たんぽぽ学園は、今日も平和(じゃない)です。

kuro.

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2年生編

第30話「静かな放課後、そしてお茶の時間。」

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 放課後の教室。夕陽が差し込む窓辺で、ゆい・つかさ・りんの三人は、なんとも言えない空気に包まれていた。

「……はあ~~~、無理。脳みそが完全に放課後モードだよ~~」

 机に突っ伏したりんが、ぐったりと呻く。ぴくりとも動かない姿は、もはや家具と化している。

「さっき“宿題やる”って言ってた人、どこ行ったのかな……」

 つかさが冷静にツッコミを入れると、りんの手が机の上でぴくぴくと動いた。

「言っただけだよぉ……実行するとは言ってないもん……」

 そのやりとりに、ゆいはくすくすと笑いながらも、自分のノートを開いたまま首をかしげる。

「でもさ、今日って……なんかあったっけ?」

 二人が顔を上げる。

「……特になにも?」

「朝からずっと、ふつーだったね」

 その言葉に、ゆいが目をぱちぱちさせる。

「えっ、じゃあさ、本当に何もない日って……逆にレアじゃない!?」

「確かに、最近なんかしら事件起きてた気がする」

「今日くらいのテンションが毎日だったら、わたし成績上がってたと思う~~」

 だらだら雑談が始まる。話題は、いつの間にか購買と学食の話に。

「購買の人気No.1って、やっぱりカレーパンだよね?」

「え~? うちのクラスじゃ、チーズ入りメロンパンが一番って噂だよ?」

「チーズ……メロン……? それって、甘いの? しょっぱいの? どっちの気持ちで食べたらいいの?」

「それがね、意外とクセになるの!」

 わいわいしていたところに、つかさがふと思い出したように言う。

「そういえば、黒田先生の机の上に、今日もあったよ」

「え? なにが?」

「……アヒルの消しゴム」

 沈黙。

「また!? あれ、私物なのかな……」

「誰かの忘れ物じゃないの?」

「忘れ物にしては、毎日違う向きで並んでるのが怖いのよ……」

「わざわざポーズとってんの!?」

 そして、話題はさらなる方向へ脱線する。

「今日の昼休み、廊下に倒れてた平均台、あれって……」

「……りん?」

「えっ、あたしのせいにするの!? ちゃんと置いたよ!? たぶん!」

「“たぶん”の時点でアウトでしょ……」

 天然×行動派×ツッコミのトリオが織りなす、脱力トークタイム。

 そんな中、つかさが鞄から水筒を取り出し、静かにコップを並べた。

「はい、お茶。あったかいやつ」

「つかさママ~~~っ!!」

「さすがつかさちゃん!女子力って感じ~!」

「落ち着いて飲みなさい」

 三人で湯気の立つコップを囲みながら、ほんの少しだけ静かな時間が流れる。

 ゆいがぼんやりと、窓の外の夕暮れに目を向けた。

「静かで、なんも起きない放課後って……ちょっと好きかも」

「ずっとこういう日が続くといいけどね」

 つかさがそう呟くと、りんが肩をすくめるように言った。

「でも、そしたらあたし、体力ありあまっちゃうな~~~」

「たまにはのんびりしようよ、りんちゃん」

 ゆいの言葉に、三人の視線が自然と窓の外に向かう。

 空には、小さな鳥がふわりと飛び立っていくのが見えた。

「……でも、なにか、ちょっとだけ変わってる気がする」

 その言葉に、誰も返事はしなかった。ただ、夕陽のあたたかさに包まれながら、三人はしばらくそのまま、窓の外を眺めていた。
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