【完結】悪役令嬢に転生しちゃったけど、婚約者様とヒロイン(仮)に溺愛されちゃいそうです！？

作戦会議

次の日になると、次期当主の件で急用があるからとキースは突然帰っていった。

私たちは先に計画を実行しておいて良かったと思ったのとともに、次の作戦の準備へと入ったのだった。



「惚れ薬なんてどうやって手に入れたの？」私は首を傾げながら尋ねた。

「城に出入りしている商人からこっそり貰ったんだ。」そう言いながらガサゴソと机の引き出しからセインは透明な小瓶を取り出した。中にはこれまた無色透明の液体がたぷんと入っていた。

「これをワインか何かに入れて飲ますんだ。そうすると相手はそれを飲んだ後初めてみた相手に惚れる。ただし、その初めてみた相手にもともと多少なりとも好意を抱いていることが条件。」そこまでセインは説明するとちょっと黙った。

「まぁ、流れはわかるけれどそんなに上手くいくのかなぁ。」私はちょっと半信半疑で言った。


「だったら、」セインは言いかけて意地悪そうな顔をして私を見る。はちみつ色の髪がきらきらと光っていて、今日の彼は初めて会った日のように中性的な魅力を醸し出していた。「だったらも何も、試さないわよ。」私は次に彼が言葉を紡ぐ前に言う。


「まぁ、ルーナ嬢は俺のこと好きだもんな。」彼はそう言うと身をかがめてチュッと私のおでこにキスをする。

私はその隙に彼の手から小瓶を抜き取ると、月明りにかざして中身を眺めながら、「いつこれを飲ませるの？」と聞いた。


「まぁ今度学校に行った時に、キースに弁当作っていくからその時にお茶に混ぜようかなって。」彼は私の手からそっと小瓶を取りながらそう言ったのだった。


「私前から気になってたこと聞いてもいい? 貴方たちが婚約して呪いを解いた後、キースってセインにずっと惚れたままよね。その後はどうするの。」と私は今までずっと心の中に引っかかっていた疑問を投げかける。

「それさ、考えたんだけどいっそのことキースの案を応用しようかなって。あいつは君の記憶に魔法で架空の人物を付け加えてエドワードとして君の傍にいただろ？だから呪いを解いて和解した後は、エドワードになってもらうのさ。」彼は私の肩をそっと抱き寄せながら説明した。

「つまりキースの記憶としてエドワードの部分だけを強調するように暗示をかけて、執事として城で働いてもらう。ちょっとしたはずみで記憶が元に戻るとも限らないから手元で見張っておくのさ。」

彼はそう言い終えると、もうあんまり時間もないからな、そう呟いたのだった。