聖女候補……の付き人になりました

そらのあお

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予定外なことはあったけど、気を取り直してルーナに声をかける。
エド様たちは少し離れた場所で見守ってくれていた。

「ルーナ、お願いね」
「ニャ!」
「最初は…大きくなって」
「ニャ~……グルォ」

ルーナは馬くらいの大きさになった。
わたしも動きやすい服に着替える。
力を見せるって言ってもどうすればいいか分からないなら、いつも見たいに遊ぶことにした。

「ルーナ…遊ぶよ!」
「ガゥ!」

わたしたちの遊びは簡単に言えば追い駆けっこで、ルールは殺さなければ何でもありだ。
魔法や武器で攻撃するのもあり。
十分位遊んだかしら?
わたしが疲れたから終わりにした。
ルーナも子猫サイズに戻る。
終わったと判断したエド様たちが近付いて来た。
エド様とセルジオ様は笑っているけど、バルトロ様は…顔が引き吊ってる?
どうしてかな?

「聞きたいことがあり過ぎて、何から聞けばいいのか分かりませんが、とりあえず……どうやって着替えました?」
「一瞬で着替えたよな?もしかして魔道具か?」
「はい、父からもらいました」

わたしは幼いころに父からもらったブローチを見せた。

「収納の魔道具か?」
「いえ、超高速早着替えの魔道具です。五着は入ってます。父は変身ブローチと言ってました」
「「「変身ブローチ……」」」
「本当はベルトにしたかったみたいですけどね。変身ヒーローになるって聞かなくて、母がお話しして止めたって言ってました」
「……それはまた何と言うか…」
「技術は凄いのに残っ...個性的な方だったんですね」
「個性的で済ませていいんですか?」

みんなどうしたんだろう?
わたし何か変なこと言ったかな?
今度はさっきの遊びについて聞かれた。

「ルーナは思った以上の力みたいだな」
「身体能力に魔法、どれも規定以上のものですね」
「ルーナもですけど、レティシア嬢も十分凄いと思います」
「そうですね。魔法は下手な魔術師より上でしょうし、身体能力も申し分ないですね」
「レティもルーナも動きに違和感がなかったが、もしかしてさっきの様なことは慣れているのか?」
「はい、小さい頃は普通の追い駆けっこだったんですけど、せっかくなら魔法も使いなさいと言われ、それに慣れたら武器や素手で攻撃してみなさいと言われ、その間にルーナは手加減を覚えられて、いつのまにか今の形になりました」
「その助言は誰が?」
「母です」
「「やっぱり」」

やっぱり?
エド様とセルジオ様は何で『やっぱり』って思ったのかな?
何故か、バルトロ様の顔がさっきより引き吊っていますよ。
そういえば、この遊びを初めて見たときの父もこんな顔をしてたような…。

「先程は武器を使いませんでしたよね?」
「剣を使われるのか?」
「いえ、わたし剣とか弓とは苦手で、母にも使うのを禁止されていたんです」
「では何を使うんだい?」
「普段は母から譲って貰った鞭を使っています。あとは素手で殴ったりですね」
「「殴る...」」
「レティ、素手で殴るのは感心しないな」
「はしたないですか?」
「そんなことはないが、君の可愛い手が傷つくだろう」
「団長の言う通りですよ」
「そっちですか!?」

可愛い手...そんなこと言われたのは初めて...優しいから気を使っているのね。
確かに最初の頃は手の皮がズレたりして大変だったけど、それを見た父が半狂乱になってあるものを作ってくれてからはそんなこともなくなっていた。
わたしがそのことを話すと、それを見せて欲しいと言われたので見せた。

「「ナックルか」」
「ちょっと待った!レティシア嬢、今どこから取り出したんだ?」
「異空間からですよ」
「まさか異空間収納!?」
「良く似合ってる」
「彼女については外しませんね」
「お二人とも!そういう問題ではありません!」
「……異空間収納ですか...これは魔術師もありですね」
「才能豊かだな」
「何事もなかったかのように話が戻った!?」
「誰でも使えますよね?」
「使えないですよ!?」
「えっ...」

バルトロ様の驚いた顔を見て、わたしが間違ったことを言ったのだと思い下を向いたら、頭を誰かに撫でられた。
顔をあげると、エド様が優しい目でわたしを見ていて胸がドキッとした。




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