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第一章
契約しましょう
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登録しようとしている魔術師ギルドは最低一体の従魔が必要とされていた。ヴィヴィはククルと従魔契約したいらしい。
「う~ん、確かにもう7歳だし。力の制御もできてるから契約できなくはないが……ククルは良いのか?」
「クゥ」
「まぁ、お互い納得してるなら良いか。契約条件はどうするんだ?」
「……」
「ちゃんと考えたって……分かったよ。なら先にヴィヴィの解呪をしないとな」
「……」
「クゥ?」
ヴィヴィにはある【呪】をかけてある。こいつがまだ赤子のころ、強過ぎる力を制御できず母親が死にかけたからだ。その時は俺か抑えたが、ヴィヴィが自我を持ち自分の力を理解するまで【呪】かけ力を封じた。声が出せないのはそのためだ。俺は、指を噛み切り珍しく真剣な目をしているヴィヴィの額に指を押し当てた。
《我、血の盟約に従い汝の封印を解く》
俺の指先から血が走り、ヴィヴィの額に紋様を描くと光を放った。光が収まると、紋様も消えていた。
「ヴィヴィ、気分はどうだ?」
「…だっゴホッ……大丈夫」
あぁ、良かった。【呪】をかけるのも【解呪】も数百年ぶりだからな。失敗したら今頃バラバ……止めよう。成功したから、それで良し!ん?どうしたヴィヴィ、そんなジト目で見て?
「失敗しなくて良かったね」
「し、失敗!?失敗が、ど、どうした!」
読心術か!?今までそれで会話してたから、ヴィヴィも使えるようになったのか?
「……全部、声に出してるから」
「クゥ~」
「何てこった!」
無事に解呪できて油断した!まぁ良い。気を取り直して契約だ。
「じゃあ契約するぞ~」
「うん。でも契約ってどうするの?」
「クゥ?」
ヴィヴィとククルが同じタイミングでコテンと首を傾けた。
クソッ可愛いな!あぁ~撫でたいけど、今は我慢だ!
通常、従魔契約には二種類ある。ひとつは、召喚だ。この場合、召喚者が名前を付け相手が受け入れるか、契約条件に相手が納得すれば契約成立。もうひとつは、契約相手を屈服させて契約する方法だ。だが、今からやる従魔契約はどれとも違う。というか正確には従魔契約じゃないけど。
「まずは指を切って血を出して、それに魔力を混ぜろ」
「うん」
ヴィヴィは腰からナイフを出し、指を切ると俺に言われた通り魔力を混ぜた。
「で、それをククルに舐めさせるんだ」
「うん。ククル」
「クゥ」
ククルが、オズオズとヴィヴィの血を舐めたので、次の指示を出す。
「契約条件を頭に浮かべて、魔力を込めながらな俺に続けて言うんだ」
「うん」
《汝、血の盟約に従い我が眷属となれ》
するとククルの右目に紋様が浮かび上がった。さっきヴィヴィの額に浮かび上がったものと同じだ。
「良し」
「やった!よろしくねククル!」
「クゥ!」
「それで?契約条件は何にしたんだ?」
「ずっと友達でいることと、ククルをわたしが守るってこと!」
「クゥ!」
俺は再び襲ってきた衝動に逆らわず、ヴィヴィとククルを撫で回した。後悔はしていない。だが、それから暫く撫でさせてくれなくなった。後悔は……後悔はしてないからな!
「う~ん、確かにもう7歳だし。力の制御もできてるから契約できなくはないが……ククルは良いのか?」
「クゥ」
「まぁ、お互い納得してるなら良いか。契約条件はどうするんだ?」
「……」
「ちゃんと考えたって……分かったよ。なら先にヴィヴィの解呪をしないとな」
「……」
「クゥ?」
ヴィヴィにはある【呪】をかけてある。こいつがまだ赤子のころ、強過ぎる力を制御できず母親が死にかけたからだ。その時は俺か抑えたが、ヴィヴィが自我を持ち自分の力を理解するまで【呪】かけ力を封じた。声が出せないのはそのためだ。俺は、指を噛み切り珍しく真剣な目をしているヴィヴィの額に指を押し当てた。
《我、血の盟約に従い汝の封印を解く》
俺の指先から血が走り、ヴィヴィの額に紋様を描くと光を放った。光が収まると、紋様も消えていた。
「ヴィヴィ、気分はどうだ?」
「…だっゴホッ……大丈夫」
あぁ、良かった。【呪】をかけるのも【解呪】も数百年ぶりだからな。失敗したら今頃バラバ……止めよう。成功したから、それで良し!ん?どうしたヴィヴィ、そんなジト目で見て?
「失敗しなくて良かったね」
「し、失敗!?失敗が、ど、どうした!」
読心術か!?今までそれで会話してたから、ヴィヴィも使えるようになったのか?
「……全部、声に出してるから」
「クゥ~」
「何てこった!」
無事に解呪できて油断した!まぁ良い。気を取り直して契約だ。
「じゃあ契約するぞ~」
「うん。でも契約ってどうするの?」
「クゥ?」
ヴィヴィとククルが同じタイミングでコテンと首を傾けた。
クソッ可愛いな!あぁ~撫でたいけど、今は我慢だ!
通常、従魔契約には二種類ある。ひとつは、召喚だ。この場合、召喚者が名前を付け相手が受け入れるか、契約条件に相手が納得すれば契約成立。もうひとつは、契約相手を屈服させて契約する方法だ。だが、今からやる従魔契約はどれとも違う。というか正確には従魔契約じゃないけど。
「まずは指を切って血を出して、それに魔力を混ぜろ」
「うん」
ヴィヴィは腰からナイフを出し、指を切ると俺に言われた通り魔力を混ぜた。
「で、それをククルに舐めさせるんだ」
「うん。ククル」
「クゥ」
ククルが、オズオズとヴィヴィの血を舐めたので、次の指示を出す。
「契約条件を頭に浮かべて、魔力を込めながらな俺に続けて言うんだ」
「うん」
《汝、血の盟約に従い我が眷属となれ》
するとククルの右目に紋様が浮かび上がった。さっきヴィヴィの額に浮かび上がったものと同じだ。
「良し」
「やった!よろしくねククル!」
「クゥ!」
「それで?契約条件は何にしたんだ?」
「ずっと友達でいることと、ククルをわたしが守るってこと!」
「クゥ!」
俺は再び襲ってきた衝動に逆らわず、ヴィヴィとククルを撫で回した。後悔はしていない。だが、それから暫く撫でさせてくれなくなった。後悔は……後悔はしてないからな!
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