23 / 37
1年生編
第20話「始業式と抱負?。」
しおりを挟む
1月7日。
新学期の始まりを告げる、始業式の日。
たんぽぽの丘学園の体育館には、生徒たちの少し眠たげな顔が並んでいた。
式はあっという間に終わり、教室に戻ったあとは、軽くホームルームが行われることになっていた。
がらり、と教室のドアが開き、のそっと黒田先生が入ってくる。
「……えー、あけましておめでとう。今年も、だらっと……いや、ほどほどに頑張りましょう」
教室がくすくすと笑いに包まれる。
「ま、冬休みボケもあるだろうけど、明日から通常授業だから。覚悟してねー……。以上」
やる気ゼロな口調とは裏腹に、生徒たちを気遣う言葉を添えて、黒田先生はあっさりとHRを締めた。
「……ほんと、黒田先生らしいなぁ」
ゆいが小声でつぶやくと、つかさとりんも「だよねぇ」と笑い合う。
そんな感じで、始業式の日はさらっと幕を閉じたのだった。
教室を出た3人は、寒空の下を歩きながら、自然とファミレスに向かうことになった。
「……うー、まだ冬休み気分が抜けないよ~」
こたつが恋しい、と言わんばかりに、ゆいがコートの裾を握る。
「半日で助かったね」
つかさは鞄を肩にかけながら、軽く息をつく。
「おなかすいたーっ! ねぇねぇ、ごはん行こうよ~っ!」
りんが元気いっぱいに飛び跳ねる。
「じゃあ、近くのファミレス行こっか」
ゆいが顔を上げて提案すると、ふたりも大きく頷いた。
ファミレスは、始業式帰りの学生たちでほどよく賑わっていた。
3人は窓際の席に座り、メニューを広げてわいわい盛り上がる。
「うわぁ、ハンバーグもいいし、オムライスも捨てがたいっ」
ゆいが悩ましげにメニューを眺める。
「迷ったら全部ね」
つかさがさらっと言って、りんが「それだーっ!」と笑う。
各々好きなメニューを頼んで、料理が来るまでの間、自然とおしゃべりが始まった。
「冬休み、あっという間だったよね」
「ほんとほんとーっ! かまくら作ったのとか、超楽しかったっ!」
りんが大きな身振りで語るたび、隣のテーブルの子たちもちらちらとこちらを見たが、誰も気にしない。
「そういえば、今年の目標って決めた?」
ゆいがふと思いついたように尋ねた。
「んー……あんまり怒らない?」
りんが首をかしげると、つかさが小さく吹き出す。
「りんはあんまり怒らないでしょ。むしろテンション高すぎ」
「えへへー、じゃあ“もっと元気に!”ってことでっ」
つかさは少し考えてから答えた。
「私は……自分で決めたこと、ちゃんとやりきる」
「かっこいいなぁ、つかさ……」
ゆいが目を輝かせながら言う。
「じゃあ、ゆいは?」
「えっと……“毎日、ちゃんと笑う!”かなっ」
照れたように笑うと、りんとつかさも自然と微笑み返す。
そんなふうに、ささやかな目標をテーブルに並べながら、新しい一年への小さな一歩を、3人は踏み出していた。
やがて、注文した料理が運ばれてきて、再びテーブルの上はわいわいにぎやかに。
笑い声が窓の外の冬空へ、ふわりと溶けていった。
新学期の始まりを告げる、始業式の日。
たんぽぽの丘学園の体育館には、生徒たちの少し眠たげな顔が並んでいた。
式はあっという間に終わり、教室に戻ったあとは、軽くホームルームが行われることになっていた。
がらり、と教室のドアが開き、のそっと黒田先生が入ってくる。
「……えー、あけましておめでとう。今年も、だらっと……いや、ほどほどに頑張りましょう」
教室がくすくすと笑いに包まれる。
「ま、冬休みボケもあるだろうけど、明日から通常授業だから。覚悟してねー……。以上」
やる気ゼロな口調とは裏腹に、生徒たちを気遣う言葉を添えて、黒田先生はあっさりとHRを締めた。
「……ほんと、黒田先生らしいなぁ」
ゆいが小声でつぶやくと、つかさとりんも「だよねぇ」と笑い合う。
そんな感じで、始業式の日はさらっと幕を閉じたのだった。
教室を出た3人は、寒空の下を歩きながら、自然とファミレスに向かうことになった。
「……うー、まだ冬休み気分が抜けないよ~」
こたつが恋しい、と言わんばかりに、ゆいがコートの裾を握る。
「半日で助かったね」
つかさは鞄を肩にかけながら、軽く息をつく。
「おなかすいたーっ! ねぇねぇ、ごはん行こうよ~っ!」
りんが元気いっぱいに飛び跳ねる。
「じゃあ、近くのファミレス行こっか」
ゆいが顔を上げて提案すると、ふたりも大きく頷いた。
ファミレスは、始業式帰りの学生たちでほどよく賑わっていた。
3人は窓際の席に座り、メニューを広げてわいわい盛り上がる。
「うわぁ、ハンバーグもいいし、オムライスも捨てがたいっ」
ゆいが悩ましげにメニューを眺める。
「迷ったら全部ね」
つかさがさらっと言って、りんが「それだーっ!」と笑う。
各々好きなメニューを頼んで、料理が来るまでの間、自然とおしゃべりが始まった。
「冬休み、あっという間だったよね」
「ほんとほんとーっ! かまくら作ったのとか、超楽しかったっ!」
りんが大きな身振りで語るたび、隣のテーブルの子たちもちらちらとこちらを見たが、誰も気にしない。
「そういえば、今年の目標って決めた?」
ゆいがふと思いついたように尋ねた。
「んー……あんまり怒らない?」
りんが首をかしげると、つかさが小さく吹き出す。
「りんはあんまり怒らないでしょ。むしろテンション高すぎ」
「えへへー、じゃあ“もっと元気に!”ってことでっ」
つかさは少し考えてから答えた。
「私は……自分で決めたこと、ちゃんとやりきる」
「かっこいいなぁ、つかさ……」
ゆいが目を輝かせながら言う。
「じゃあ、ゆいは?」
「えっと……“毎日、ちゃんと笑う!”かなっ」
照れたように笑うと、りんとつかさも自然と微笑み返す。
そんなふうに、ささやかな目標をテーブルに並べながら、新しい一年への小さな一歩を、3人は踏み出していた。
やがて、注文した料理が運ばれてきて、再びテーブルの上はわいわいにぎやかに。
笑い声が窓の外の冬空へ、ふわりと溶けていった。
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
異世界で大往生した私、現代日本に帰還して中学生からやり直す。~最強の補助魔法で、冴えないおっさんと最強美女を操って大金持ちになります~
タカノ
ファンタジー
異世界へ転移し、聖女として崇められ、愛する家族に囲まれて88歳で大往生した……はずだった。 目が覚めると、そこは現代日本。 孤児の中学2年生、小金沢ヒナ(14)に戻っていた。
時間は1秒も進んでおらず、待っていたのは明日のご飯にも困る極貧生活。 けれど、ヒナの中身は酸いも甘いも噛み分けたおばあちゃん(88歳)のまま!
「もう一度、あの豊かで安らかな老後(スローライフ)を手に入れてみせる!」
ヒナは決意する。異世界で極めた国宝級の【補助魔法】と【回復魔法】をフル活用して、現代社会で大金を稼ぐことを。 ただし、魔法は自分自身には使えないし、中学生が目立つと色々面倒くさい。 そこでヒナがビジネスパートナー(手駒)に選んだのは――
公園で絶望していた「リストラされた冴えないおっさん」と、 借金取りに追われる「ワケあり最強美女」!?
おっさんを裏から魔法で強化して『カリスマ社長』に仕立て上げ、 美女をフルバフで『人間兵器』に変えてトラブルを物理的に粉砕。 表向きはニコニコ笑う美少女中学生、裏では彼らを操るフィクサー。
「さあ善さん、リオちゃん。稼ぎますよ。すべては私の平穏な老後のために!」
精神年齢おばあちゃんの少女が、金と魔法と年の功で無双する、痛快マネー・コメディ開幕!
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
疎遠だった叔父の遺産が500億円分のビットコインだった件。使い道がないので、隣の部屋の塩対応な美少女に赤スパ投げまくってる件
月下花音
恋愛
貧乏大学生の成瀬翔は、疎遠だった叔父から500億円相当のビットコインが入ったUSBメモリを相続する。使い道に困った彼が目をつけたのは、ボロアパートの薄い壁の向こうから聞こえる「声」だった。隣人は、大学で「氷の令嬢」と呼ばれる塩対応な美少女・如月玲奈。しかしその正体は、同接15人の極貧底辺VTuber「ルナ・ナイトメア」だったのだ!
『今月ももやし生活だよぉ……ひもじい……』
壁越しに聞こえる悲痛な叫び。翔は決意する。この500億で、彼女を最強の配信者に育て上げようと。謎の大富豪アカウント『Apollo(アポロ)』として、5万円の赤スパを投げ、高級機材を即配し、彼女の生活を神の視点で「最適化」していく。しかし彼はまだ知らなかった。「金で買えるのは生活水準だけで、孤独は埋められない」ということに。500億を持った「見えない神様」が、神の座を捨てて、地上の女の子の手を握るまでの救済ラブコメディ。
妻に不倫され間男にクビ宣告された俺、宝くじ10億円当たって防音タワマンでバ美肉VTuberデビューしたら人生爆逆転
小林一咲
ライト文芸
不倫妻に捨てられ、会社もクビ。
人生の底に落ちたアラフォー社畜・恩塚聖士は、偶然買った宝くじで“非課税10億円”を当ててしまう。
防音タワマン、最強機材、そしてバ美肉VTuber「姫宮みこと」として新たな人生が始まる。
どん底からの逆転劇は、やがて裏切った者たちの運命も巻き込んでいく――。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる