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1.信じ難いと思った
美桜の悩み
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今春から公立高校の1年生になった、今井 美桜
出席番号は3番。
中学校の頃は男女別だったから、急な変化に戸惑いを隠せない。
「3番…?中学は41だったのに」
美桜が呟けば隣の男子や斜め前の男子がこちらを振り向く。
美桜は童顔で背が低く、声が高めだ。高い位置にあるものは大抵男子が取ってくれる。日直で運ぶものがあるとき、
「美桜ちゃん。俺、運んどくよ。」
と声をかけられる。
断るといけない気がして
「わー!ほんと?ありがとう!」
と荷物を渡す。それは悪い気分では無いが、女子の目線と、初対面からの「美桜ちゃん」は良くないものであった。
「ねぇねぇ、今井さん」
「…うん?どうしたの?…」
背が高く、髪を高く結っていて、目がアーモンドのような…
「舞花さん?」
「あれ、覚えてたんだ。忘れてると思ってた」
同じ中学校だった。取り巻き2人を連れ歩き、片方が休みだった時、残る2人でその片方の愚痴を零していた。
「覚えてるよ~、同じ中学校だったでしょ?」
「うん。そう。それはどうでもいいんだけど、」
トイレに行ってまだ帰ってこない2番さんの椅子に足を組んで座り、美桜の目を捉えて言う。
「あなた、黒崎くんのこと好きなの?」
…黒崎くん。心の中で反芻する。思考回路を巡らせる。
誰?
顔が思い出せない。
「…ごめん、誰だっけ?」
「えー??忘れちゃったのぉー??荷物運んでくれたのにぃー???」
思わず目を瞑る。突然大声を出すのはやめて欲しい。
クラスを見渡すと黒い短髪の男の子が顔を紅潮させている。あぁ、彼か。
「ううん。好きじゃないよ」
「…ほんと?そっか、!ごめんね、急に」
急によそよそしい。ここで好きと答えていたら間違いなくこの先の学校生活は安泰では無い。
まぁ好きではないから言うことは無いだろうが。
美桜の容姿は誰もが目を引いた。だが中学校に入る頃には止まってしまった背と、大きな音がダメな美桜にとっては、コンプレックスなるものである。
クラスメイトの大声、騒音。主に響く拍手と高音。机を叩いたり揺らす子もいた。
彼女らは悪気は無いのだろう。だからこそ居心地が悪い。
いつしか美桜の口癖は「早く卒業したい」になっていた。
出席番号は3番。
中学校の頃は男女別だったから、急な変化に戸惑いを隠せない。
「3番…?中学は41だったのに」
美桜が呟けば隣の男子や斜め前の男子がこちらを振り向く。
美桜は童顔で背が低く、声が高めだ。高い位置にあるものは大抵男子が取ってくれる。日直で運ぶものがあるとき、
「美桜ちゃん。俺、運んどくよ。」
と声をかけられる。
断るといけない気がして
「わー!ほんと?ありがとう!」
と荷物を渡す。それは悪い気分では無いが、女子の目線と、初対面からの「美桜ちゃん」は良くないものであった。
「ねぇねぇ、今井さん」
「…うん?どうしたの?…」
背が高く、髪を高く結っていて、目がアーモンドのような…
「舞花さん?」
「あれ、覚えてたんだ。忘れてると思ってた」
同じ中学校だった。取り巻き2人を連れ歩き、片方が休みだった時、残る2人でその片方の愚痴を零していた。
「覚えてるよ~、同じ中学校だったでしょ?」
「うん。そう。それはどうでもいいんだけど、」
トイレに行ってまだ帰ってこない2番さんの椅子に足を組んで座り、美桜の目を捉えて言う。
「あなた、黒崎くんのこと好きなの?」
…黒崎くん。心の中で反芻する。思考回路を巡らせる。
誰?
顔が思い出せない。
「…ごめん、誰だっけ?」
「えー??忘れちゃったのぉー??荷物運んでくれたのにぃー???」
思わず目を瞑る。突然大声を出すのはやめて欲しい。
クラスを見渡すと黒い短髪の男の子が顔を紅潮させている。あぁ、彼か。
「ううん。好きじゃないよ」
「…ほんと?そっか、!ごめんね、急に」
急によそよそしい。ここで好きと答えていたら間違いなくこの先の学校生活は安泰では無い。
まぁ好きではないから言うことは無いだろうが。
美桜の容姿は誰もが目を引いた。だが中学校に入る頃には止まってしまった背と、大きな音がダメな美桜にとっては、コンプレックスなるものである。
クラスメイトの大声、騒音。主に響く拍手と高音。机を叩いたり揺らす子もいた。
彼女らは悪気は無いのだろう。だからこそ居心地が悪い。
いつしか美桜の口癖は「早く卒業したい」になっていた。
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