訳有り少年と少女の珍道中

そらのあお

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第一章

戦ってみよう

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魔物の気配を追ったら、今度はゴブリンの巣に辿り着いた。
結構いるな。でもこれなら調度良いか。

「ヴィヴィ、俺達にとって武器は何だと思う?」
「身体能力の高さと魔力の量かな?」
「それもあるが、一番は血だ」
「血?」
「そう。俺達の血は魔力を媒介するのに最高のものなんだ」
「良く分かんない」
「例えば、さっきのウィンドカッターに使った魔力を十とする」
「うん」
「じゃあ今から同じ魔法でゴブリンに攻撃するから見てろよ」

俺は指を噛み切り、流れた血に魔力を混ぜてから魔法を放った。

「ウィンドカッター」
「ギャギャ!?」
「ギャーギャ!?」

先程とは比べ物にならない風が発生し、ゴブリンの大半が死んだ。まだやりたいことがあるから少し残してる。

「すごい」
「今ので使った魔力は一だ」
「え!?そんなに差があるの?」
「まぁ、俺の血だからってのもあるがな。ヴィヴィの血は俺より薄いから精々魔力消費が半分になる程度だろ」
「そうなんだ」

頷くヴィヴィの頭を撫でて、次の使い方を教える。

「それと、もう二つ使い方がある」
「どうするの?」
「一つは血を操作して戦う。固さや形状は自由自在だ」

俺は血を操作して細い針状に変化させた。それを仲間が死んで動揺しているゴブリンに向けて放つが奴等は気付いてない。血がゴブリンの体内に入ったことを確認して命令を下す。

《動くな》
「ギャ!?」

俺はヴィヴィを連れてゴブリン達に近付いた。プティーは見慣れているが、ヴィヴィとククルは不思議そうにしている。

「何で動かないの?」
「俺が命令したからだよ。これがもう一つの使い方、対象に少量でも血を与えれば俺の意のままだ。……生死もな」
「え?」

《首を貫いて死ね》

ゴブリン達は、俺の言葉に従い持ってた武器で首を貫いたり砕いたりして死んだ。ヴィヴィに視線を向けると微かに震えている。
さすがにやり過ぎたか?だが、自分に流れる【レーヴェンの血】を早いうちに正しく理解しないといけないのも確かだ。使い方を間違えばあっという間に死んじまうからな。

「怖いか?」
「え?」
「俺が……お前に流れる血が怖いか?」
「……うん」

ヴィヴィは、俺の問いに迷いながら頷く。

「それで良い。安心しろ。さっきも言ったが、お前の血は薄いから生死まで命令するのは無理だ。精々、この子のお願い聞いてあげたいって思わせる位だな」
「そうなんだ。でも、ちゃんと使えるように頑張る」
「力に溺れるな!力を恐れ学び理解し支配しろ!」
「何それ?」
「……世界で一番大嫌いな奴の言葉だ。さて、ゴブリンの耳を集めるぞ」
「えぇ~」
「クゥ~」
「ピュ~」

嫌がるヴィヴィ達とゴブリンの耳を集めて町に戻ることにした。


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