騎士志望のご令息は暗躍がお得意

月野槐樹

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第3章

第281話 口座

「あ!本当だ小金貨が入ってる!なんでわかったんですか!?」
「こっちも報酬は貰っているから、大体予想はつくよ。‥‥でも金額は大きな声では言わない方が良いと思うよ。」

ローレ嬢の声がちょっと大きかったので、俺は少し抑えめの声で言った。
今更だけど消音魔法を発動させた。
ローレ嬢は、「あ!」っと言って、周囲を見回した。

周囲には結構冒険者がうろうろしている。

「どうしよう!お金持っている事聞かれちゃったかも!」
「まだ、小金貨って口にしただけで、何枚持ってると言った訳じゃないから大丈夫だよ。
話は戻すけど、ジャラジャラしているのは端数の銀貨とか銅貨でしょ。
まあ、報酬をどうするかは自由だから、無理に持ち歩けとか言わないけど、送金して所持金をギリギリの金額にしてしまうとまた何か有った時に困るんじゃないかと思っただけだよ。」

「‥‥冒険者活動の報酬は入学後の費用に当てたいのに、持ち歩いているとと使っちゃいそうなのも有って‥‥。」
ローレ嬢がちょっと自信なげさに言うと、ロアン君が小さい溜め息をついた。

「ローレ。やっぱり、ある程度は手元に残して置いた方が良いよ。今回は緊急でギルドに寝泊まりさせて貰えたけど
緊急じゃなかったら野宿だっただろ。最低限、何日か分の宿泊費と食費は用意しておかないと。」
「‥‥でも、それだと、費用が溜まらないよ?」
「護衛依頼が達成されれば報酬が出るんだから、問題ないだろ。今日の報酬分はは元々送りすぎた分の補填に当てようよ。」
「‥‥うん‥‥。」

ロアン君とローレ嬢の話が落ち着いたところで、ちょっと気になっていた事を訊いてみることにした。

「そもそも、実家に送金して溜めておいてもらうより、口座に入れた方が良いんじゃない?」
「口座?」
「商業ギルドの口座は持っていないの?」

そう訊いて見るとロアン君達が首を横に振った。ハイハイ!とユリウスが手を上げてきた。

「拙者も持っていないでござる!兄上は口座を持っているでござるが!」
マーギットさんとデリックさんは商業ギルドの口座を持っているようだけど、トマソンとユリウスは口座を持っていないらしい。
実家からの送金が有った時は兄の口座に送ってもらうという方法をとっていたそうだ。

「ユリウスとトマソンは、それで不便じゃないなら良いけど、ロアン君達は口座を持っていた方が良いんじゃない?
集めた資金は口座に入れておけば、必要時に引き出せるし。
まあ、すぐに引き出せない場合もあるから、緊急時の費用は持っていた方が良いのは変わらないけど。」

「保証金が高いから‥。それに紹介が必要って聞いたし‥‥。」
「小金貨1枚なら、利便性を考えると悪くないと思うけど。」
「え?金貨1枚じゃないんですか?」

ロアン君がびっくり顔で聞いて来たので、俺は同意を求めるようにマーギットさんの方を見た。

「口座開設時、小金貨一枚じゃなかったですか?」
俺が聞くと、マーギットさんは「うむ」と頷いた。

「口座自体の保証金は確かに小金貨1枚である。ただし、商業ギルドの登録時に金貨1枚かかったである。」
「え?」

なぜ?と思って、マーギットさんの商業ギルドの登録証を見せてもらうと、商人用のギルド登録証だった。

「口座開設だけだったら、口座会員の登録で良いはずなんですけど‥‥。」
口座会員の登録費用は口座開設時に銀貨1枚でも入金をしておけば無料のはずだ。保証金は解約時に返ってくる。

聞いて見るとデリックさんも商人用の登録証を作っていた。
何でそんな事にと思ったら、どうやら領主の子息が領主が書いた紹介状を持って領地内の商業ギルドで登録をしようとすると、将来の事を考えて商人登録を勧められるらしい。

まあ、次期領主だからな。
領主になると、商取引をするから、商人登録をしていた方が良いのだろう。
でも、経済的に苦しい時に無理に登録しないでも‥‥。登録は領主になってからでも良いと思うけどね。

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