半分異世界

月野槐樹

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第30章 詩英8

第278話 臨時会合の予測

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卵白に砂糖を入れて、泡立て器で泡立てる。ちょっと固めの角が出来るくらいまで頑張って泡立てる。
隣で、じっと彗汰がワクワクした目で見上げている。
もうちょっと待ってなよ。

牛乳、卵黄、砂糖を混ぜ合わせて、サラダ油も加える。小麦粉に多めにベーキングパウダーを入れたものを篩って混ぜ合わせてから、卵白硬く泡立てたメレンゲと混ぜ合わせた。

「フワフワ!」

ボウルの中で混ぜ合わせている生地をすくって、フライパンの上に落とすと、彗汰が目を輝かせた。

「彗汰、お皿もってきて!」
「ん!」

テーブルの上に出しておいた皿を彗汰が両手で持って、急いで戻って来た。

「彗汰、走っちゃだめ。」
「ん!」

ニコニコしながら皿を差し出す彗汰。わかってるのかなぁ。一応、一度に運ぶ皿の数は一枚にするように言ってあってそれは守ってくれている。
でも、フライパンの上で出来上がってくるパンケーキがどうしても気になるらしい。
メレンゲをたっぷり入れているので、ふっくらした分厚いパンケーキが出来上がった。焼き上がったパンケーキを皿の上に乗せて、予め切り分けておいたバターをパンケーキの上に乗せた。

「はい。できあがり。」

焼き上がったパンケーキが乗った皿を彗汰に持たせようとしたら、彗汰は既に次の皿を握りしめて待機していた。

「お、ありがとう。」

彗汰が持っていた皿を受け取ってから、出来上がったパンケーキが乗った皿をゆっくりと彗汰に差し出した。
彗汰は、パンケーキを見て口元に笑みを浮かべてから俺を見上げた。

「ワイチャの?」
「うーん‥‥。すぐ焼き上がるからどっちでもよいんだけど‥‥。そうだね。ワイのところに持っていってくれる?」
「ん!」

彗汰は頷くと、空の皿を運んでいたときとは打って変わって、そろそろと慎重に慎重にパンケーキの乗った皿を運んでいった。

「おお!ありがとう!彗汰君!旨そうなパンケーキだね!」
「ん!」

居間から、ワイと彗汰の声が聞こえてきた。次に焼き上がったパンケーキを皿に盛った。買ったばかりのセラミック加工のフライパンを試してみたくて使ってみたけど、
ちょっと小さめだから、パンケーキを焼くには一度に一個ずつしか焼けないのはちょっと失敗だったかなと思う。
まあ、二個並べると、くっついちゃうっていうだけなんだけど。

二つ目に焼き上がったパンケーキを彗汰に持たせてあげたけど、結局、俺の分が焼き上がるまで食べるのを待っていてくれたらしい。
紅茶のおかわりが入ったポットと、三皿目のパンケーキを持って来たら、ワイと彗汰が、食べずに待機していた。

「先に食べていてよかったのに。」
「そんなに待たなかったよ。じゃあ、食べよう!ジェイ、腕上げたね。旨そう!」

ワイはそう言うと、メープルシロップのボトルを、彗汰に見せて、かけるかどうか確認してから彗汰のパンケーキにシロップをかけてくれた。

大学を卒業して就職してからは、ワイとは週末に態々時間を作らないと会う機会はない。しかし、瑛太以外の行方不明者の人達の一部もMOINEで家族と連絡が取れたという件があって、
二週連続で週末に俺の家まで来てくれた。

「明日、緊急の会合があるんだよ。仁美さんも、今日のうちに用事を済ませたいんじゃないかな。」

彗汰を急遽預かったという話をしたら、ワイが言った。
どうやらMOINEの連絡の件で、行方不明者家族の会の会合が日曜に臨時で開かれる事になったらしい。
今のところ、耳にしているのは、瑛太と一緒のコミュニティで生活をしている尾市君と椎名君という子達と連絡が取れた事を家族が他の人に知らせたことが発端となって
行方不明者家族の会の中が色々ざわついているらしいということだった。
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