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元カノになったアヤちゃんと別れ、キャンパスの外に出た。
歩きだした透流はまた俺の手を握ったので、手は繋いだままだ。
「デートでしたい事の希望はあるか?」
透流が聞いてくるので、ちょっと考える。
「お腹空いたから、おやつ食べたい。スーパー行こ。」
提案したら透流は頷いて歩き出した。
デートの場所スーパーでいいんだ。女の子だと、もっとちゃんとしたとこがいいと怒られるのに。
楽でいいなーと思いながら、駅前のスーパーに入ってパンコーナーに進んだ。
「あいりはどんな食べ物が好きなんだ?」
「うーん。好きとかは特に。これにする。」
棚の商品から、大手メーカーのドーナツを手に取る。
「好きじゃ無いなら何故それなんだ?」
「1円あたりのカロリーが1番高いから?」
その方が安くて効率的だ。
「……腹減ったの、もう少し我慢できるか?」
透流が俺の手からドーナツを取り棚に戻す。
「いいよ。」
「じゃあ俺があいりのおやつ作るから、家に来てくれないか。」
「高い?俺、あんまり金ない。」
俺の生活費はアルバイト代と奨学金で賄われている。学費を差し引くと、割とカツカツだ。
「プレゼントする。付き合った記念に」
「いいの?ありがとー」
返事をすると、透流は手早くスマホで何かを調べ、パンケーキミックスやらイチゴやらチョコソースやら泡立て器やらボウルやらを買い込んだ。
そして今、俺は一人暮らしと思えない広さの家のリビングにいて、目の前にはふわふわのパンケーキがイチゴやチョコソースと一緒に鎮座している。
「美味しそう。料理上手なんだね。」
「そうか?調べたレシピ通りに加工しただけだ。」
あっさり言う透流を目の前にして、いい匂いに我慢できずキツネ色の円盤の端をフォークで切り取って口に運ぶ。
「甘くておいしい。」
「よかった。」
俺の感想に、透流は初めて薄く笑った。
その顔を初めて格好良いなと思う。
頭も良いみたいだし、何でもできるタイプなんだな。
「透流は、何で俺に告白したの?」
食べながら浮かんできた疑問を投げると、透流が更に嬉しそうにした。
「やっと、俺のこと聞いてくれたな。」
「ごめん。今まで何も思い浮かばなかった。」
「構わない。知りたくなった時に聞けば良いだけのことだから。今日初めてあいりを見たときに、俺の最愛の人だと思ったんだ。」
「見た目が気に入ったってこと?」
知らない人と付き合うと、そう言われることが良くある。そしてそういう人と付き合うと、俺の見た目は何も変わらないのにしばらくすると去っていく。
だから、見た目が好きはだいたいが嘘だと思う。
「存在を愛している。」
新しいパターンだけど、これは本当なのかな。嘘なのかな。
「存在。そっかぁ。」
「納得しないか。」
「分かんない。」
もぐもぐと生地を噛み締める。透流の言うことはよくわからないけど、パンケーキはおいしい。
「恋愛において見た目というのは、ただの機能だ。愛情表現も、性技も、機能に過ぎない。それに人は勝手に価値を見出す。俺は機能と価値を超えた愛を求めていた。そしてあいりを目にした時、それを見つけた。」
うわ、もっと何言ってるかわからない。ちょっとこだわりが強い人だ。
「うーん、自分に都合が良くない人が好きってこと?」
「違う。が、分からなくても別に構わない。俺は今、あいりといるだけで満足している。初めての感覚だ。」
俺もこういう人は初めてだな。つまり俺は何してもいいってこと?それって楽だな。
「あ、俺今、透流と付き合うのは楽そうでいいなって思った。機能を求めるってこういうこと?」
「そうか。あいりが俺といる事に前向きな理由を見つけてくれて嬉しい。」
「でも、こういうのが無くていいってのは正直よく分からないや。ごめん。」
「構わない。あいりに思い遣って貰えて嬉しい。」
嬉しいbotになりはじめた透流をちょっと真剣に見てみる。
すると、向こうも見つめ返してきた。
「あいり。生活の面倒は全て見るから、今日から俺と暮らさないか?これから先の人生を出来るだけ一緒に過ごしたい。」
わー。この人初対面の人間をもう自分の人生に組み込もうとしてる。スピード感。
「いいよー。」
特に断る理由もないから承諾した。
「ありがとう。嬉しい。不自由はさせないから要望があれば何でも言ってくれ。」
「じゃあイチゴ余ってたら貰っていい?」
イチゴ高いから、丸ごと何個も食べられる機会はそうない。
透は頷いて、俺の空になった皿に洗ったイチゴを出してくれた。
「あいり、嫌だったら断ってくれて良いけど、今日泊まっていかないか?必要なものは用意するから。」
「オッケー。」
付き合ってるってことは、泊まったらエッチするのかな。俺勃たないけど。ほかの彼女がいても別れない女の子も、俺のちんこがいくら握ってもフニャフニャだと分かると去っていく。
「じゃあ、少し一緒に過ごしたら必要な日用品と夕飯の材料を買いに行こうか。」
透流がそう言って俺が食べたパンケーキの食器を片づけた後、戻ってきて俺が座っていたソファに並びで腰掛けた。
体が触れるくらい密着してきたと思ったら、ぐっと肩を抱き寄せられた。
何だかいい匂いがする。女の子からする甘い匂いとは違うけど、胸がいっぱいになって詰まるような匂いだ。
横を見れば、透流の顔がすぐ近くに迫っていた。
「俺はあいりともっとスキンシップがしたいし、セックスもしたい。今日、してもいいか?」
「まあ、出来るならいいよ。」
「あいりは男に性欲が湧かないか?」
「うーん、かも?うまくできなかったらごめんね。」
だって女にだって湧かないのだ。男は試したこと無いけど、同じかもしれない。
「大丈夫だ。あいりに触れられるだけで嬉しい。」
そう言って透流が俺にキスする直前、俺の鞄から着信音が鳴り響いた。
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