231 / 305
第23章 瑛太9
第230話 自転車
しおりを挟む
「エイター。」
バタバタしていて放置してしまっていたケイン君は、一人で積み木遊びをしていた。ちなみに積み木は尾市さん作だ。
木のブロックを高く積み上げてニコニコしているケイン君に微笑み返す。
「ケイン君、いい子にしてたね。」
「ん!」
満足そうな笑顔を見てワイちゃんが「かわいー」といって、ケイン君に寄り添った。ケイン君はニコニコしながら、両手を俺に差し出した。
「ケイもスマホー」
「うん?またスマホ使ってみたいの?」
俺が、自分の携帯をケイン君に差し出すと、ケイン君が両手でそれを受け取った。
「よいしょっと。」
ケイン君を抱え上げて膝の上に座らせた。俺の膝の上に乗りながらケイン君がスマホを弄った。
「えへへ。」
ケイン君は写真アプリを開いたり、MOINEアプリを開いたり、ぱっぱと変わる画面を楽しんでいるようだった。
最初のうちは、写真アプリをうっかり消しちゃったりしたら大変だと、ケイン君の手元を細かくチェックしていたのだが、
上手に操作しているので、好きに弄らせておく事にしている。機嫌良く遊んでいるしね。
でも、今日はいつもより気分が高揚していたので、ケイン君の頭をポンポンと撫でて、ケイン君の肩越しから話しかけた。
「ケイン君~。俺達、今日は凄く良い事があったんだよ。」
「よいこと~?」
ケイン君は、画面を操作している手を少しだけ止めて顔を上げた。
「うん。お兄ちゃん達の家族とお話できたんだ。」
「かぞく~?」
ケインが顔を俺の方に向けた。
「エイター、うれし?」
「うん。嬉しい。凄く嬉しいよ。」
「よかったね!」
「ありがとう。」
「えへへ。」
ケイン君がニコニコする。無邪気で可愛いよな。
ほのぼのしていたらノックの音がした。返事をすると江角さん達が部屋に入って来た。何やら大きい麻袋を背負っている。
「おう。ちょっと相談に来たんだが。」
俺と藍ちゃん、ワイちゃんは互いの顔を見合わせた。江角さんが真剣そうな様子なので、もしかして江角さん達もMOINEで家族と繋がったりしたのかもと思ったのだ。
江角さんは麻袋を開けた。開けてすぐのと頃に畳んで入れられていた厚手の布を取り出した。それを柄舟さんが受け取り床に敷いた。
そうして、麻袋から何だか見た事ああるようなフォルムの物体を取り出して、布の上に逆さに置いた。
そう、「逆さ」ってわかるんだ。
タイヤが二個ついている。逆さまになっていて、ハンドルが下側になるように置かれた。ペダルが少し揺れた。
「自転車?」
「正解!」
江角さん達が出して来たその物体は、自転車だった。
前々から自転車欲しい、作りたいって言っていたんだよな。
「なんとか、見よう見真似っていうか、こんな感じかなって思ってチェーンまでは作ったんだ。後はブレーキかなと思うんだが仕組みがいまいち判らない。」
「え?相談ってまさか自転車にブレーキの構造ですか?何で俺に?」
「瑛太っていうかサスケイ様の資料にないかと思ってさ。圭君、自転車について何か書いてたりしない?」
「あ~‥‥。」
江角さん達は時々、圭の事を「サスケイ様」と呼ぶ。
植物の種やら、物の作り方などの資料だとか、ビックリするくらい大量に準備をしていた事について敬意を表してのことらしい。
開拓村の人達にも「サスケイ様の恩恵」なんて言い出していて、妙にくすぐったいような感じだ。
バタバタしていて放置してしまっていたケイン君は、一人で積み木遊びをしていた。ちなみに積み木は尾市さん作だ。
木のブロックを高く積み上げてニコニコしているケイン君に微笑み返す。
「ケイン君、いい子にしてたね。」
「ん!」
満足そうな笑顔を見てワイちゃんが「かわいー」といって、ケイン君に寄り添った。ケイン君はニコニコしながら、両手を俺に差し出した。
「ケイもスマホー」
「うん?またスマホ使ってみたいの?」
俺が、自分の携帯をケイン君に差し出すと、ケイン君が両手でそれを受け取った。
「よいしょっと。」
ケイン君を抱え上げて膝の上に座らせた。俺の膝の上に乗りながらケイン君がスマホを弄った。
「えへへ。」
ケイン君は写真アプリを開いたり、MOINEアプリを開いたり、ぱっぱと変わる画面を楽しんでいるようだった。
最初のうちは、写真アプリをうっかり消しちゃったりしたら大変だと、ケイン君の手元を細かくチェックしていたのだが、
上手に操作しているので、好きに弄らせておく事にしている。機嫌良く遊んでいるしね。
でも、今日はいつもより気分が高揚していたので、ケイン君の頭をポンポンと撫でて、ケイン君の肩越しから話しかけた。
「ケイン君~。俺達、今日は凄く良い事があったんだよ。」
「よいこと~?」
ケイン君は、画面を操作している手を少しだけ止めて顔を上げた。
「うん。お兄ちゃん達の家族とお話できたんだ。」
「かぞく~?」
ケインが顔を俺の方に向けた。
「エイター、うれし?」
「うん。嬉しい。凄く嬉しいよ。」
「よかったね!」
「ありがとう。」
「えへへ。」
ケイン君がニコニコする。無邪気で可愛いよな。
ほのぼのしていたらノックの音がした。返事をすると江角さん達が部屋に入って来た。何やら大きい麻袋を背負っている。
「おう。ちょっと相談に来たんだが。」
俺と藍ちゃん、ワイちゃんは互いの顔を見合わせた。江角さんが真剣そうな様子なので、もしかして江角さん達もMOINEで家族と繋がったりしたのかもと思ったのだ。
江角さんは麻袋を開けた。開けてすぐのと頃に畳んで入れられていた厚手の布を取り出した。それを柄舟さんが受け取り床に敷いた。
そうして、麻袋から何だか見た事ああるようなフォルムの物体を取り出して、布の上に逆さに置いた。
そう、「逆さ」ってわかるんだ。
タイヤが二個ついている。逆さまになっていて、ハンドルが下側になるように置かれた。ペダルが少し揺れた。
「自転車?」
「正解!」
江角さん達が出して来たその物体は、自転車だった。
前々から自転車欲しい、作りたいって言っていたんだよな。
「なんとか、見よう見真似っていうか、こんな感じかなって思ってチェーンまでは作ったんだ。後はブレーキかなと思うんだが仕組みがいまいち判らない。」
「え?相談ってまさか自転車にブレーキの構造ですか?何で俺に?」
「瑛太っていうかサスケイ様の資料にないかと思ってさ。圭君、自転車について何か書いてたりしない?」
「あ~‥‥。」
江角さん達は時々、圭の事を「サスケイ様」と呼ぶ。
植物の種やら、物の作り方などの資料だとか、ビックリするくらい大量に準備をしていた事について敬意を表してのことらしい。
開拓村の人達にも「サスケイ様の恩恵」なんて言い出していて、妙にくすぐったいような感じだ。
21
あなたにおすすめの小説
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
偽聖女として私を処刑したこの世界を救おうと思うはずがなくて
奏千歌
恋愛
【とある大陸の話①:月と星の大陸】
※ヒロインがアンハッピーエンドです。
痛めつけられた足がもつれて、前には進まない。
爪を剥がされた足に、力など入るはずもなく、その足取りは重い。
執行官は、苛立たしげに私の首に繋がれた縄を引いた。
だから前のめりに倒れても、後ろ手に拘束されているから、手で庇うこともできずに、処刑台の床板に顔を打ち付けるだけだ。
ドッと、群衆が笑い声を上げ、それが地鳴りのように響いていた。
広場を埋め尽くす、人。
ギラギラとした視線をこちらに向けて、惨たらしく殺される私を待ち望んでいる。
この中には、誰も、私の死を嘆く者はいない。
そして、高みの見物を決め込むかのような、貴族達。
わずかに視線を上に向けると、城のテラスから私を見下ろす王太子。
国王夫妻もいるけど、王太子の隣には、王太子妃となったあの人はいない。
今日は、二人の婚姻の日だったはず。
婚姻の禍を祓う為に、私の処刑が今日になったと聞かされた。
王太子と彼女の最も幸せな日が、私が死ぬ日であり、この大陸に破滅が決定づけられる日だ。
『ごめんなさい』
歓声をあげたはずの群衆の声が掻き消え、誰かの声が聞こえた気がした。
無機質で無感情な斧が無慈悲に振り下ろされ、私の首が落とされた時、大きく地面が揺れた。
生まれ変わったら飛べない鳥でした。~ドラゴンのはずなのに~
イチイ アキラ
ファンタジー
生まれ変わったら飛べない鳥――ペンギンでした。
ドラゴンとして生まれ変わったらしいのにどうみてもペンギンな、ドラゴン名ジュヌヴィエーヴ。
兄姉たちが巣立っても、自分はまだ巣に残っていた。
(だって飛べないから)
そんなある日、気がつけば巣の外にいた。
…人間に攫われました(?)
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる