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「モウチョット!」
クーの指示を受け町を目前にしていた。
「おい! このまま町に入るつもりじゃないだろうな?」
レイが不安な声を出した。
「アノナカ」
クーは町を指差した。
「何ぃ。全然大丈夫じゃねぇじゃねぇかよ。中には人間がいるんだぞ!?」
「ダイジョウブ!」
「何処がだよ! あぁもうチビの言うことなんて信じるんじゃなかった。ナオキ、今からでも他へ逃げようぜ」
「いや、もう他に道は無い。クーを信じよう」
「ソウ! シンジテ」
「兄さま…………」
「…………あぁもう。わかったよ! チビの言う通りにするよ! だけどナオキ、もし人間に出くわしちまったら俺は容赦しないぞ!」
「わかった。それでいい」
町の塀を飛び越えナオキ達は町に入った。
「おい! アイツ等塀を飛び越えて町に入ったぞ」
「チクショウ! スグに迂回して町に入るんだ! 急げ」
後ろから兵士たちの声が聞こえる。流石に塀を飛び越える者はいないようだ。
深夜の町は驚くほど静かだった。まるで人一人いないような…………
「あのお偉いさんが指示した通り、町の人間は皆避難しているようだな。人の気配が無ぇ」
成程、カーマインが現れて兵士たちが町人を避難させたのだ。これなら見つかる心配も無い。
「それで、クー、どっちに行けばいいんだ?」
「アッチ!」
ナオキに抱き抱えられながらクーは町の隅を指差した。昼間にナオキが来た時にはそっちは行っていない。何があるのだろう。
言われるがままナオキ達は走った。ソコには大きな木が一本立っている。それ以外は塀があるだけの見通しの良い場所だ。
「こんなところに何が――」
レイがそう言いかけた時、木の物陰から動く影が見えた。反射的にナオキ達は身構える。
兵士か!? 町人か!?
クーを抱えながら、もう片方の腕で剣を握ったナオキが思いを巡らせた。その時――
「ガー!」
ナオキの腕の中にいるクーが陰に向って声を掛けた。
クーの声に反応した影がこちらへ向かって走ってくる。月明かりに照らされ、影の正体がクーの弟のガーであることがハッキリわかった。
「オネーチャン!」
ガーが嬉しそうに走ってくる。そんなガーが何かに躓き勢いよく転がった。
「ガー!」
バタバタと身体を動かし、ナオキの腕から降りようとするクーをナオキは地面に降ろした。すると、クーは急いでガーの元へ走って行った。ナオキ達もクーを追いかけ、ガーの元へ行った。
「ガー、ダイジョウブ?」
ガーを抱えるように立たせながらクーが言った。やはりお姉ちゃんなんだとナオキは感心する。
「ウー…………イタイ…………」
ガーの足を見ると両膝を擦りむいていた。
「あ~あ、そんなに急ぐから。まったくガキは注意力が足りねぇ。ベル、このガキを治してくれ」
「ハイ。兄さま」
レイに促され、ベルはガーの足に屈み、回復魔法を掛け始める。すると見る見るうちにガーの膝が治っていく。
「これで大丈夫。もう転ばないように注意しなさい」
ガーを治したベルはガーの頭を撫でて言った。この兄妹はゴブリン相手でも分け隔てなく接している。そんな光景がナオキはとても嬉しかった。
「アリガトウ」
傷を癒されたガーはベルに抱き付いた。クーも同様にベルに抱き付く。
「オネーチャン。アリガトウ」
「いいんですよ」
笑みを浮かべながらベルはゴブリンの子供たちを抱きしめた。
「!? オネーチャン! テガナイ!?」
ここで初めてガーはクーの片手が無いことに気付いた。
「ダイジョウブ。モウイタクナイヨ」
「デモ、デモ…………」
「ガー、ナカナイデ。ダイジョウブダカラ」
ガーが悲しまないようにクーは明るく努めた。そんなやり取りをさせてしまったことにナオキは罪悪感を感じえずにはいられない。
「…………さぁ。ガキも回収したし、どうやって逃げる。早くしないと兵士たちに見つかっちまう」
重い空気を壊すようにレイが言った。
レイの言う通りだ。兵士に見つかる前に投げなくてはいけない。
「ソレナラダイジョウブ。ガー」
クーがガーの背中をポンッと叩きながらガーを促す。ガーは流れていた涙を拭った
「…………ウン。コッチ」
ガーがベルの手を引きながら大木の方へ向かった。もうベルに懐いたようだ。
「オニイチャンタチモ、ハヤク」
クーがナオキの手を引き、ガー達の方へ走る。
「オイオイ。何があるんだよ」
最後尾のレイが疑いの声を挙げながら付いてくる。
「コレ!」
「これって…………」
「あぁ…………」
大木の後ろへ案内されたナオキ達が目にしたものは3匹の馬だった。3匹は大木に紐で繋がれて大人しく座っていた。
「おい。これ、どうしたんだよ」
レイが疑問を口にした。
「ソッチニイタ」
クーが町中を指差す。
「そっちって…………盗んできたのか」
やっぱり
レイは頭を掻きながらナオキを見た。
「……まぁこんな状況だ。ナオキ、盗みは駄目なんて言わないよな?」
「あぁ。そんなこと言わないよ。クー。ガー。オレたちのために用意してくれたんだろ? ありがとう」
クーとガーの頭を撫でながらナオキは言った。クーもガーも嬉しそうにしている。
「ヨシ! そうと決まればサッサとこっから抜け出そうぜ」
馬を繋いでいた紐を解き、レイは一匹の馬に跨ると、ベルに一本の紐を渡した。ベルもレイから受け取った紐を持ち、馬に跨った。
「ほら、ナオキ。馬には乗れるだろ?」
そう言うと今度は最後の馬の紐をナオキに持ってきた。
「あぁ。乗れるよ」
「OK! チビたちは俺とベルの後ろに乗りな」
レイに促され、クーとガーはベルの後ろに乗った。
「…………ってオイ! 二人ともベルの方に乗るんじゃねぇよ。言った俺が寂しくなるだろうが」
「デモ、オネーチャンガイイ」
「良いも悪いもねぇよ。チビ、お前お姉ちゃんなんだからお前が俺の方に乗れ!」
「エー! ヤダ! コッチガイイ!!」
「いいから来いよ。早くしないと兵士たちが来ちまうだろ」
「ヤーダー」
一向にクーは譲る気が無いらしい
「ベル。お前からも言ってやってくれよ」
頭を掻き、困ったレイはベルに助けを求めた。
「クーちゃん。兄さまの後ろは嫌かもしれないけど少しの間我慢してもらえる? 途中で私の後ろと交換するから」
落ち着いた声でベルはクーに話した。まるで聞き分けの無い子供を諭すようだ。
「ウ~…………ゼッタイダヨ……」
「うん。絶対。約束します」
ベルの説得で渋々馬から降りたクーはナオキの方へ歩いて行った。
「おいコラ! そろそろ本気で怒るぞ」
「ダッテ、オニイチャンガイイ!」
「いい加減にしろ。ナオキより俺のほうが馬の扱いに慣れてる。ほら、早くしろ!」
レイに強く言われ仕方なくクーはレイの方へ歩いた。よっぽどレイと一緒が嫌なのか。それともベルやナオキのことが気に入ったのか。
「じゃあ準備はいいな! 行くぞ」
パキッ
レイの合図で出発しようとしたその時、大木の陰から木の枝を踏む音がした。
クーの指示を受け町を目前にしていた。
「おい! このまま町に入るつもりじゃないだろうな?」
レイが不安な声を出した。
「アノナカ」
クーは町を指差した。
「何ぃ。全然大丈夫じゃねぇじゃねぇかよ。中には人間がいるんだぞ!?」
「ダイジョウブ!」
「何処がだよ! あぁもうチビの言うことなんて信じるんじゃなかった。ナオキ、今からでも他へ逃げようぜ」
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「兄さま…………」
「…………あぁもう。わかったよ! チビの言う通りにするよ! だけどナオキ、もし人間に出くわしちまったら俺は容赦しないぞ!」
「わかった。それでいい」
町の塀を飛び越えナオキ達は町に入った。
「おい! アイツ等塀を飛び越えて町に入ったぞ」
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後ろから兵士たちの声が聞こえる。流石に塀を飛び越える者はいないようだ。
深夜の町は驚くほど静かだった。まるで人一人いないような…………
「あのお偉いさんが指示した通り、町の人間は皆避難しているようだな。人の気配が無ぇ」
成程、カーマインが現れて兵士たちが町人を避難させたのだ。これなら見つかる心配も無い。
「それで、クー、どっちに行けばいいんだ?」
「アッチ!」
ナオキに抱き抱えられながらクーは町の隅を指差した。昼間にナオキが来た時にはそっちは行っていない。何があるのだろう。
言われるがままナオキ達は走った。ソコには大きな木が一本立っている。それ以外は塀があるだけの見通しの良い場所だ。
「こんなところに何が――」
レイがそう言いかけた時、木の物陰から動く影が見えた。反射的にナオキ達は身構える。
兵士か!? 町人か!?
クーを抱えながら、もう片方の腕で剣を握ったナオキが思いを巡らせた。その時――
「ガー!」
ナオキの腕の中にいるクーが陰に向って声を掛けた。
クーの声に反応した影がこちらへ向かって走ってくる。月明かりに照らされ、影の正体がクーの弟のガーであることがハッキリわかった。
「オネーチャン!」
ガーが嬉しそうに走ってくる。そんなガーが何かに躓き勢いよく転がった。
「ガー!」
バタバタと身体を動かし、ナオキの腕から降りようとするクーをナオキは地面に降ろした。すると、クーは急いでガーの元へ走って行った。ナオキ達もクーを追いかけ、ガーの元へ行った。
「ガー、ダイジョウブ?」
ガーを抱えるように立たせながらクーが言った。やはりお姉ちゃんなんだとナオキは感心する。
「ウー…………イタイ…………」
ガーの足を見ると両膝を擦りむいていた。
「あ~あ、そんなに急ぐから。まったくガキは注意力が足りねぇ。ベル、このガキを治してくれ」
「ハイ。兄さま」
レイに促され、ベルはガーの足に屈み、回復魔法を掛け始める。すると見る見るうちにガーの膝が治っていく。
「これで大丈夫。もう転ばないように注意しなさい」
ガーを治したベルはガーの頭を撫でて言った。この兄妹はゴブリン相手でも分け隔てなく接している。そんな光景がナオキはとても嬉しかった。
「アリガトウ」
傷を癒されたガーはベルに抱き付いた。クーも同様にベルに抱き付く。
「オネーチャン。アリガトウ」
「いいんですよ」
笑みを浮かべながらベルはゴブリンの子供たちを抱きしめた。
「!? オネーチャン! テガナイ!?」
ここで初めてガーはクーの片手が無いことに気付いた。
「ダイジョウブ。モウイタクナイヨ」
「デモ、デモ…………」
「ガー、ナカナイデ。ダイジョウブダカラ」
ガーが悲しまないようにクーは明るく努めた。そんなやり取りをさせてしまったことにナオキは罪悪感を感じえずにはいられない。
「…………さぁ。ガキも回収したし、どうやって逃げる。早くしないと兵士たちに見つかっちまう」
重い空気を壊すようにレイが言った。
レイの言う通りだ。兵士に見つかる前に投げなくてはいけない。
「ソレナラダイジョウブ。ガー」
クーがガーの背中をポンッと叩きながらガーを促す。ガーは流れていた涙を拭った
「…………ウン。コッチ」
ガーがベルの手を引きながら大木の方へ向かった。もうベルに懐いたようだ。
「オニイチャンタチモ、ハヤク」
クーがナオキの手を引き、ガー達の方へ走る。
「オイオイ。何があるんだよ」
最後尾のレイが疑いの声を挙げながら付いてくる。
「コレ!」
「これって…………」
「あぁ…………」
大木の後ろへ案内されたナオキ達が目にしたものは3匹の馬だった。3匹は大木に紐で繋がれて大人しく座っていた。
「おい。これ、どうしたんだよ」
レイが疑問を口にした。
「ソッチニイタ」
クーが町中を指差す。
「そっちって…………盗んできたのか」
やっぱり
レイは頭を掻きながらナオキを見た。
「……まぁこんな状況だ。ナオキ、盗みは駄目なんて言わないよな?」
「あぁ。そんなこと言わないよ。クー。ガー。オレたちのために用意してくれたんだろ? ありがとう」
クーとガーの頭を撫でながらナオキは言った。クーもガーも嬉しそうにしている。
「ヨシ! そうと決まればサッサとこっから抜け出そうぜ」
馬を繋いでいた紐を解き、レイは一匹の馬に跨ると、ベルに一本の紐を渡した。ベルもレイから受け取った紐を持ち、馬に跨った。
「ほら、ナオキ。馬には乗れるだろ?」
そう言うと今度は最後の馬の紐をナオキに持ってきた。
「あぁ。乗れるよ」
「OK! チビたちは俺とベルの後ろに乗りな」
レイに促され、クーとガーはベルの後ろに乗った。
「…………ってオイ! 二人ともベルの方に乗るんじゃねぇよ。言った俺が寂しくなるだろうが」
「デモ、オネーチャンガイイ」
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「ヤーダー」
一向にクーは譲る気が無いらしい
「ベル。お前からも言ってやってくれよ」
頭を掻き、困ったレイはベルに助けを求めた。
「クーちゃん。兄さまの後ろは嫌かもしれないけど少しの間我慢してもらえる? 途中で私の後ろと交換するから」
落ち着いた声でベルはクーに話した。まるで聞き分けの無い子供を諭すようだ。
「ウ~…………ゼッタイダヨ……」
「うん。絶対。約束します」
ベルの説得で渋々馬から降りたクーはナオキの方へ歩いて行った。
「おいコラ! そろそろ本気で怒るぞ」
「ダッテ、オニイチャンガイイ!」
「いい加減にしろ。ナオキより俺のほうが馬の扱いに慣れてる。ほら、早くしろ!」
レイに強く言われ仕方なくクーはレイの方へ歩いた。よっぽどレイと一緒が嫌なのか。それともベルやナオキのことが気に入ったのか。
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