半分異世界

月野槐樹

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第5章 瑛太2

第78話 お買い物

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ライアンさんが以前宿泊した事があるという宿を訪ねた。宿泊する部屋を確保して、食器類などの荷物を預けてから狩猟ギルドに向かう。

狩猟ギルドでの登録には一人銀貨一枚かかるらしい。全員分だとそこそこ金額がかかるけど、持っていた魔獣の素材を売った金額から引いてもらったので問題なさそうだった。

登録名は自分で書いた。俺は「エー(A)」
皆アルファベット名で登録をした。もちろん綴りはこちらの文字での登録だ。

ランクというものがあるらしいのだけど、通常は一つの街で実績を上げて行ってランクを上げるのだそうだ。他の街に移動する場合は
実績証明書というものをその街のギルドで発行してもらわないと、次の街に実績が引き継がれないといわれた。

俺達は最低ランクの10級。でも身分証を持っているとちょっと安心する。
もちこんだ素材分が一部実績ポイントになったようだ。とは言っても全員に分配されたのでランクが上がる程ではなかったらしい。

魔獣の素材の買い取りをしてもらって少し軍資金が増えたので早速買い物。
日が暮れる頃にはしまる店もあると聞いてちょっと緊張感が漂う。
翌朝も買い物できるだろうけど、ゆっくりできるほどではないのだ。

真希さんと藍ちゃんが狩猟ギルドの職員の女性に店の情報を訊きにいってくれた。
市場は閉まっている時間だけど、商店が並んでいる通りがあるというのでそちらに皆で行く事にした。

「あ、ドライフルーツ売ってるよ。どうする?」
「市場の方が安いかもよ。明日の朝もう一回チェックしよ。」

保存食も買い物リストに入っているが、市場を見てから決めたいようだ。
ゆっくりと店を回っている程の余裕はないけど、店の前を通ったときに、何を売っているか、値段がどれくらいかは可能な限りチェックする。
分散して買い物をしてもいいのかもしれないけど、そもそも俺達は街にもなれていないので、ライアンさんにも居てもらってぞろぞろ全員でついていった、

しかし10人連れ立って歩くと目立つし、すれ違う人達にも邪魔になりそうだった。
数人で買い物をして、残りは店をチェックして回る事にした。逸れた場合の集合場所も決めた。

俺は江角さんと、ワイちゃん、尾市さん、椎名さんと一緒にチェック組に入った。
ワイちゃんは購入組と迷っていたみたいだったけど、色々見て回りたい興味が勝ったみたいだ。藍ちゃんは買い物がしたいんだそうだ。

慣れていない街だし、女性達だけや一人でうろつくのはダメだと言われた。主に中学生組に対してだけど。
気になる店を見つけても一人で見に行ったりするなとのこと。
大丈夫って言いたいところだけど、俺達全員召還という誘拐にあってるからね。まあ、あれは避けようがなかったけどさ。

店にはショーウィンドーのようなものがない。というかガラスがないんだな。有るかもしれないけど、イメージしているような透明のでかい窓とかは見当たらない。
村は家屋とかも木で出来ていて、雰囲気的にそう言う物って感じがしてたけど、街は建物が石造りで大きいせいか、改めてガラス窓がない事に気付いた。
キョロキョロ見回していると尾市さんにトンと背中を叩かれた。

「お上りさんみたいだぞ。」
「うわ。逆お上りさん。」
「逆ってなんだ。」
「いや。『都会ってすげー』とかじゃなくて、ガラス窓ないのかーと思ってみてたから。」

俺がそういうと椎名さんが笑った。

「異世界お上りさんだな。」

軒先に商品を並べている店もあれば、店の中をランプで照らしている店もある。
それでも店の中は暗いな。
台所用品じゃなさそうだけど、木工の品を置いている所にまな板にできそうな板があった。
値札がついていないから値段がわからない、と呟いたら、ワイちゃんが訊きに店に入って行った。慌てて追いかける。
強引に売りつけられたらどうするんだよ。
そう思ったけど、元々チェックしに来ただけだったのが功を奏したのか、店の人が最初に銀貨3枚といっていたのが、
聞いてすぐに店でようとしたら銀貨2枚、銀貨1枚と下がって来た。
買わないのに値切っているみたいになってきてる。

「どうする?」
「買い物組呼んでくるか。」

尾市さんが呼びに行こうとしたら、江角さんに椎名さんも行けといわれて二人で買い物組を呼びにいった。
そうか。一人行動は避けるんだったよな。
そうしているうちに、お店の人から半分くらい小さい板も付けるといわれた。
買い物組もそんなに離れた場所に居なかったので,すぐに合流して、もう一度値段を確認して、購入決定した。
結果的に値切れたみたいなのはいいけど、店の人がみんな押しが強いと気軽に店に入りにくいなぁ。
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