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2章
マグナ大森林part10
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一先ず、盗賊13人中10人(内3人は死亡確認済)の身柄の拘束に成功したフローラ一行はカミラ達、捕虜となっていた者も連れ、彼女らが住まう里にて歓迎を受け、感謝されているところだ。
里に着いた時、猫人にしては体格にやけに恵まれた虎を彷彿とさせる…、毛並みの配色も虎柄だし虎人なのではないのか(そんな種族は存在しない)と思ってしまうような壮年の男性が立っていた。ティガと名乗る彼の姿を見た、カミラ含め捕虜の人たちは皆一様に、安堵の表情を浮かべていた。
「それにしてもだ…。改めてこの隠れ里カルアの長を務めるものとしてフローラ殿、ニーナ殿にお礼が言いたい。本来は我々自身の手で解決せねばならなかった問題をすまぬ。そして皆々の救出と盗賊の一味を捕まえてくれてありがとう。誠に感謝してもしきれん。」
里人達の歓迎もほどほどに、ティガの一室に招かれていたフローラとニーナは深々と頭を下げられている。
「ああ、それと捕まえた盗賊達をどうするかは里の皆で相談する。どうなるかは民意に委ねるのが掟だ。生死について私(ティガ)の一存ではどうにもならないことだけは把握しておいてほしい。」
「私たちも“成り行き”で助けて、それと盗賊達については、里の皆さんにお任せしようって話だったので。それに私達そもそもクエ…むぐ?!」フローラが自分たちの請け負っていたクエストと何ら関係がないわけではない。と言おうした所をニーナさんが口を塞ぐ。
「そうなんです。“成り行き”で襲われていたカミラさん達を助けて話を聞いて不憫に思いましたの。厚かましくも何か協力できないかと思い、動いてみた次第です。結果が偶々良い方向に繋がっただけのことですので感謝なんてとんでもない。そのお言葉を聞けて満足ですわ。」ニーナがなぜクエストについて黙っているのかは謎だが、ここはフローラも余計な事を言わないようニーナに話を任せることにする。
「それと盗賊は捕らえることができたのは一部。恐らくリーダー格となる人物含め、残党の行方はミネストロ池の方にて潜伏しているのかと。こちらに来る際の道中に聞き出したのですが今晩、向こうに配属されていた人員もこちらに集結するそうなので私達は奴らの砦で網を張ろうと考えてますわ。」
「そうか。私も同行し、助力したいのだが…。何分今私がここを離れては、奴らが来た時に里の者達を守り切ることが難しくなる故…すまぬ。」ティガは歯痒そうに、目を背け俯く。
「いえいえ、砦に集結するっていう話でしたけど、何があるか分からないのでティガ様はこちらで里をお守りください。」
「あの、もし良ければわたしがテイムしたゴブリンさん達も里の警護に回ってもらいましょうか?」
ニーナの弁に続いて、フローラも里の警護の提案をしてみる。この位は平気だよね?とニーナにも目で問いかける。
「そうね、とっても優秀なゴブリン達なのでカルア里の安全の為にも、そうしましょう。」ニーナはフローラの気持ちを汲み取りフローラの案を推す。
「誠か!?…っと、しかしだな、迎え撃つのに大丈夫なのか?正直我々は手負いの者が多い故、助かるんだが…。」
「無理さえしなければ何の問題もないよね?」フローラの問いに微笑を浮かべながら、相槌を一つ打つ。
「何から何まで…感謝してもしきれんな。無事そちらも上手くいくよう祈ってるぞ。私もそろそろ里の警護をしていなくてはならんのでな。」ティガはフローラ達に感謝を述べると、先に部屋を出ていく。
フローラ達も後に続いてティガ宅を出て、里を見渡す。捕虜となっていた人達の介抱やら、再会に涙を流して抱き合っているもの、急ごしらえのご飯を平らげ、元気を取り戻しつつある青年なんかはティガの後に続こうと槍を片手に巡回しようとしている。そんな青年にぽかんと頭を叩く母親らしき女性の叱り声が聞こえてきて、里全体の雰囲気は警戒心は未だあるものの随分和やかに見えた。
「そういえばなんでクエストについて黙っていたんですか?」
フローラが聞きたかったことをニーナに問いかける。
「だって、クエスト=ギルドでしょ?民間人の救出までは依頼にはないことだしクエスト範囲外だもん。話したところで私達が依頼以上にしたことを、さもギルドが貢献したみたく評価されるのは違うと思わない?
それにティガさんは『我々自身の手で解決』って言ってたから、ほんとは他所の助けを、特に大きな組織には頼るつもりなかったんじゃないかな?って思ってさ。だから個人の判断で協力したって事にしとこうかなって。」
確かに…。ニーナさんの言うことは最もだ。
伝え方一つで、もしかしたら今とは全然違う話の流れになっていたかもしれない。
ニーナさんの言う通り、ギルドとかに頼りたくなかったらこれ以上私達の手を借りようとはしなかっただろうし。
「あの、もう一つ聞きたかったことがあるんですけど…」
「ん?なになに?」
「さっきの戦闘で上手く降伏してくれるように促しては見たんですけどどうにも上手くいかなくて。」
黙って聞いていたニーナは、んーと考える。
「べつにいいんじゃない?気にしなくても」
「え、でもそれじゃあ。」
「相手が足掻いてきたからそれでしょうがなく殺しちゃったんでしょ?私はそんなに情けをかけてるフローラちゃんが心配だなあ。私は全部見てないからよくわかんないけどさ、命を狙ってくる相手には全力で向かって欲しいな。もし相手が負けを認めたならその時は命だけでも見逃してあげればいいんだよ。」
フローラの言葉を遮りニーナが思ったことを言うと、先ほどの戦闘で思うことがあったのだろう。
「そうですね…、なんとなくニーナさんに言われて良くなかった部分が見えた気がします。」
フローラは今回のことを前向きに捉えれられたようだ。少し悔いてはいるもののそれをバネにしようとしているのが表情から見て取れた。
「それじゃ、残りの連中も油断せずに、気合入れていこうね!」
「はい!!」
明るい返事で答えたフローラはゴブリン達を可能な限り隠れ里カルアへ残し砦へと向かうのであった。
里に着いた時、猫人にしては体格にやけに恵まれた虎を彷彿とさせる…、毛並みの配色も虎柄だし虎人なのではないのか(そんな種族は存在しない)と思ってしまうような壮年の男性が立っていた。ティガと名乗る彼の姿を見た、カミラ含め捕虜の人たちは皆一様に、安堵の表情を浮かべていた。
「それにしてもだ…。改めてこの隠れ里カルアの長を務めるものとしてフローラ殿、ニーナ殿にお礼が言いたい。本来は我々自身の手で解決せねばならなかった問題をすまぬ。そして皆々の救出と盗賊の一味を捕まえてくれてありがとう。誠に感謝してもしきれん。」
里人達の歓迎もほどほどに、ティガの一室に招かれていたフローラとニーナは深々と頭を下げられている。
「ああ、それと捕まえた盗賊達をどうするかは里の皆で相談する。どうなるかは民意に委ねるのが掟だ。生死について私(ティガ)の一存ではどうにもならないことだけは把握しておいてほしい。」
「私たちも“成り行き”で助けて、それと盗賊達については、里の皆さんにお任せしようって話だったので。それに私達そもそもクエ…むぐ?!」フローラが自分たちの請け負っていたクエストと何ら関係がないわけではない。と言おうした所をニーナさんが口を塞ぐ。
「そうなんです。“成り行き”で襲われていたカミラさん達を助けて話を聞いて不憫に思いましたの。厚かましくも何か協力できないかと思い、動いてみた次第です。結果が偶々良い方向に繋がっただけのことですので感謝なんてとんでもない。そのお言葉を聞けて満足ですわ。」ニーナがなぜクエストについて黙っているのかは謎だが、ここはフローラも余計な事を言わないようニーナに話を任せることにする。
「それと盗賊は捕らえることができたのは一部。恐らくリーダー格となる人物含め、残党の行方はミネストロ池の方にて潜伏しているのかと。こちらに来る際の道中に聞き出したのですが今晩、向こうに配属されていた人員もこちらに集結するそうなので私達は奴らの砦で網を張ろうと考えてますわ。」
「そうか。私も同行し、助力したいのだが…。何分今私がここを離れては、奴らが来た時に里の者達を守り切ることが難しくなる故…すまぬ。」ティガは歯痒そうに、目を背け俯く。
「いえいえ、砦に集結するっていう話でしたけど、何があるか分からないのでティガ様はこちらで里をお守りください。」
「あの、もし良ければわたしがテイムしたゴブリンさん達も里の警護に回ってもらいましょうか?」
ニーナの弁に続いて、フローラも里の警護の提案をしてみる。この位は平気だよね?とニーナにも目で問いかける。
「そうね、とっても優秀なゴブリン達なのでカルア里の安全の為にも、そうしましょう。」ニーナはフローラの気持ちを汲み取りフローラの案を推す。
「誠か!?…っと、しかしだな、迎え撃つのに大丈夫なのか?正直我々は手負いの者が多い故、助かるんだが…。」
「無理さえしなければ何の問題もないよね?」フローラの問いに微笑を浮かべながら、相槌を一つ打つ。
「何から何まで…感謝してもしきれんな。無事そちらも上手くいくよう祈ってるぞ。私もそろそろ里の警護をしていなくてはならんのでな。」ティガはフローラ達に感謝を述べると、先に部屋を出ていく。
フローラ達も後に続いてティガ宅を出て、里を見渡す。捕虜となっていた人達の介抱やら、再会に涙を流して抱き合っているもの、急ごしらえのご飯を平らげ、元気を取り戻しつつある青年なんかはティガの後に続こうと槍を片手に巡回しようとしている。そんな青年にぽかんと頭を叩く母親らしき女性の叱り声が聞こえてきて、里全体の雰囲気は警戒心は未だあるものの随分和やかに見えた。
「そういえばなんでクエストについて黙っていたんですか?」
フローラが聞きたかったことをニーナに問いかける。
「だって、クエスト=ギルドでしょ?民間人の救出までは依頼にはないことだしクエスト範囲外だもん。話したところで私達が依頼以上にしたことを、さもギルドが貢献したみたく評価されるのは違うと思わない?
それにティガさんは『我々自身の手で解決』って言ってたから、ほんとは他所の助けを、特に大きな組織には頼るつもりなかったんじゃないかな?って思ってさ。だから個人の判断で協力したって事にしとこうかなって。」
確かに…。ニーナさんの言うことは最もだ。
伝え方一つで、もしかしたら今とは全然違う話の流れになっていたかもしれない。
ニーナさんの言う通り、ギルドとかに頼りたくなかったらこれ以上私達の手を借りようとはしなかっただろうし。
「あの、もう一つ聞きたかったことがあるんですけど…」
「ん?なになに?」
「さっきの戦闘で上手く降伏してくれるように促しては見たんですけどどうにも上手くいかなくて。」
黙って聞いていたニーナは、んーと考える。
「べつにいいんじゃない?気にしなくても」
「え、でもそれじゃあ。」
「相手が足掻いてきたからそれでしょうがなく殺しちゃったんでしょ?私はそんなに情けをかけてるフローラちゃんが心配だなあ。私は全部見てないからよくわかんないけどさ、命を狙ってくる相手には全力で向かって欲しいな。もし相手が負けを認めたならその時は命だけでも見逃してあげればいいんだよ。」
フローラの言葉を遮りニーナが思ったことを言うと、先ほどの戦闘で思うことがあったのだろう。
「そうですね…、なんとなくニーナさんに言われて良くなかった部分が見えた気がします。」
フローラは今回のことを前向きに捉えれられたようだ。少し悔いてはいるもののそれをバネにしようとしているのが表情から見て取れた。
「それじゃ、残りの連中も油断せずに、気合入れていこうね!」
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