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マーゴットの努め

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私は本当に子供を産めないんだ。王様が言ったことだ。間違いなんてない。だけど子供を産めるという0の可能性に賭けたかった。努力しなかったのが良くなかったの?もっと自分から話しかければよかった?誕生日の贈り物だけでなく普段から贈り物をすべきだった?今更考えたってもう遅い。王族としての努めを果たせない私は死人同然だ。父上なら私のことを子供が産めなくても一生城にいられるだろうし母上だって許してくれるはずだ。だけど、こう言われるだろう。この国の王女は子供を産めないんだ。王族失格だな。私が罵られるのはいい。だけど父上と母上が罵られるのは絶対に嫌!どうしたらいいの?私はどうしたら王族としての努めを果たせるの?誰か…教えて…私はそのまま眠りの世界へ落ちていった。 
朝。私は目覚めると自分のベッドの中にいた。昨日は馬車で寝てしまったので誰かが運んでくれたのだろう。「サラナ?起きたわ。」「マーゴット様。おはようございます。」「おはよう。サラナ。」「起きてすぐで申しわけないのですが王様から至急王宮に参るようにと伝達が。」「そうなの。分かったわ。」
王宮についた私は王の執務室に通された。「王様。」「よいよい。そんなにかしこまらなくても。それより椅子に掛けなさい。」私は椅子に腰掛けた。「此度のこと大変申しわけなかった。まさかモリソン家の嫡男があんなにアホだとは…」「国王様。なにゆえ私はここによびだされたのでしょうか?」「頼む。ハラヤミナとの戦争にはしないでくれ。厚かましいのは 重々承知だ。ただ我が国はハラヤミナと戦争をしても絶対に勝てない。滅びる。大変自分勝手だ。分かってる。頼む。戦争はやめてくれ。このとおりだ。」国王は私に頭を下げた。まさか土下座されるなんて…「王様頭をあげてください。私は和平のためにここに来たのです。戦争にはさせません。」「しかしそなたの父上が今回のことを聞いてどうするか…」「怒り狂うでしょうね。父上は私に甘いので。」「そうだな。あいつはそういうやつだ。」父上と国王が親友だと言うのはホントなんだ。「父上にはもう密使が既に報告しています。手紙が来ましたが父上はモリソン家の取り潰しと死刑、ヤミー子爵家の取り潰しと死刑をすれば友好関係は考えるそうです。」「分かった。検討する。」
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