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心の戦場

8.自己紹介

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「あはははは」


 そのなんとも言えない出迎えに綾香が笑い出す。それにより、なんとなく雰囲気が少しだけ和らいだように感じた。


「笑われてるぞ。失敗か?」

「いや、成功だろ。これは」


 そんな、先輩達の声が聞こえた。


「どうぞ、入ってここがeスポーツ部ガンシューティング部門の部室だよ」


 そう言われ、案内された部屋の中は、備蓄庫には思えない様子であった。暖かく、教室2つ分は広く、壁にはポスターがところせましと貼られていた。
 そして、部屋の中央には約40台ほどのパソコンが置かれたデスクが並んでいて、入り口に備蓄庫と書かれていなければ、先程までいた情報教室と勘違いしてもおかしくない。


「たくさんパソコンがあるんですね」


 徹が誰とも言えない感じで先輩達に聞くと、やはり、隼人先輩が答えてくれた。


「まあね、ここにあるパソコンはここの第2情報教室から持ってきたんだよ。あの時は本当に大変だった」


 隼人先輩がそう言うとなんとなく先輩方の視線が一人の男の先輩にいっているように見えた。


「見ての通り、今は二年と合わせても正規部員は、15人しかいないから半分以上余っているんだけど、君たちが来てくれたお陰で少し埋まる感じかな」


「隼人、とりあえず自己紹介しないと」

「ああ、そうだった。忘れるとこだった」


 女の先輩が声をかけると、5人の先輩達が横に並んだ。


「それじゃあ、改めて自己紹介。自分はこのeスポーツ部の部長を務めています。神堂隼人3年生です。ゲームでは基本的に司令塔の役割をしています」


 部長がそう言うと今度は先程から、先輩たちを先導している背の高い。目測175はありそうな美人の女の先輩が話す。


「私はこの部門の副部長を努めてる。火野ひの神奈かんなといいます。ゲームでは部長のサポートだったりヒーラーを務めたりしてます」


 次に小さな背丈をした。150センチくらいの女の先輩が続く。


「私は八神やがみ愛海まなみっていいます。ゲームでは、そのタンク?だったり、引き寄せ役みたいなことを基本してます」

「よし、次は俺だな」


 一際元気で声の大きく、背も大きいな先輩が話し始める。


「俺はとどろき一神いっしん。ゲームでは当然、アタッカーのように前線に出て敵をかき乱す。役割をしている」


 そして、そんな大きな声とは対象的に静かで冷静な口調でもうひとりの先輩が話す。


「俺は神谷かみや武流たける。ゲームではスナイパーライフルを使うことが多い」


 そんな感じで先輩たちの挨拶が終わると、今度は龍也たちの番になる。


「僕は西浦徹といいます。シューティングゲームでは、スナイパーをしてます。よろしくおねがいします」

「私は夏目彩華といいます。ゲームでは司令塔として援護して戦うことが多いです。よろしくおねがいします」

「自分は佐久間智といいます。ゲームでは自分もスナイパーをよくやっています。よろしくおねがいします」

「わ、私は前田恵っていいます。その、ゲームはあまり詳しくなくて、よくわからないんですが、面白そうだと思って来ました。よろしくおねがいします」


 そんな感じで皆思い思いの自己紹介を終え、順番的に龍也の番なる。


「自分は坂本龍也といいます。自分もゲームさほどやったことがないのですが、その、退屈してたので来ました。よろしくおねがいします」


 龍也のその一言に隼人先輩と神谷先輩の顔が若干緩んだように見えた。そして、


「俺は海藤かいとう武虎たけとらといいます。NWBではエンペラーランクチームのアタッカーです。自分はコイツらとは違い皆さんのようなプロを目指しています。よろしくおねがいします」


 人一倍大きな声で海藤と名乗った先程、彩華と言い争っていた男が龍也たちを挑発するように話す。また、先輩たちはその様子を面白そうに見ている。


「自分は海藤君と同じチームでゲームしてます。村本むらもとのぼるといいます。チームではスナイパーライフルやってます。よろしくおねがいします」

「同じく、川谷かわたに駿しゅんといいます。チームでは前線でアタッカーをしてます。よろしくおねがいします」

「僕は、鬼道きどう研吾けんごといいます。チームでは司令塔をやっています。よろしくおねがいします」

「自分は頼永よりなが直也なおやといいます。チームでは回復役をしています。よろしくおねがいします」


 こうして、龍也たち一年生、10名の自己紹介が終わる。
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