言葉に、アヤちゃんはウンウン頷いた。
おかしいな。二人とも俺の恋人なのになんか優しくないかも。

「だからさしあたりは、もし俺以外にあいりと付き合う人間がいたら頼んで別れてもらう。そのうちあいりが俺を好きになったら、自分から断るようになるはずだ。」

透流が断言したので、アヤちゃんが感心したような顔をした。そして、観察者の顔になった。

「わかった。国木君、別れましょう。」

「うん、いーよー。」

「でも、これからもお友達ではいようね。」

「おっけー。」

俺は頭上に腕を伸ばして指先を合わせ、丸の形を作った。

「赤崎君、私にはある程度国木君について蓄積した知見があるから、何かあったら相談してね。」

アヤちゃんが透流に微笑んでも、透流はむすっとしていた。

「結構だ。愛する人のことは、自分で一から知っていく。くだらない元カノマウントはやめてくれ。」

「いいね!その意気だ!」

アヤちゃんが手をぱちぱち叩いた。
ヤマトが前に何で俺と付き合い続けるのか聞いたとき、アヤちゃんは「ジャングルで知らない部族に出会ったらその文化生活を理解したいと思うのが社会人類学でしょ?フィールドワークだよ。」と言っていた。俺はアヤちゃんにとってジャングルの部族なのだ。

そしてどうやら、アヤちゃんは新しいフィールドを見つけたらしい。

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