【1話完結】5分で人の怖さにゾッとする話

風上すちこ

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キミガワルイ

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生徒から「相談があるんです」と呼び止められたのは、放課後のことだった。
私は無愛想で生徒から慕われることもない男性教師なので、女子生徒に相談されるなど、初めてのことだった。
相談ごととはなんだろう。
その生徒は真面目で、授業態度も良い人だ。
けして、揶揄い半分ということはないだろう。
よし、気を引き締めていこう。どんな相談だったとしても動揺せず、大人の意見を言ってみせる。相手を否定しない、それが私のモットーだ。

「最近、つけられているようなんです」

「それはつまり、君はストーカーにあっているということでしょうか。」

「はい…親には、こんなこと言えなくて。」

「だから私に…」

生活態度を見る限り、彼女は優しい人だ。
教室の花瓶の水換えや、黒板消しを何も言わずに行っているところを何度か目撃している。
男子に掃除当番を頼まれて代わってあげていたこともあった。

「学校を出て数分くらいたつと、後ろからざっ、ざっ、という音がして…」

「ほぅ…」

「家も知られているじゃないかと思うと…」

彼女は恐怖からか、手が震えている。
何か、私が力になれればいいのだけれど。

「それは、気味が悪いですねぇ…」

「え…」

「警察には…「もっ、もういいです!!失礼します…!!」

「あ、ちょっと…」

そう言って彼女は走り去っていった。泣いていた様にも見えた。
私には全然分からない。何が悪かったのだろうか…?
やはり、自分にはお悩み相談など、向いていなかったのだろうか。同僚にも話し、力を借りることにしよう。
はぁ…力不足だな…。そう悲観した。













1週間後、彼女は自殺した。
ストーカーによる精神的苦痛だと推測されている。
遺書もなく、彼女は自宅の浴槽で手首を切り落とした。

話によると、友達にも警察にも、ストーカーについて取り合ってもらえていなかったらしい。



「君のスカートが短いせいじゃない?そんな君にへらへら笑いかけられると、男ってすぐに勘違いしちゃうもんだよ?」

「そんなの、どうせあんたが悪いんでしょ」

「ゆみってすぐ男に色目使うからじゃん」



と言われ続けた彼女は、どんな気持ちだっただろう…


私があの時もっと話を聞いておけばと、強く後悔した。







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主人である教師も、自殺した生徒に向かって「キミガワルイ」と発言している。
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